【あらためて解説】不登校の子は家で何をして過ごすと良いのか?
こんにちは、不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
5月はGW明けという時期でもあり、知らず知らずのうちにストレスが溜まっていく時期でもありますので、親御さんお子さん共に心身の健康を保っていただくことを切に願っております。
さて今回は、以前執筆したブログの内容の中で、今だからこそ親御様に知っておいていただきたい内容を「あらためて解説」という形で投稿させていただきます。
最近カウンセリングの中でご質問として多くいただくのが 「子どもたちに家の中で何をして過ごさせれば良いのか?」というものです。
学校生活が全てではないとうたわれる今日(こんにち)ですが「不登校の子たちが普段から家で何をして過ごすことが望ましいのか」 というテーマについてお伝えしていきます。最後までお付き合いいただければ幸いです。
家の中での過ごし方を見ていて不安やイライラを感じることはありませんか?
子どもが不登校になると、親御さんとしても様々な思いをはせることと思います。 最初こそ「今は休ませた方がいい」と思えても、例えば家の中でゲームやインターネットに夢中になっていたり まったく勉強する様子がなかったり、およそ「不登校で苦しんでいる」という風には見えないとなると
- この子の将来、本当に大丈夫かしら
- 一体いつまでこんな生活を続けていくんだ
- 少しくらい学校のことを真剣に考えてほしい
と、不安や焦り、怒りさえも感じられることがあるかもしれません。
親御さんがそのように思われるお気持ち、当然の事と思います。 わが子のことだからこそ感情が高ぶることだってありますよね。
※不安や焦りでお疲れの時は下記ブログも参考にしてみてください
(参考:不登校で悩み疲れた時に効果抜群!3つの対処法とは?)とはいえ、いわゆる「正論」をぶつけても子どもたちから良い反応が返ってこない ということも目に見えていて、にっちもさっちもいかない状況に陥ることも あるのではないかと思います。
では果たして、 家の中でどのように過ごさせると復学への準備や その子の将来のためになる時間の使い方になるのでしょうか? もちろんマニュアルがあるわけではありませんが、心理学的視点から 家の中での過ごし方についてのポイントを3つほど紹介させていただこうかと思います。
①自分の長所や可能性に気づけること
自分の長所や可能性について気づけることはとても大切な視点になります。 心理学者アルバート・バンデューラは「自分がとある状況において必要な行動をうまく遂行できると、 自分の可能性を認知していること」を“自己効力感”として提唱しました。 傾向として、不登校状態になるお子さんというのは自己効力感が低い、 言い換えると「自信がない(少ない)」傾向があります。
このような子たちに対しては、やはり自信をつけてもらう、
自己効力感を高めてもらうことの出来る過ごし方が出来ると効果的です。
切り口としては「ゲーム」でも「工作」でも良いのです。 例えば最近「あつまれ どうぶつの森」というゲームが流行っていますが、 自信をつけるにはとても良い要素が含まれているようにも思えます。
どういうことかというと、このゲームには自分で家を建てたり、インテリアや 自分の着る服をデザインしたりと「創作」の要素がふんだんに盛り込まれており 自分の思わぬ「センス」に気づけることも多々あるのです。
とある子はこのゲームを通じてインテリア・デザイナーに興味を持ち始めました。 ご家族の皆さんもその子の創作する世界観に興味を持ち「こんな才能があるなんて気づいていなかった」 という発見があったそうです。そうすると少し将来のことを考えていきやすくなりますよね。
もちろんただただゲームを楽しんでいるだけでは自信を持つことも難しいかもしれませんが、 そこにどんな意味合いを持たせることが出来るかや、周囲の人がどのような視点でこの状況を捉えるかが とても重要なことと言えるのではないでしょうか。
(参考:【具体的な3つの事例付】子どもの能力を最大限に伸ばす方法)
(参考:【事例付】ゲームやインターネットは不登校の味方なのか?)
