【事例紹介】不登校の子どもを救う親御さんの”ことばのチカラ”について
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
寒い日が続きますが、みなさまご体調等崩されておられませんでしょうか?
本日は、ある一つの事例を紹介させていただきながら、
「親御さんのことばのチカラ」についてお伝えしたいと思います。
Aちゃんの事例
中学校2年生のAちゃんは、とても真面目で優しい性格をしているお子さんでした。
学校の先生やご両親からするとなんの問題もなく学校生活を過ごしていたように見えていたようなのですが、
Aちゃんの気持ちの中では「ちゃんと勉強しなきゃ」「友達と仲良くしなきゃ」という気持ちが強く、学校にいると疲れてしまい、
中学校2年生の夏休み明けからお休みが続いてこちらのカウンセリングに通うようになりました。
Aちゃんはカウンセリングの中で自分のことについてたくさんお話をしてくれたのですが、その中でよく、
「わたしは真面目すぎるから」
「わたしは小心者だから」
「わたしは打たれ弱いから」
と、「自分はこういう人だ」というエピソードが語られることがありました。
それらはいつもネガティブな、否定的な表現が多かったので、
「どうしてそう思うの?」と話を進めていくと、
「お父さんお母さんからいつもそう言われるから、そうなのかなって思って。」と答えが返ってきました。
お父さんお母さんのお気持ちとしては、
Aちゃんにもっと楽しく強く生きてほしい、という思いから、
「あなたってこういうところがあるよね(だからもっとこうしたほうがいいよ)」とアドバイスの意味で伝えており、
もちろんAちゃんを否定する意図はなかったのですが、
いまのAちゃんは「わたしってこういうところがあるんだ(だからだめなんだ)」とネガティブな受け取め方になり、それがAちゃんの自己像を作り上げていっていたようでした。
”ことばのチカラ”の使い方
親御さんの意図とAちゃんの受け取り方は少し異なってしまったようでしたが、
一方でそれがAちゃんの自己像を作りあげるほど、「親御さんのことばにはチカラがある」といえるのではないかと思います。
親御さんともそのことをカウンセリングの中で話し合い、よりそのチカラを発揮できるように、
ご家庭の中で、Aちゃんがもっている”強み”やいいところ”、”がんばっているところ”などのポジティブな部分にもたくさん声かけを行っていくことにしました。
カウンセリングの中でも、改めて「自分とはどういう人か」というAちゃん自身の視点からの自己理解を深めていきながら、
おうちでの声かけを続けていくうちに、
Aちゃんが自分のことを否定的に話すことは少なくなり、
反対に
「人に優しくできるのはわたしの長所かもしれないから、将来は看護師さんとか、誰かに何かをしてあげる仕事が向いてるのかな?」
と、前向きな話題も出てくるようになりました。
まじめさや優しさが自分のいいところだと自信がもてるようになったAちゃんは、
その後、中学3年生に進み、進路のことも見据えて少しずつステップを踏みながら登校していくようになりました
どのようにことばをかけるか迷ったら・・・
親御さんのことばには、チカラがあります。
そしてそれが、お子さんのチカラにも繋がることを感じた事例を今回紹介いたしました。
ことばの伝え方や受け取り方は親御さんやお子さんによってさまざまかと思いますので、
どのような声かけをしたらよいか迷う場合は、ぜひカウンセラーへ相談くださいね。
関連ワード: カウンセリング , コミュニケーション , ネガティブ , ポジティブ , 不登校 , 不登校支援センター大阪支部 , 声かけ , 自己像 , 自己概念 , 親子関係