不登校解決現場レポート

先延ばし癖を改善できるかもしれない研究が東京大学で発表されていました

こんにちは。
仙台支部の上原です。

皆さんはついつい物事を先延ばしにしてしまうことはありますか?
私もこれまで様々なことを先延ばしにしてしまうことがありました。
不登校の子ども達の中にもこの「先延ばし癖」のようなものを持っている子は多くいるように思います。
今回はそれについての興味深い研究がありましたので紹介します。

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先延ばし癖は改善できる?

東京大学大学院総合文化研究科の開一夫教授と、博士課程の柏倉沙耶らによる研究グループがこの研究を発表してくださいました。
詳細が気になる方はリンク先をご確認ください。
※東京大学教育学部のHPへ飛びます。特に「時系列的ストレス観」と「時系列的幸福観」の辺りは説明しようと思うと長くなりすぎるのでほぼ触れていません。各自論文をご参照ください。
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/20240530140000.html

今回の研究を簡単にまとめると、

  • 「今よりも未来のストレスが増えることはない」と信じる人は、深刻な先延ばし癖が少ないことを発見
  • 新指標である「時系列的ストレス観」と「時系列的幸福観」を導入
  • 楽観的な未来観を持つことが、先延ばし癖の改善に寄与する可能性が期待される

とのことでした。

つまり楽観的であったり、先に希望を持っている人は物事を先延ばしにせず、すぐに行動する傾向がある可能性を示唆したものでした。

先延ばし研究における「先延ばし」とは「深刻な先延ばし」を指しているそうです。
深刻な先延ばしとは「課題を先送りすることによって不適応な結果を招くとわかっていても先延ばしにしてしまうこと」とされています。

この「大変になると分かっているのに動けない」という状況は不登校の症状に似たものを感じます。
将来のことに向き合わないと苦労するだろうなぁと感じながらも、それを考えると苦しくなるので、目の前の娯楽やまったく別の努力にばかりエネルギーを割いてしまう、そんな子たちは結構多いかもしれません。
そうなってしまう要因の一つが今回の研究から見える部分「今動いたってどうせ未来はもっと暗い」と感じてしまう心が行動を妨げている可能性があるということなのかなと感じます。

楽観的になれば行動できる?

では楽観的になればいいのかと思っても「言うのは簡単だけど急に楽観的になんてなれないよ」というのが正直なところでしょう。

そもそも、「今よりも未来のストレスが増えることはない」と信じる未来楽観思考なんてものを持っている、すぐ持てる人はここに悩まないと思います。
ジレンマではありますが、悩む人ほどそれが必要ってことですね。
ならばどうすればよいのかを考えました。

私が注視したのは「先延ばし癖のある人は一貫して「未来を軽視する傾向」があることが示されてきました。」という部分です。

未来を悲観的に捉えているとかそういうことではなく、未来を軽視、軽く見ている、という部分ですね。

軽く捉えているというのは楽観的にも感じられまずが、実体としては「そのことを考えていない」という状態が近いのではないでしょうか。

人間というのは「分からないものは怖い、不安だ」という感情が出やすいです。
分からないままだと不安というのは理解しやすいと思います。

でも分かるためにはそのことを見たり聞いたり調べたり、と自分で考えたり人と話したりする必要がありますね。

はい、もうお気づきだと思いますが、未来を軽視している人はこれが足りていないのでは?と私は感じました。

軽視しているから考えない⇒考えないから分からない⇒分からないから不安⇒不安になることは考えたくないので軽視⇒最初に戻る

こんな感じの悪循環を起こしてしまっているようなイメージです。

偉そうに言っていますが、私自身こういう思考になっている部分は多々あると思います。

ではどうすればいいのか?

じゃあどうしよう、ということに関してもヒントはありました。


論文では、先延ばしを減らし、将来のために行動できるようになるには、未来に希望を持つことや、希望を持てるようなサポートを受けること が有効である可能性を示唆していました。

希望を持てるようなサポートと一概に言っても色々あると思いますが、大前提として、自分の未来と向き合う、自分の未来について考えてみることは必要だと思います。

例えば現状が〇〇であるということは一旦外して、10年後自分はこんな生活をしていたいな、とか、1ヵ月後、1年後、5年後、10年後の自分の未来を想像して「こんな風になっていたい」を見つける練習が有効かもしれません。

荒唐無稽な実現不可能なものでもいいですし、現実に合ったやれそうなことでもいいです。
まずはそれに目を向ける時間を作らないといつまでも考えないまま過ごしてしまう可能性があります。

カウンセリングの場面でもよく先の話を聞いたりします。
聞くことによって改めて考えたりするきっかけになるかもしれません。

自分一人で考えるのは難しいに面倒くさいものです。
せっかくの時間ですのでそういったことに目を向けるのもいいかもしれませんね。
それではまた。

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