災害や事故など思いもよらない事態に陥った際に必要な心のケアとは
こんにちは。
東京支部の椎名愛理です。
新しい年が始まりましたが、今年は年始から災害や事故など心が痛むような出来事がございました。
被害に遭われた方に、心よりお悔やみ申し上げます。
こうした災害や事故というものは、個人の力ではどうすることもできず、避けることも難しいものです。
不登校という状況に心を痛めているご家族以外にも様々な方が私共のブログを読んでくださっておりますので、本日は避けがたい事態に陥った際の心のケアについてお話したいと思います。
災害や事故の恐怖とは、予想、想像、事前の対処ができないもの
言うまでもない事ですが、災害や事故はいつだれがどこで巻き込まれてしまうか、予想ができません。どれくらいの被害になるのか、どのような痛みなのかなど想像することができず、またそれによってどれほど心が傷つくかも計り知れません。
人の心は、こうした予想できない事態、想像できない痛みに対してとても脆く、いざそうした事態を目の前にすると、自分の日常の全てが崩れ落ちていくような感覚や、平和な日常が一瞬にして大きな力によって奪われてしまった衝撃を受け、傷つきます。
そうした衝撃や傷みに対して、日ごろから心の準備を出来ていればいいのかもしれませんが、そういかないものがこうした不慮の事故や不測の出来事です。
人の心は、こうした準備ができない事態に陥ると混乱し様々なSOSのサインを出します。
- 眠れない
- 食欲不振
- 苛立ちが抑えられない
- 以前出来ていたことが、以前のようにできない
- 不安感が強く、ふとした瞬間に涙が出る
- 無理に元気に、明るく振舞ってしまう
など、不調のサインの現れ方は人それぞれですが、様々な「前とは違う」という何かがご自分の中に、または大切なご家族にもみられるかもしれません。
子どもの心のケア
こうしたSOSのサインは大人にも子どもにも表れるものですが、特に子どもの場合には大人よりもこうしたサインが顕著に表れる場合があります。
それは、子どもの方が大人よりも様々な経験が少なく、受ける悲しみや衝撃に対しての抵抗力(慣れ)が少ないためです。
そんな子どもたちの心が、こうした傷を受けた場合どのようなケアが求められるか、いくつかご紹介させていただきます。
◆安心感のある時間を意識的に設ける◆
ショックな出来事が起きた際、気持ちが傷つき、落ち込み、大きな不安が押し寄せます。
そんな時、いつもと変わらない日常がそこにあること、自分を守り、心から必要としてくれる人がいることが心の傷を少しずつ癒していきます。
安心感のある時間とは、例えばご家族で同じ場所、同じ時間を共有すること。朝の「おはよう」から寝るときの「おやすみ」まで、何気ない挨拶を通して、変わらない日常がそこにあることを感じられること。中にはスキンシップが苦手、気恥ずかしい、年齢的に子どもがそうした関わりを求めていないという場合もあるでしょう。なので、何気ない一言をかけていただくだけでもいいのです。ご家族が、ただそこにいる、自分を見てくれているという感覚が安心感につながっていきます。
◆衝撃的な映像や情報を繰り返し見ることを避ける◆
大きな災害や事故が起きた際、テレビをつけると常にそのニュースが流れ、地震速報のアラームが鳴り、落ち着かない不穏な雰囲気が常に感じられる、といった場合が多くあります。
子どもの心は、お伝えした通り大人と異なり様々な経験を積んでいる最中です。そのため、こうした衝撃的な映像やニュースに耐性が少なく、大人が想像している以上に衝撃を強く感じているという場合が考えられます。
しかし、自分の気持ちを言葉で表現することが難しいため「ニュースを消して」「悲しい気持ちになるから、そうした情報には今は触れたくない」など明確に意思表示することが難しいこともあります。
そのため、こうした事態に陥った際は身の安全を守るための情報収集と共に、心の安全を守るために情報収集する時間、機会を適宜取るという事も大切になります。
◆子どもの心には、自分で良くなっていく(回復していく)力があることを知る◆
こ災害や事故などの出来事を経験した後だけではなく、心には常に自己回復力があります。
自己回復力とは、必要な時間、支援、愛情などを受けながら自然と心が元の状態に戻っていく力をいいます。時には医療的なケアや専門家のサポートが必要な場合もありますが、心が持っている「自分で良くなっていく力」を信じ、近くで共に時間を過ごしていただくことは、医療従事者や私共のような専門家ではなく、ご家族だからこそできる大切なサポートです。
一年の始まりに、様々な出来事がありお気持ちが沈んだり、ご不安を感じている方も多くいらっしゃることと思います。
お伝えしたケアはほんの一握りにすぎず、他にも心の健康を守り、高めるためにできることが沢山ございます。
本年も、こうした皆様の心にとって大切な情報を沢山お届けして参りますね。
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