不登校の子に親は何をしてあげたら良い?②
こんにちは。不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
4月。
新しい年度を迎え、親御さんとしても様々な思いを感じる時期かと思います。
このタイミングで出来うる対応を共に考え、お子さんやご家族の未来に併走できるよう
私たちも努めてまいります。
さて本日のブログは前回からの続きとなります。
カウンセリングを通してよくお聴き内容として、
●子どものためにしてあげられる事はないだろうか?
●ただ見守っているだけよりも、親として出来る事を模索したい
●何かしてあげたいけれど、子どもの代わりになってあげられるわけでもないのが辛い
等があります。
こういった親御さんの思いに敬意を表し、
前回のブログでは「勇気づけ~動機づけ面接法」をご紹介しました。
(前回のブログはこちら→https://www.futoukou119.or.jp/blog/20220309/20594)
今回は第2弾として、アルバート・バンデューラ(Albert Bandura 1925年12月4日 – 2021年7月26日)
という心理学者の理論をもとに「不登校の子に親は何をしてあげたら良い?」について
考えていきたいと思います。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。
自己効力感
バンデューラが提唱した概念に「自己効力感」というものがあります。
これは
「自分が目標を叶えるために正確な行動を選び、実現できる能力を持っていると自覚していること」
と言えます。
不登校の子に当てはめてみると、この自己効力感が低い子が多くいると思います。
例えば
- 学校に行きたいけど、行ける気がしない
- 勉強したところでどうせいい点数なんて取れない
- コミ障だから人と関わることが苦痛
などなど、真面目に考えるからこそ、こういった落とし穴に陥ってしまうことも
多くあると言えるのではないでしょうか。
では自己効力感が高くなってくるとどんな事が起きそうでしょうか?
- 学校に行くためにはまずは外に出る機会を増やすことからだ
- 練習問題をしてみて、出来ている所と出来ていない所を整理しよう
- 人と話す練習をして、コミュニケーションスキルを高めよう
と、目標を叶えるために適切な行動を選ぶことができるようになっていきます。
いきなり学校への登校は難しくとも、スモールステップを
歩んでいけるようになるというメリットがあると言えそうですよね。
それではこの自己効力感を高めるためには親御さんが家でどのようなかかわりを
していくことが有効なのでしょうか。
今回は3つのポイントをお伝えしていきたいと思います。
①これまでに達成したことを振り返らせる
「達成経験」と呼ばれるものですが、これまでに積み重ねた成功体験などを
振り返ってもらう、もしくはこれからその達成経験を味わってもらうために
小さな目標を立てて積み重ねていくことです。
振り返ってもらう際は過去の達成経験をリストアップしてみるのも効果的です。
- 幼稚園の頃のお遊戯会で立派な演技をしていた
- スイミングスクールのテストでしっかり級をあげていった
- アニメを見てセリフを覚えるのが得意だった
など、子ども自身も忘れてしまっている記憶であったり
無自覚に出来ていることもあったりするものです。
また、これからの達成経験を積み重ねていく上でのポイントとしては
大きな達成感を味わってもらうことよりも小さな達成感を積み重ねていくことと言われます。
例えば
- 今日は朝9時に起きてくれて助かったよ
- 教科書を開いている姿を見て、なんだか嬉しかったよ
- お母さんと楽しくお話してくれてありがとう
などです。
とにかく数をこなすことで、自己効力感を高められるように促していきます。
②良きモデルとなる
「代理体験」と呼ばれるものがあるのですが、これは子ども自身が成功体験を
積み重ねなくとも、他者の成功体験を見たり聴いたりすることで自己効力感が
高まっていくという画期的な考え方です。
例えば虫が苦手な子でも、周りのお友達が虫を触る姿を見て
「あ、触っても大丈夫なんだ」と認識でき、虫に触れるようになるなどの例があります。
これを応用し、親御さんにしていただきたいポイントとしては
「子どもの良きモデルとなる」という事になります。
- 一生懸命勉強する姿を見せてあげる
- 上手に聴き、上手にお話してあげる姿を見せてあげる
- 苦手な事に挑戦し、克服していこうとする姿を見せてあげる
など、このような姿を子どもが見ることで「自分にもやれそう」という
感覚を持ってもらうことが大切です。
成功の過程などをあわせて体感できると、なお効果的に自己効力感を
高めていくことが出来ると言われます。
生活習慣を整える
簡単なようでとても難しいポイントなのですが、やはり生活習慣を整える事は
自己効力感を高めるためにも重要になってきます。
昼夜逆転などは簡単には治せないものですが、ちょっとした運動や食生活を整えていくことで
心身の健康を保っていき、一日の中で嫌な事があってもリセットする感覚を保てる事が
自己効力感を高めるうえでも大切です。
最後に
いかがだったでしょうか。
この他にもバンデューラが提唱した理論には不登校支援に取り入れられる要素が
たくさんあると感じています。
もちろん理論に当てはめて解決しようとするのではなく、
一人ひとりが持つ悩みや迷いをしっかりと受け止めて、最適な支援ができるように
私たちカウンセラーも日々奮闘しております。
不登校状態にある子に親御さんとして何をしてあげられるかを今後も共に考えていければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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