『友だちがいない』お子さんを心配されている親御さんへ
こんにちは。
不登校支援センター東京支部の椎名愛理です。
今日は『友だち』について、少しお話したいと思います。
先日カウンセリングの中で「うちの子には友だちがいなくて。習い事でも一人でいることが多いし、きっとクラスでも一人で過ごしているんだと思います…。」とお子さんの友人関係についてご心配になられている親御さんのお気持ちをお伺いしました。
今回この記事が目に留まり、読んでくださっている方の多くが、お子さんの人間関係や友達との付き合い方について、少し不安に感じられているのではないでしょうか。
そんな皆様に、お子さん目線での「友だちとは」「友人関係とは」について、お話しようと思います。
中学時代友達が0人だったAさん
Aさんは現在高校生の女の子です。高校生になった今Aさん自身が「友だち」と呼べる人が、何人もいますが、中学時代は「友だちは0だった」と言っていました。
先日、Aさんと友人関係についてお話をしていた時の事です。
私「Aさんは、前友だちが0人だったって教えてくれたよね。それが今は友だちが沢山いるけれど、なにか切っ掛けがあったの?」
Aさん「んー、わかんない。でも今は『意識して』友だちを作ってるよ』
詳しくお話を伺うと、Aさんは友だちが0人だった中学時代、友だちがいない事で困ったこと(例えば、授業で分からないところがあった時に聞く人がいない。休み時間に一人になって手持無沙汰になる時間が耐えられない等)が沢山あった経験から、意識して友だちを作る『作業』をしているそうです。
それは例えば
・教室に入った時に目が合った人には、仲がいい、悪い関わらず挨拶を必ずすると決めている
・相手が持っている物や、相手の変化に注意を払い、気が付いた部分をポジティブに声掛けする(「キーホルダー可愛いね」「髪を切ったんだね、似合うよ」等)
・何かしてもらったときは、感謝を言葉にして伝える
などだそうです。
どの行動も、相手から見てもフレンドリーに接されていると感じられるようなポジティブなものですね。
Aさんは、中学時代に「友だちがいないこと」で困った経験を繰り返したくないと感じて、自分なりの対策を考え、実行しているのです。
小中高と友達がいなく、今もいないBくん
次は、専門学生のB君のお話です。
B君は、小学校、中学校、高校と五月雨登校や、短い期間学校にいかない期間はありましたが、現在は休まず学校に通い、専門知識を身に着けている学生です。
B君は一回のカウンセリングで約100分間、会話を途切れさせることなく、リラックスし心を開いた状態でお話をします。時に笑いながら、学校であった面白い事や自分の趣味について共有をしてくれます。
この様子をもし皆さんが見ていたら、きっとB君には友達が多く、自分から積極的に周りの人に絡みにいくような人物だろうと感じられるでしょう。
しかしB君は「自分は今まで、友だちと呼べる人はいないと思う」というのです。
B君とお話をしていると「自分は友だちを作るよりも、自分が好きなことに一人で向き合いたい」「友人関係で揉めたり、傷ついたりしている人を良く見る。自分はそういうトラブルがあって、時間や気力を使うよりも、自分が好きなものに打ち込んで、自分が楽しいと思える時間を沢山持ちたい」など、『あえて友だちを持たない選択』をしていることがわかりました。
私が今回のブログでお伝えしたかったのは『友だちがいることが善(望ましい)』で『友だちがいないことが悪(問題である)』なのかな?と言うことです。
私たち大人は、自分の人生経験から友だちに助けられたエピソードや、友だちと過ごした楽しい経験、または苦しいぶつかり合いから学んだ事などのフィルターを通してお子さんの様子を見ます。すると、友だちが少ないお子さんを「寂しいのではないか」「何か人間関係を営む上での問題を抱えているのではないか」という心配が芽生えます。
しかし実際の子ども目線では「友だちがいない事で自分が困ったから」という経験を元に、自分の行動を見直す子もいれば、「友だちがいない事が自分にとって大きな問題ではない(今の在り方に満足している)」と、自分の人との付き合い方に納得して不自由を感じていない子もいます。
大切なのは、「友だちがいないことで、子どもが問題や不安を感じているか?」という点であり、もし問題を感じているのであれば、その時にどうしたらよいか一緒に考えてあげることなのかもしれません。
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