【再掲載】なかなか行動が伴わない不登校の子どもへの関わり方とは?
こんにちは。不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
本日はカウンセリングの中でよく親御さんが頭を抱えられる内容について、実践的な対応法も含め、ご紹介していきたいと思います(本ブログは2020年10月5日に掲載されたブログの再掲載となります)。
「明日からは行くよ」「来週から勉強始めるよ」
「明日からは行くよ」「来週から勉強始めるよ」などなど、子どもたちがこのように “宣言” をしたのにも関わらず実際その日になってみると行かない、やらないというケースに遭遇することはないでしょうか?
親御さんからすると「昨日行く(やる)って言っていたのに!」と裏切られたような気持ちになることや、さらにはこれが常態化していくと「またか・・・」と半ばあきらめモードになってしまうこともあるかもしれません。
本日はこのような状況に遭遇した際、抑えておいていただきたいポイントをお伝えしようと思います。
①発言の意味や背景を考えてみる
子どもたちが「明日からは行くよ」という発言をする意味や背景には何が隠されていそうでしょうか?
意味や背景という言葉だと少し堅苦しい表現になってしまうので、「この子は私にどう思ってもらいたいんだろう」や「この子はどういう気持ちからこのような発言をしているのだろう」などと言い換えても良いかもしれません。
例えば
- 心配をかけたくない≒安心させたい
- 明日行くと言っておくと、自分を奮い立たせられる
- 宣言すること自体が大切な事
…etc.
と、その子の状況によって発言の意味は異なってくると思いますが親御さん自身に心の余裕がなかったりすると、どうしてもネガティブな意図として受け取りやすいこともあるかもしれません。
「その場しのぎの発言をしている!」「どうせ行く気なんてないんでしょ!」と思えることもしばしばですよね。
これはある意味性善説や性悪説などの話にもつながる話ですが、一旦は性善説の立場に立って、その子の肯定的な意図に目を向けてみることが大切なように思えます。
というのは、性悪説の立場に立ってしまうと疑念や否定を向けるやり取りに陥ってしまい、より関係が悪化してしまう可能性があるからです。毎日のように子どもと接していく中では、大変難しいことだとは思います。ですので頭の片隅にこういった意識を置いておいていただければ幸いです。
②「Yes,but」から「Yes,and」のやり取りに
①では発言の意図や背景を考えてみることをお伝えしましたが、行動が伴うように働きかける実践的なやり取りとして、一つ効果的なものをご紹介したいと思います。
ビジネスでもよく言われることなのですが、一旦は受け止めた上で自分の意見を伝える「Yes,but構文」というものがあります。
「そっか、明日は行こうと思ってるんだね。(Yes)でも(But)そのためには早く寝ないとね。」
「来週から勉強しようと思ってるんだね。(Yes)けど(But)今日から出来ることも考えようね。」
といったところでしょうか。
これも決して悪くはないと思っています。
一方、言葉にはデザインというものがあり、「でも」「けど」「だって」などの言葉は否定されたと受け取られることが非常に多いのも実態です。
とかく防衛的な心理状態になっていると、「でも」「けど」などの表現には敏感に反応する子が多いように思えます。一旦否定されたと感じてしまうとより殻に閉じこもってしまい、やる気をなくしてしまう子も多くいます。
そこで試してみていただきたいやり取りというのが「Yes,and構文」と呼ばれるものです。
「そっか、明日は行こうと思ってるんだね。(Yes)そしたら(and)早く寝ないとね。」
「来週から勉強しようと思ってるんだね。(Yes)そのうえで(and)今日から出来ることも考えようね。」
いかがでしょうか。少しだけマイルドな表現で伝わったように感じないでしょうか。「でも」や「けど」を避け、〔and〕の意味になるような、「そうしたら」「であれば」「そのうえで」「さらには」などの表現で伝えていくことでコミュニケーションの円滑化が図られ、相手がやる気を落とさず行動に移しやすいやり取りになっていくのです。
さらに応用編になってくると、①と②を組み合わせて、子どもの意味や背景に目を向けながらYes,and構文を使うというやり取りも生まれてきます。
「そっか、明日は行こうと思ってて、お母さん安心したよ。(意図をくみ取った上でYes)そしたら(and)早く寝てくれるとお母さんはより安心できるよ。(意図をくみ取った上での意見)」
「来週から勉強しようと思ってて、まずは自分にも言い聞かせてるように思えるね。(意図をくみ取った上でYes)そのうえで(and)今日から出来ることも考えられるとさらに自分を奮い立たせられるかもね(意図をくみ取った上での意見)」
などなど、組み合わせていくと効果的ですがあまり考えるとぎこちなくなってしまうかもしれませんね笑
テクニックよりも大事な事
これはカウンセリングの中でもお伝えすることなのですが、最終的には何を言うかではなくどんな気持ちで言うかの方が大切だと思いますし
「これを言えば良い」という正解フレーズというのはないのだと思います。
逆もまたしかりで、子どもが何を言ったかではなくどんな気持ちで言ったかの方が大事だと言えるのではないでしょうか。
私自身も経験があるのですが、「約束したのに」「以前〇〇と言っていたのに」と相手の “発言” に頭を悩ませていましたが、もしかしたら「そう言わせてしまっていたのかもしれない」「そう言わないとこの場を収めることが出来ない・・・と思わせてしまったのかもしれない」と、自身の行動を振り返りました。
そんな私ではありますが、是非親御さんと共に「納得解」といったものを探して、実践しようと思える関わり(ーそれは言葉がけだけではなく、親御さんとしてのスタンスや雰囲気づくり、気持ちの持ちようや子どもを見る上での視点ー)を考えていければ幸いです。
本日は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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