学校を休んでいても、楽しい時間を大切にしていただきたい理由とは?
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
新しい生活様式が始まり、早2年が経とうとしていますね。
2年前と比べると、すっかりマスク生活にも慣れ、配達食サービスや動画配信サービスがとても身近になったなあと感じます。
カウンセリングのなかでも、外に出られないなかでのリフレッシュの仕方として、こうしたサービスを利用されているというお話を伺うことが増えました。
私も最近は映画をみて気分転換をすることが多かったのですが、映画を使ったある実験の論文を目にしてから、少し映画の選び方について考えるようになりました。
本日は、そんな実験研究について紹介させていただきます。
ある映画の実験
その実験は、1987年に気分が人の判断に与える影響について研究したForgas & Moylanが行ったものです。
実験では、たくさんの参加者を3つのグループにわけて、グループごとに違う種類の映画をみてもらいました。
映画の種類は、
①楽しい映画 (コメディ映画やバック・トゥ・ザ・フューチャー等の楽しくみられるもの)
②悲しい映画 (登場人物の苦しみや悲しさが描かれたもの)
③攻撃的な映画 (死闘が繰り広げられるもの)
の3つでした。
映画を見終わると、それぞれの参加者は質問に答えます。
質問は、①政治について ②将来について ③人生について の内容で、参加者がどのように思うかを尋ねるものでした。
それでは、みた映画の種類によって政治についての意見が変わったり、自分の将来や人生についての考えが変わったりすることはあるのでしょうか・・・?
こちらについてですが、しっかりと影響があったようです。
実験の結果からは、①楽しい映画をみた人は、②悲しい映画や③攻撃的な映画をみた人よりも、政治や人生、将来について好意的な回答をすることが分かりました。
これはたまたま生じた結果ではなく、その後にもこの結果を裏付ける研究が発表されています。
もちろん個人差はあるものですが、少なくとも、人は楽しい気持ちの時にポジティブな考えをもちやすいようです。
楽しい時間を作ることの大切さ
気持ちが高まっている時にはポジティブな出来事を、気持ちが落ち込んでいる時にはネガティブな出来事を思い出しやすくなるというのは気分一致効果、とも呼ばれています。
言われてみればそうかな、とも感じてきますが、改めて、前向きな気持ちになりたい時や、気持ちを高めたい時にはコメディのような楽しい映画をみて、楽しい気持ちになることが効果的だったのですね。
「学校へ行っていないのに楽しいことをしてもいいのだろうか・・・」という言葉は、お子さんからも親御さんからもお聞きすることがあります。何かを「できていない」と感じると、楽しむことに対して罪悪感を抱いてしまうという方は多くいらっしゃるようです。
ただ実際には、いくら反省をしたり落ち込んだりしていても、なかなか「さあやってみよう!」という気持ちにはなりにくいのかもしれません。
そんな時、今回の実験結果のように、「楽しい気持ちになる」ということが、前向きなことを考えて、勇気をもって一歩を踏み出すための大きな力になるのですね。そう考えると、「楽しむ」というのは悪いことではなく、次の気持ちに切り替えるための1つの手段とも言えそうです。
そうは言っても楽しい気持ちになれる気がしない・・・という方は、お気軽に不登校支援センターでご相談くださいね。
参考文献:Forgas & Moylan (1987). After the Movies: Transient Mood and Social Judgments, Personality and Social Psychology Bulletin, 13, 467-477.
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