再登校のために大切なことは?③
こんにちは。不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
本日は「再登校のために大切なこととは?」というテーマの第3回目についてお伝えしていこうと思います。今現在不登校にある状態のお子さんが再登校をするために必要な3つのポイントして、
①心の状態を知り、自己理解を深める
②学校との連携をはかり、環境を調整していく
③その子が勇気を持てるように周囲が関わっていく
ということを挙げさせていただきました。
①についてのブログはこちらから(再登校のために大切なこととは?①)
②についてのブログはこちらから(再登校のために大切なこととは?②)
本日は③の「その子が勇気を持てるように周囲が関わっていく」ということについて考えていきたいと思います。最後までお読みいただければ幸いです。
「勇気づけ」という関わりについて
アルフレッド・アドラー(1870年2月7日 – 1937年5月28日)というオーストリアの精神科医、心理学者の名前を耳にされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アドラーが提唱した理論はいくつもあるのですが、特に子どもたちへの教育の重要性を感じており、様々な経緯で勇気をくじかれてしまった子に対して「勇気づけ」というものが必要になってくると語っていたようです。
勇気づけとは「困難に立ち向かい、乗り越えるための活力を与えること」と言われます。そしてアドラーは人の悩みはほとんどの場合、人間関係の悩みに行きつくと考えていたため、先に挙げた「困難に立ち向かい、乗り越えるための活力を与えること」とはすなわち、人間関係上の困難を克服していく力を与えていくことと言っても過言ではないでしょう。
勇気づけの実践
本来は勇気づけの前提となってくる考え方などもお伝えするべきですし、また人によってどんな関りが勇気づけとなってくるのかに違いはあるため、今から挙げるものが全て勇気づけになるとは限らないのですが、実践の中でも参考にしていただけるものはあるかと思いますので、共に見てまいりましょう。
①ありがとうを伝える
よく「褒めること」は良いことだと言われることもあるかと思いますが、アドラー心理学における「勇気づけ」は褒めることとはニュアンスが違います。褒めるとは「えらい!よくできたね!」のように上下の関係から発せられる言葉が多いとされます。それに対して勇気づけは横の関係を重視しており、その中でよく使われるのが「感謝を伝える」「ありがとうを伝える」というものです。例えば「お手伝いをしてくれてお母さんすごく助かったよ!ありがとう!」「今日は早くに起きてくれたからお父さんはとても助かった。」など、感謝の気持ちを伝えることは横の関係から発せられる勇気づけの一種です。これによって子どもは、自分は誰かの役に立っている、誰かのために貢献できているという感覚を持ちやすくなり、もっと何かの・誰かのためになることを考えてみようと思いやすくなっていきます。
褒めることも決して悪いことではないのですが、「よくできたね」などの声かけは、“評価されている”という受け取り方をする可能性もあり、その子どもは褒められるという評価をもらうために行動することが多くなるリスクもあると言われます(褒められなければやらないというスタンスになりやすいリスクとも言えます)。
②過程を重視する
「結果承認」に対して「過程承認」という考え方があります。例えば子どものテストの点数など、ついつい結果を見て「よくできたね」「今回は点数をとれなかったね」など、その結果に対して声をかけてしまいがちですが、
「いい点をとれるくらい、毎日一生懸命頑張って勉強していたことをちゃんと見ていたよ」や
「点数は高くなかったかもしれないけど、この問題できるようになったんだね」など、
その過程に目を向けてみること、そしてあくまでも加点主義で子どもの成長に目を向けてあげることで「自分にも頑張れたことがあるんだ」という自信にも繋がっていきます。
③子どもに判断をゆだねてみる
これは意外と見落とされがちなのですが、子どもたちにも意思や考えがあり(中には意思が感じられない、言葉にしてくれないなどの状況に出くわすこともあるかとは思いますが)、その意思・考えを聞いてあげること、判断をゆだねてあげることもとても大きな勇気づけになってきます。
「こうしたほうが良い」「このやり方にはリスクがあるからやめた方がいい」など、もちろん経験や知識は親御さんの方が多くお持ちですし、子どもたちに嫌な思いをさせないためにこのような判断をされる時もあるかと思いますが、「あなたはどう思う?」「ここはお母さんお父さんもわからない所だから、〇〇の意見を聞かせてほしい」など、自分の意志や考えを尊重されることで子どもたちは大いに勇気づけられていきます。
子どもが自由で正直な気持ちを伝え、それを受容してくれたという実感が「自分にも出来ることがある」「自分の意見は誰かのためになる」「もっと自分を出していいんだ」というやる気にも繋がっていくことでしょう。
最後に
いかがだったでしょうか。「再登校のために大切なことは?」というタイトルで3回にわたってブログでお伝えしてきました。今回の「勇気づけ」というテーマは子どもたちが再登校のために不安を抱えながらも一歩踏み出すために大切な概念になってくると思います。こちらはご両親からだけでなく、もちろん学校の先生とも連携をとりながら、あるいは私たちカウンセラーのような第三者も常に意識しながら関わっていきたいポイントになります。
今後も不登校支援センター一同、親御様やお子様のサポートを全力で考えていきたいと思いますので、何かありましたらお気軽にご連絡くださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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