不登校の子に親は何をしてあげたら良い?①
こんにちは。不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
まもなく新年度を迎えようとしている時期ではありますが
お子さんの様子、親御さんの気持ちはいかがでしょうか?
私たちは「変化」=「ストレス」と捉えることがありますので
4月は特に子どもへの関わりの中で意識しておきたいポイントが出てくる時期であると言えるでしょう。
さて、カウンセリングを通して私もよく感じることですが、親御さんたちは本当にお子さん思いで
- 子どものためにしてあげられる事はないだろうか?
- ただ見守っているだけよりも、親として出来る事を模索したい
- 何かしてあげたいけれど、子どもの代わりになってあげられるわけでもないのが辛い
等をよくお聴きします。
これだけ真剣にお子さんの事を思い、そして本気で生きている親御さんの姿には
心打たれるものがあります。
こういった思いを最大限受け止め、私たちも常々「ご家庭内での支援の方法」について
模索し続けている所です。
そういった経緯もあり、今回は特に家の中で実践してみて頂きたい事を
複数回にわたってブログでお伝えしたいと思います。
今回は第一回目ということで、
勇気づけ~「動機づけ面接法」~というアプローチをご紹介いたします。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
勇気づけ
私たちのホームページやブログをお読みになられている方でしたら
ご存知の方もいるかもしれませんが、「アドラー心理学」というものがあります。
この心理学の中でも特に重要視されているのが子どもたちへの「勇気づけ」です。
勇気づけとは一言で言えば
「困難を克服する活力を与える事」と言われます。
とても大切な概念ですし、是非子どもたちに対しては勇気づけを行えるように
注力していきたいですよね。
そしてこの勇気づけの考えに通ずる具体的な援助法として
「動機づけ面接」というアプローチがあります。
子どもたちにモチベーションを与えていくために是非知っておいて頂きたいものなのですが
かいつまんでお伝えすると、下記のようなコミュニケーションを心がけて頂くことになります。
「OARS(オーズ)」
頭文字をとって「OARS(オーズ)」と呼ばれるものが動機づけ面接の戦略です。
OARSとは、
O:Open Ended Question(開かれた質問)
A:Affirmation(是認)
R:Reflective Listening(聞き返し、伝え返し)
S:Summerize(要約する)
を指しています。
開発された経緯などをお伝えすると とても長くなってしまうので、
今回は「ORAS」について一つ一つ解説していくことにいたしますね。
O=「開かれた質問」
例えば、「どんな考え?」「どんな気持ち?」と自由に答えられるように
質問をする方法です。これと反対になるのが「Close Ended Question(閉じた質問)」であり
相手に「はい」か「いいえ」で答えてもらうものになります。
何気ない会話の中で使われてしまうのですが、
「元気?」と聞くと「はい」か「いいえ」かに答え方が限定されてしまいますよね。
さらには「はい」としか答えようのない挨拶のような会話にもなりがちです。
もし相手が自由に答えられるように促すとしたら
「体調はどう?」などが適切な質問の仕方になってくることでしょう。
A=「是認」
カタい言葉で言うと「是認」と呼ばれるものですが、
子どもが「変化しよう」としている態度や発言が見られた時に
その変化について詳しくきいてみたり、いわゆる「イイね」を与えてあげる事です。
- 「そろそろ勉強なきゃいけないなって思ってて」
- 「学校の授業はどの辺まで進んでいるんだろう」
- 「私って、コミュニケーションは結構得意なんだよね」
などの発言が見られた時(過度に反応するのはよくありませんが)
その態度や発言に注目し、感心して関わるようなイメージです。
この時「表情やうなづき、あいづち」など、いわゆる非言語のコミュニケーションも
子どもに敬意を表し、認めてあげることにつながっていくので重要になってきます。
R=「聞き返し、伝え返し」
これは、子どもが発言した内容をそのままの言葉で繰り返す、
あるいは言い換えて伝え返してあげることです。
時に「こんな気持ちなのかな?」と推測して付け加えて
返すことも出てくることでしょう。
子:「学校に行かなきゃいけないのはわかってるんだけど、なんか嫌なんだ」
親:「行かなきゃいけないって思うけど、嫌な気持ちもあるんだね」
子:「どうしたら行けるんだろうって考えてるんだ」
親:「自分でも試行錯誤して何とかしようと思っているんだね」
など、聞き返し、伝え返しをすることで子どもの気持ちを
強化していくように促すことにもつながっていきます。
S=「要約する」
最後に、要約することも肝心です。
子どもが言ってくれたことを「●●という思いなんだね」「ここまでの話をまとめると●●みたいだね」
などと要約して伝え返すことで、「聴いてもらえた」「気持ちが整理された」という
効果を生み出すことにつながります。要約する中で子どもたちが気づきや発見を得たり、
次の段階の話に進めようとしたりすることも出てきます。
いかがでしょうか。これらが動機づけ面接の戦略的アプローチ「OARS(オーズ)」となります。
まとめ
今回は勇気づけ~「動機づけ面接法」~というものを紹介いたしました。
技法というものは原理や理論を実践するための具体的な行動方法ではありますが
小手先のテクニックとなってしまうと、非常にぎこちなく、また機械的、定型的なものと
なってしまう危険もはらんでいます。
とはいえ、親御さんとして具体的に「どう関わるか」について悩む時には
何らかの道しるべがあると良いと思い、今回のような内容を取り上げてまいりました。
別の視点からも「不登校の子に親は何をしてあげたら良い?」について
考えていこうと思いますので、また次回のブログでお会いできれば幸いです。
カウンセラー一同、役立つ情報をこれからもお届けしていきたいと思っておりますので
今後ともよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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