お子さんが葛藤を抱えている時に、してあげられることは何か。
こんにちは。不登校支援センター東京支部の本沢裕太です。
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、多くの方にカウンセラーブログをお読み頂きました。ありがとうございました。カウンセラー一同、皆さまのご期待に添える様、引き続き多くの情報を発信して参りますので、本年もどうぞよろしくお願いします!
冬休みが明けて、新学期が始まった時期かと思いますが、お子さんのご様子はいかがでしょうか?
もしかしたら、朝起きにくい、支度に時間がかかる、夜寝つきにくいなどの症状が現れていたりしませんでしょうか。
この時期、そういったご相談が多くなってまいりますので、今回から「葛藤を抱いている子どもたちと関わっていく上で、知っておくとプラスになるポイント」をお伝えしたいと思います。
人間は、事実や現状を受け入れて前向きな行動に起こすに至るまでに幾つかの過程が必要
このプロセスには、心理学でよく知られる「キューブラー=ロスの5段階モデル」や「認知行動療法」の要素が含まれます。
1.現実を知る(気づきの段階)
まず、自分が置かれている現状に気づきます。
この段階では、情報がまだ少なかったり、自分の認識が曖昧な場合が多いです。
例:テストの点が悪かった(良かった)、学校での居心地が悪い、体調不良を起こした、友人の態度が変わった、大切なものを失った、など。
その時の感情としては、ショック、戸惑い、不安などの感情が生まれやすいです。
2.感情の整理(受け入れの準備)
新たな情報に触れたり、知り得た事実に対して、感情が湧いてきます。
この段階では、事実を否定したり(「そんなはずはない」)、怒りを感じたりすることがあります。
これを「否認」や「防衛」と呼ばれます。
例:〇〇のせいで勉強時間が足りなかったから、運が悪かったから(良かった)、相手が悪いから、・・・
など、自分を納得させるための理由を探します。
事実を受け入れがたい感情(怒り、悲しみ等)が起こりますが、まずはあるがままの感情を感じること
が、次のステップに進むためにとても大切となってきます。
3.事実の受容(受け入れの段階)
少しずつ事実を否定するだけではなく、それが自分にとって「現実である」と認め始めます。
このとき、感情的な整理が進むことで落ち着き始めます。
例:自分にも否があった。準備不足だった。と認める。
冷静さや落ち着きを取り戻すことで、次のステップへの心の準備が生まれます。
4.原因の分析と目標設定(行動計画の段階)
事実を受け入れた上で、なぜそのようなことになったのかを考えます。
そして、今後どのように行動すれば良いかを計画します。
例:もっと勉強時間を増やす、健康を考えた食事を作る、良好な関係を築くための声掛けを考える、などの具体的な目標を立てます。
この段階では、自分でコントロールできる範囲のことに焦点を当てることが大切です。
5.前向きな行動を起こす(実行の段階)
計画をもとに実際に行動を起こします。
この段階では、小さな一歩から始めることが効果的です。
行動することで、自信がつき、ポジティブな感情が生まれやすくなります。
例:毎日1時間、勉強を続ける。10分の運動をしてみる。朝起きたらやる事を決める。自分から声をかけてみる、など。
6.結果を評価し、改善する(フィードバックの段階)
行動した結果を振り返ると、うまくいった点や改善が必要な点が見えてきます。
それを踏まえて、次の行動に反映させる段階です。
例:1時間の勉強に慣れてきたから、2時間に挑戦してみよう。家の中での運動はできるようになったから外出してみよう。久しぶりの友人に連絡を取ってみよう。などです。
最後に
このように、事実や現状を受け入れて行動に移すことは、感情の整理から始まり、思考と計画実行へと繋がる過程です。
1つ目から6つ目までの段階の中でも、
- 肯定的な自己対話(自分に対して優しい言葉をかける)
- サポートを受ける:(信頼できる人の話を聞いてもらう)
- 小さな成功体験(一歩ずつ達成感を得る)
といった過程が大切となってきます。
もし、お子さんの状態がご心配になられた際は、「今は、自分のペースを尊重しながら進んでいるのかもな」という背景にも意識を向けてみてくださいね。
関連ワード: カウンセリング , コミュニケーション , ストレス , 不登校 , 不登校支援センター東京支部 , 葛藤 , 親子関係