②コミュニケーションを学ぶこと
これもあくまでも傾向ですが、学校に対して嫌なイメージを持つ子というのは お友達や先生との会話の中でうまく自分の意見を伝えられなかったり、 相手の話を歪んで受け取ってしまったり、あるいは自分自身との内的対話において 必要以上に自分を責めてしまったりしてしまいがちです。
例えば挨拶をしたのに返ってこなかったという現象を「無視された」⇒「自分は嫌われているんだ」と変換。 あるいはやりたくない事を頼まれてうまく断ることが出来ずストレスをため込んでしまう等。 積り積もってくることで学校への足を遠ざけてしまうことは多々あることと言えるでしょう。その意味において2つ目に大切なのは、不登校期間でも「コミュニケーションの方法について学ぶこと」 です。とはいえこれは講義や講演に参加しましょうといったものではありません。
どういうことかというと、親御さんをはじめ、周囲の人たちが子どもたちの 良きコミュニケーション・モデルとなることで、子どもたちに体感的に気持ちの良い コミュニケーションとは何かを学ばせてあげるということです。
もちろんアサーション(※アサーションとは、より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルの一つ)
など、専門的なスキル使って接してあげることも重要となりますが、 大前提として意識していただきたい点としては
- 「話を“聴く”姿勢を感じさせてあげること」
- 「関心をもって接する態度を感じさせてあげること」
これらのポイントです。
親御さんとして、「もっと素直に話を聴き入れてほしいのに!」と思う場面も多くあると思います。 そんな時にも効果的なのがまずは聴き上手な姿を見せて良きお手本になってあげることと言えます。
余談かもしれませんが、ハーバード大のとある研究においても成功への最大の自己投資としてあげられるのがこの 「コミュニケーション能力」だという結果が出ているそうです。
なお、以下コミュニケーションに関わるブログを掲載させていただきますので 詳細についてはこちらも参照していただけたら幸いです。
(参考:親に学校の話をしない子どもが思わず話したくなる方法とは?)
(参考:これだけで変わる!相手と良い関係を作る効果的な質問テクニック)
③家の中で役割を担うこと
3つ目に挙げたいのが、家の中で役割を担えるように過ごしてもらうことです。 「アドラー心理学」では、人が幸せになるためには共同体の中で役割を担っているという “貢献感”こそが大切であり、どんなに優れた能力を持っていたしてもそれが発揮されず 誰かの役に立っているという感覚がないと幸せにはなれないとしています。
不登校になるとクラスメイトの中で役割を担うということが出来にくくなります。 その分家の中で貢献感を持ってもらうことが効果的な過ごし方と言えるでしょう。
では家の中で役割を担うとはどのようなことを指すのでしょうか?
分かりやすいものとしてはお手伝いというものが挙げられるかと思います。
料理や洗濯、お風呂掃除、機械関係が得意なお子さんだったらパソコンの設定や 修理などを任せるのもいいかもしれません。
そして家族で何かのテーマについてお話をする機会があれば必ず今不登校の状態にあるお子さんにも 意見を求めるといった場面設定をしてあげることも効果的です。
不登校期間には実は大きく心の成長が図られており、「いつの間にかこんな意見を言えるように なっていたんだ」と実感させられる場面にも遭遇するかもしれません。こちらも関連したブログを掲載させていただきます。 (参考:わが子は将来、社会生活を送っていけるのか?)
最後に
今回は家での過ごし方として効果的な3つのポイントについてご紹介させていただきました。 もちろん学校の環境と同じように勉強に取り組むことが出来れば大変大きな意味合いを持つと思います。 しかしなかなかそのようにうまくいかない時には、今回のようなポイントについても考えてみていただけたら幸いです。 また、現在不登校支援センターではカウンセリングをオンラインで実施できる体制も整えております。 何かお困りのことやご相談したいことがありましたら、お気軽にご連絡くださいね。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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