カウンセラーが考える『受験』という転機の乗り越え方
こんにちは。
東京支部の椎名愛理です。
12月に入り、いよいよ年末の忙しさが近づいてきましたね。大人も子どももこの時期は、どこか気持ちが落ち着かず、せわしない雰囲気を感じていることと思います。
今日は『受験』について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
~受験、それは転機~
話しは逸れますが、私は千葉県の田舎出身です。私の住んでいた地域は公立小学校が2校(片方の小学校は1学年1クラスのみの小規模な学校)で、中学生になると2校に通う小学生が町に1校しかない中学校に通うことになりますが、それでも1学年3クラスの小さな学校でした。他に公立中学はなく、高校になっても県立高校は2校ほど。そんな地域でしたので、私立小学校、中学校に受験を経て進学していくという進路自体がありませんでした。
高校になってやっと、電車で片道1時間半ほどかけて私立高校に進む道もありましたが、そうした道を選択する方は少なく、多くの方が初めての受験は専門、短大、大学受験ということが多かったのです。
そうした土地出身ですので、私が都内で、そして今の立場で様々なご家庭や学校とお話をさせていただくと「小学生が受験をすること、幼稚園生から受験をすることがこんなにメジャーだったのかっ」と驚いたことを今でも覚えています。
こうしてカウンセリングを通して多くのご家族とお話させていただくと、親御さんそしてお子さんにとっても『受験』という選択が、その後の道を大きく左右する、まさに人生の転機なのだと改めて感じます。
- 「A高に進んだら、そのまま大学まで進学できる。」
- 「B高の場合は内部進学はないけれど、勉強の進度がゆっくりだから自分のペースで勉強ができそうだ。」
- 「C高は部活が強いから、勉強は大変そうだけど、遣り甲斐を感じそうだ。」
など様々な視点から、それぞれの道を比較しながらお子さん目線では自分にとって、そして親御さん目線ではお子さんにとって最善の道はどれだろうと考え、決断し、その道に向けて努力をされる。
それが『受験をする』という選択です。
カウンセリングの中でも、この年末年始の時期は特に受験というワードがお話に出てきます。
「まだ第一希望の学校が決まらない」
「学校が決まっても勉強する気になれない」
「あと〇か月しかないのに、思ったように結果がでていない」など、皆さんそれぞれに同じ転機に対して苦しさや迷いなどを感じていらっしゃいます。
そんな時、受験だけではなく、例えば転校や大切な人との別れなど様々な人生の転機に対してどのような心持が必要なのかについて、少しお話しようと思います。
~人生の転機に必要な4つのS~
これは心理学的なお話になってしまうのですが、ナンシー・K・シュロスバーグという心理学者が人生に起こる様々な転機に対して、4つの視点から柔軟な対処ができるのではないかという理論を展開しました。
その4つのSとは
状況(Situation):その転機がどのようなものか、一時的に起こる転機(課題)か今後も継続する転機なのかなど、状況を把握して整理、理解する
自己(Self):その転機に対しての自分の気持ちや興味、現在転機を乗り越えるためにどのような力や経験を持っているのかなど整理、把握する
支援(Support):家族、周りの人、公的機関、民間団体など、自分以外の支援先には何があるのかを把握、検討する
戦略(Strategy):転機を乗り越えるための方向性や期限、どのように乗り越えるのかなどの行動計画を考える
です。
例えば、大学生にはなりたいけれど、どこの大学にいきたいか、また何を学びたいかなどは全く決まっていないまま高校2年生になったお子さんがいたとしましょう。
そのお子さんの状況や、お子さんの行動、お気持ちなどを4Sに沿って考えてみると、
状況(Situation)としては、将来の進路として大学にいきたいという大枠は決まっているものの詳細(どの大学か、学部はどこかなど)は決めかねている。決断をする機会は今までにもあったが、決断するための材料となる情報収集をすることに対して、腰が重いような様子で、出来れば考えることを先送りしたいと言った様子がみられた。今後も折々で(例えば就職活動の時など)選択や決断を迫られた時、同じように行動を先送りしたくなるかもしれない。
自己(Self):大学生にはなりたいという気持ちからも、「高校を卒業してすぐに社会にでるのは自分には向いていない」「他の子と同じような進路選択をしたい」などの希望がある。しかし、過去に自分で進路決定など大きな決断を経験していないため、何を軸に将来の選択をしたらいいのか、どのような予定で情報収集を進めたらよいのかなどが漠然としている。
支援(Support):家族が一番身近なサポーターであるが、思春期などもあり家族のアドバイスは中々聞き入れにくい状況である。学校の先生には少し心を開いている。通い始めた塾では受験対策として学習面のサポートを受けているが、具体的にどのような学部が向いているかなどの意見を聞いたりは現在していない。
戦略(Strategy):高校3年生の夏までには希望大学、学部、受験方法なども決定していきたいため、高校2年生の間にアドバイスを受ける先となる先生を決め、先生との関係性を深めていく。また、どのような受験方法があるのかなどは親子で確認した方が、間違った情報で受験対策を進めてしまうリスクを避けられそうである。
等です。
ここで記載したAさんは、あくまで例ではありますが受験を前にして、何から始めたらいいかわからない、親御さんとしてもどのようにサポートしたらよいかわからず、矢継ぎ早にせかしてしまい、親子でぶつかってしまう…などというお話もよくお伺いします。
そんな時、今の状況を整理する際にぜひ4つのSに当てはめ、今できること、誰の力を借りたらよいか(または借りないでご自身で乗り越えられそうか)、どのような順序で行動していこうかなど考えていただけると良いかと思います。
とはいうものの、中々ご家族だけで考え、選択し、決断し、実行まで行動するのは難しいものですね。そうした際、客観的な立場である第三者だからお役にたてることもございますので、受験という転機でお悩みの方がいらっしゃいましたら是非一度初回面談にお申込みくださいね。
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