【”こどもの気持ちを聴く”とは?】気持ちをことばにすることの意味について
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
さて本日は、不登校のお子さんへの接し方について
●子どもの気持ちを聴きなさい、と聞いたことがあるけど、それってどんな意味があるの?
●指示や命令をしすぎないほうが良いと聞いたけど、本当にそれだけで効果があるの?
と悩まれる親御さんに向けて、
「気持ちをことばにする意味合い」について考えてみたいと思います。
ある実験を例に・・・
実は、こんな面白い実験があるんです。
カリフォルニア大学の研究チームが、気持ちをことばにする(=情動ラベリング/感情ラベリングといいます)ことが不安を鎮め、
心を落ち着かせる効果があるのではないか、ということを確かめる研究をしました。
その研究では、「クモ恐怖症」の人が被験者となり、その恐怖心を情動ラベリングによって軽減することができるか、について調べるため、
被験者を3つのグループに分けました。
●1つ目のグループにはクモは無害であることを説明する
●2つ目のグループにはクモへの関心をそらす質問をする
●3つ目のグループには今感じている気持ちを言語化するように指導をする
というように、それぞれクモへの恐怖心に対する異なるアプローチをかけ、
どのグループがより恐怖心を和らげることができるのか?を見ていったんですね。
すると・・・・
3つ目の、気持ちを言語化した(=情動ラベリングを行った)グループがクモに対する恐怖心が低下し、クモを見せられたときの身体反応も減少するという結果になりました。
反対に1つ目と2つ目のグループは、恐怖心が増した(悪化した)という結果になったそうです。
つまり、クモが無害であることや気持ちをそらす質問を投げかけられるより、感じている気持ちを言語化していくことの方が、恐怖心を和らげることに効果的だったということなのです。
また、気持ちを整理できないまま説明や質問が投げかけられても、気持ちを落ち着けていくことには繋がらず、むしろ不安や恐怖が増す可能性があるようです。
気持ちを言語化することの有用性
日常生活の中でも、例えばお子さんが何か不安や恐怖心などをことばにしたとき、
「大丈夫大丈夫。」「そんなこと気にしなくていいよ」と楽観的に捉えることをアドバイスしたり、
「そんなことよりもまずやることをやりなさい」と注意をそらす声かけをしたりすることもあるのではないでしょうか。
もちろんそれがお子さんの背中を押すことばになることもあると思いますし、
その声かけ自体が悪いというわけではないかと思います。
ただ、不安や恐怖心など自分の気持ちをことばにできたことそのものにも、とても大きな意味があると捉えていただくのも大切かもしれません。
例えば上記のクモの実験の例でいうと、「怖い」「気持ち悪い」という気持ちをさらに
「どんなことが起こるのが怖いか」「どんなところが気持ち悪いか」と事細かに言語化することで結果が示すような気持ちが落ち着く効果が出たそうです。
お子さんが気持ちをことばにできたときには、その気持ちをまずは聴いていくこと。
それってこんな気持ちかな?あんな気持ちかな?とさらにぴったり合うようなことばを一緒に探してみることで、
お子さんの気持ちが軽くなることにも繋がるかもしれません。
中には気持ちを言語化することが苦手なお子さんもたくさんいらっしゃいますので、
ご家庭だけで対応を考えることが難しい場合には、ぜひカウンセリングをご利用くださいね。
お子さんに合った寄り添い方を考えていきましょう。
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