教職員向け

不登校児童増加による今後の教育環境への影響

皆さん、こんにちは。

不登校支援センター 横浜支部の庄子です。

GWが終わり、1学期もいよいよ中盤に差し掛かりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか?

不登校の相談件数はGW明けから増え出し、6月がピークになります。学級運営にも影響が出始め、苦労されている先生もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

その上で、今回は「不登校児童増加による今後の教育環境への影響について」お話をしたいと思います。

不登校児童は年々増加中

2021年度の小中学校の不登校児童生徒数が24万4940人にとなり、不登校児童生徒の数は少子化と反比例するように、9年連続で増加しております。

 また、この人数は高校生が含まれていない為、含むと30万人を超すことも示唆されています。

 さらに、隠れ不登校(保健室登校、不登校予備軍)や通信制学校に在籍している子どもの状況が不透明な為、潜在的不登校はもっと居ると言われております。

 この様に不登校が増加することを余り予知していなかったことや不登校に対して偏見もあり、具体的な対応策が取られてきませんでした。ここに、コロナウイルスの影響も加わり、不登校の数が激増したのです。

 では、この不登校児童が増加することにより、どの様な影響が考えられるでしょうか?

①不登校の状態のまま大人になる。

1つ目は不登校の状態のまま大人になる可能性です。

 不登校の状態とは「社会に参画出来ない状態」と言えます。学校を卒業したとしても、

・コミュニケーションに自信が無い。

・自分に自信が無い。

・やりたいことが無い。

など、他者や社会と関わる為の材料が乏しい状態を指します。現に、通信制学校やサポート校、高等学校を卒業したとしても、環境が自分に合っている場合は何とか過ごせてしまいますが、いざ、トレーニングを怠った状態で社会へ出ると逆もぼりのケースも少なくありません。すると、4070問題や5080問題など、大人の引きこもりに繋がる可能性があります

 また、大人になればなるほど、今までの自分の経験値の中で生きたい、変わりたくないと思うことが強くなりやすいため、現状を変えることがより難しくなります。その為、不登校になり、復学を果たす・果たせないで状況は異なりますが、その子に合ったプランニングを根本的に立てて行くことが必要です。

 つまり、不登校状態を脱する為には環境を整え、そこで落ち着かせるのではなく、次への布石を打つことが大切です。次への布石を打つことが根本的な不登校の解決へ繋がります。

②今後の少子化への懸念

 現在でも少子化が進んでいる中、不登校が増え続けることや大人になった時のぶり返し(引きこもりなど)が起こる可能性を考えた時、更に少子化が進む可能性があります。

 学校の役割として、「卒業させる」ことだと思います。その上で、今の子ども達が大人になり、本当の意味で、社会で活躍しなければ、物理的に学校の存在が無くなることを考えなければいけない時代になりました。

 当然、社会に参画出来なければ、働くことは無く、出会いもありません。そうなれば、必然的に出生率が下がり、子どもの数は下がる一方であり、少子化が更に加速することになります。

 不登校だとしても社会に参画することが出来ればこの問題は解消されます。しかし、引きこもり型の不登校の場合は人と会う事、人の中に居ることに抵抗感が強くある為、社会に出ることに否定的です。

つまり、自立することが難しい為、社会に出ることはかなり困難な状況と言えます。社会に出ることが出来る様にトレーニングすることが重要です。

 

③教育環境の変化

 不登校が増え、少子化が増えることで学校の数は増々減少をして行くと思います。ただでさえ、不登校の子どもにとっては「何の為に学校に行くのか分からない」と言っており、大人側の「行くべきところ」、「将来の為に行くべき」などの理由が通らなくなって来ております。

 また、政府としても不登校の子どもに対して「居場所を作ること」を目的とした動きがみられており、「学校に戻る必要性の低下」が見られます。そうなると、今までの学校の形に固執しなくても良いことになり、フリースクールや通信制などの多様に学べる場が主になる可能性があります。

 この様な変容を見せる中、大人たち、特に学校の先生達の対応は増々多様性を求められることになりますし、仕事量は増え続ける一方だと思います。

 この様な情勢の中で、大人たちも「学校は無理して行かなくても良いのでは?」と思う様になると思いますし、「その子に合った場所があれば良い」と考えるでしょう。

 しかし、本当にその考え方が正しいと言えるでしょうか?

 学校が最終的なゴールでなくても良いとは思いますが、学校のメリットを見せずにデメリットばかりを見せる、感じさせることが主になっていることはもったいないことだと思います。

 学校は「小さな社会」と言われております。その小さな社会で学べることや行かせることは多分にあると思います。そのメリットを大人側が不登校の子どもに合わせながら、どう導くことが出来るのか?がとても大切です。

 現状の不登校対応を良く耳にしますが、この導き方が分からない方が多くいらっしゃると感じます。人は分からないものを探求することもあれば、触れないようにすることもあります。しかし、触れないことを選択した際、その子ども達の時間だけが過ぎて行き、後悔する子も居ると思います。教育環境は変わったとしても、その子どもの未来はその子だけにしかありません。

 また、よく、著名人の中で「私もこうなれたから大丈夫」とお話される方がいらっしゃいます。子ども達は素直で真面目な為、希望に感じ、安心感を得ることになりますが、あくまで一部の人であり、その方々なりの社会性を身に付ける為の努力をしたからこそ、その状態になったと言えます。その努力した部分を見せて行くことが重要ですし、学校が必要ないという結論には至らないと思います。

不登校児童増加による今後の教育環境への影響

 如何だったでしょうか?

 不登校児童が増加することは一過性のものとして見るのではなく、これからの日本の社会に目を向けて行く必要があります。ここから目を逸らしてしまうと、教育のみならず、様々なことに影響が及ぶと考えられます。

 不登校問題は子ども達全体の約3%だから大丈夫、と思っていてもこれからも増える可能性を考えると見逃せません。大人の世界でも精神科や心療内科を利用する人が増えていることを考えるとストレスが多い社会、ストレスとの付き合い方が上手くない人が増えている現状です。根本的な部分を見て行く必要が大いにあります。

 今の文部科学省のCOCOLOプランの取り組みも居場所づくりとしての役割が大きいですが、その先の社会に対しての取り組みは触れ切れていません。

 セルフケアや社会復帰に向けてのコーディネートが不登校の子どもや親御さん、学校に対して必要であり、それを作って行くことが「チーム学校」としての役割だと思います。

 不登校支援センターはカウンセリングのみならず、復学や社会に参画する為のコンサルティングをしており、その為のデータや経験値が豊富です。

 教育機関の中で、不登校の問題を取り組む上で進め方が分からない方がいらっしゃいましたら、一度お問合せ下さい。学校、PTA、協会問わず受け付けております。皆さんと一緒に、この不登校の問題を考えて行ければと思います。皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。

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