不登校を克服するために身につけたい「3つの力」
こんにちは。
不登校支援センター 横浜支部の安則芳郎です。
すっかりと冬の訪れを感じる時期となりましたね。
毎年お伝えしていることではあるのですが、どこか「もの寂しさ」を感じやすい季節でもありますので、
どうか皆様、心身の健康にお気をつけてお過ごしくださいね。
さて本日は「不登校を克服するために身につけたい力」について
現場で感じている事をお伝えしようと思います。
3つのポイントに絞ってご紹介していきますので最後までお付き合いいただければ幸いです。
①自分の気持ちと向き合う力
かたい言葉で言いますと「内省する力」と呼ばれるものです。
自分の心の中を見つめ、体が感じている感覚についても耳を傾けるように
深く深く向き合っていくことです。
日常生活の中で、子どもの発言と行動が食い違う場面に遭遇することはないでしょうか?
- 「明日はやるよ」と言っていたのに実際はやらない
- 「大嫌い」と言ったかと思えば、スキンシップをはかってくる
- 本当は嫌なことなのに、笑顔で明るく「わかった」と言ってしまう
などなど。
私たち大人でも、自分の本当の気持ちや感覚と向き合っていくことはとても難しいものですが、
不登校で悩む多くの子たちはこのように自身の内面を見つめていくのが苦手な傾向があります。
その結果、学校に行けない理由について聞かれても、最初は勉強の事、次には友達関係、 さらには先生が嫌…など。理由がコロコロ移り変わっていくことがあるのです。
これは決してウソをついているわけではありません。
それだけ深層心理を見つめていく事には難しさがあるということを表していると言えるでしょう。
しかし、真に自身の心の中を見つめ、体が感じている感覚にも耳を傾けて内省をするということは、 復学やその後の人生を歩んでいく上でとても大切な力になってきます。
私たちカウンセラーも受容や共感をしていく中で、その子の内省する力を育てるお手伝いをしたいと考えています。
②ゴールを描く力
これはどういうことかというと、なりたい自分やなりたい状態を思い描く力のことです。
アドラー心理学では「人は目的に向かって行動していく」という考え方を採用しています。
「自分が向かいたい先はどこなのか」「何を目的として行動していくのか」
本人の中でこういったビジョンを描く事で動き出していく子たちを私たちはたくさん見てきました。
ただ、親御さんが接していく中で子どもに対してこんな思いを持つことはありませんか?
- うちの子はなりたい自分なんて持っていないのではないか
- 夢や希望を語ることなどなく「何もしたくない」とばかり言っている
- ずっとこのままでいたいと思っているに違いない
etc.
確かに、不登校状態になった子を見ていると夢や希望・ゴールを描くことなど到底無理ではないか?
と思えることがあるかもしれません。
一方、ゲームやインターネットをしている様子や、好きな絵を描いてる様子から、
その子の中で求めているものや、なりたい自分に向かっている姿が観察できることがあります。
さらには過去にその子が感じていた「ワクワク感」や「充実感」からもヒントが得られる事もあります。
幼い頃、私は「仮面ライダー」や「ウルトラマン」が大好きで食い入るように見ている子どもでした。
きっとヒーロー願望があったのでしょう。
それは今でも意味合いや形を変えて私の中で目指していく姿となっています。
つまり「ヒーロー」になるための行動を取っているといって良いかと思います。
大切なのは「社会的に」とか「世間的に」といった制約を外して「本当に」なりたい自分を描いてみる、深く内面を見つめてみることです。
(ここでも①で紹介した「自分の気持ちと向き合う力」が発揮される必要があります)
そういった思いにアクセスできるように関わっていけると効果的です。
③失敗を許す力
「ゴールを描く力」を発揮していく中でもやはりその過程の中でうまくいかないことが出てきます。
その時に大切になってくるのが「失敗を許す力」です。
以下は書籍:『スタンフォードの自分を変える教室』を参考とした内容となりますが、
人は一度決めたこと(例えばダイエット)をしていく中で少しでもうまくいかないことがあると
(ダイエットの場合はつい食べてしまったり、思うように体重が落ちなかったり)、
落ち込んで自己嫌悪に陥り、憂さ晴らしの行動(やけ食いなど)をしてしまうことがあります。
これらは「どうにでもなれ効果」と呼ばれています。
この時大切なのは上手く行かなかったことに対して過度な罪悪感を抱かないようにすることです。
周囲からの声掛けも有効になります。
- ここまでのプロセスの中で頑張ってきた面もあるよね
- 失敗をするのは人間だから当たり前。全部が上手く行っている人はいないでしょ?
- 同じように罪悪感を感じている人がいたら、あなたならどんな声をかける?
など、失敗を許せるように促すことがポイントになってくるでしょう。
実際に行われた心理実験の中でも、罪悪感を和らげるための温かい言葉をかけられたグループは、
特に何も声をかけられなかったグループに比べて、先に挙げた「どうにでもなれ効果」が発生しにくかったという事例があります。
学校に行こうと決心したけど、当日になると行けなかった。せっかくうまくいくと思っていたのに。
と、振り返ることはもちろん大事です。
ただそこで「もうどうでもいいや」となるのではなく、一度その思いを受け止め、
再度挑戦していくための勇気づけをできるようにしていきたいですね。
最後に
いかがだったでしょうか。
上記に挙げた3点はいずれも身に着けるのが簡単なものではないかもしれませんが、
不登校の克服、ひいては社会に適応し豊かな人生を歩んでいくうえで大切になってくる力だと感じています。
私たちもまだまだ未熟な所がありますので、是非皆さんと一緒に学びながら共に成長していきたいと思っております。
何かありましたらお気軽にご連絡くださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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