転校するのか、しないのか、高校生Nさんの決断
こんにちは。不登校支援センター名古屋支部の伊藤です。
秋も深まってきましたね。食べものも美味しいこの季節、何を食べようか迷ってしまうことも多いですね。
迷ったときに何かを決断するのは簡単ではないものですね。
さて、今回は、支援センターで出会った高校生Nさんのおはなしです。
Nさんは高校に入学してからすぐに学校に行くことができなくなりました。
きっかけは教室の雰囲気が辛くなったこと。
欠席し始めてからは一日のほとんどを家で過ごすようになっていました。
支援センターに足を運んだのは、そんな時間を1か月ほど過ごした頃でした。
「転校はしたくない」Nさんが「転校する」と決めたきっかけ
親御さんは当初から「転校して新しい環境で過ごしてもいいと思う」とNさんに伝えていらっしゃったそうです。
ですが、Nさんは「転校はしたくない」と首を縦に振ることはありませんでした。
親御さんは根気よく説得を続けたそうですが、話せば話すほど、頑なになっていったNさんでした。
そんなNさんですが、ずっと思っていたことがあったんです。
それは・・・「進学したい」という想いでした。
転校を決めたあと、周囲も驚いたNさんの行動とは?
「進学したい」
その言葉が出てからは、ただただ転校するか否か、ではなく、進学という目的を実現するためにはどうするか、という視点で検討を重ねました。
そしてNさんは「進学するために転校する」決断をしました。
そこからは、一緒に学校を調べたり、見学に行ったり、慌しく過ごしながら転校先の学校を決めました。
その後いよいよ転校、ということで、元の学校に転校の手続に行ったとき、Nさんは周囲も驚く行動をしたのです。
転校の手続きがおわるころ、担任の先生から「教室に行ってみる?」と誘われたそうです。
Nさんは少し迷ったそうですが、とある思いから教室へ足を運び、クラスメイトに
「今までお世話になりました。ありがとうございました。」
と伝えてきたのだそうです。
「説得」ではなく「納得」
その後のカウンセリングでNさんにこのお話を聴いた私は、Nさんにその時の思いを尋ねました。
Nさんは、
納得して次に進むために、ちゃんと挨拶して区切りをつけようと思ったんです。
と話してくれました。
実はこの「納得」がとても大切なんです。
ここまでのお話にもあるように、Nさんは当初、親御さんの転校の勧めにはNoを出していたのですが、進学したいという目的をはっきり感じたことで自ら転校することを決めたわけです。
説得・・・他者がすること
納得・・・自身がすること
この違いが教室でのあいさつという周囲が驚くほどの行動につながったのではないでしょうか。
Nさんはその後、転校先の高校を無事卒業し、念願だった大学進学を果たしました。
子ども自身が、自分で「納得」できるように、そんなサポートを一緒に考えていきたいですね。
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