不登校支援の参考知識’’行動変容ステージモデル’’のご紹介
こんにちは。
不登校支援センター仙台支部の上原です。
不登校のご相談を受けていますと、お子さんのこの行動を変えてもらいたい。でもどう接したらいいのか分からない。
そんなお悩みをよくされます。
今日はそんな時に参考になりそうな行動変容ステージモデルというものを紹介したいと思います。
行動変容ステージモデルとは
Prochaska と Clementeによって考案された 改善を目的とする生活習慣に対し、対象者が「生活習慣改善のための行動をしようと考えているか」といった意図と、実際になにか「生活習慣改善のための行動を行っているか」といった行動から対象者の生活習慣改善に対する準備性を評価するものです。
このように本人の気持ちに注目することで、状況に即した支援を考えていきます。
語弊を恐れずにかみ砕いて言うと、お子さんの今の気持ちによって接し方が変わるよ、という感じです。
段階としては5つありまして、以下の通りとなります。
継続期:実行し始めて、6 か月以上継続している
実行期:実行し始めて、6 か月未満である
準備期:現在、実行していないが、1か月以内に実行しようと考えている
関心期:現在、実行していないが、6 か月以内に実行しようと考えている
無関心期:現在、実行していなし、関心がない。
これは主に禁煙や生活習慣など保健指導において導入されているものですので、不登校支援と完全に合致するわけではないかもしれません。
しかし当てはまると感じる部分も結構あったりします。
本人の意識が違えば同じ言葉をかけても反応が違う、なんてのは当然といえば当然ですが、意外と出来ていないことも多いですよね。
よくある例で言えば無関心期に登校を促すようなアプローチをして、むしろ状態が悪化してしまう、などですね。
本人の状態を理解することで接し方も見えてくる
一概にこの段階だからこう接しましょうと全てが当てはまるとは限りません。
この「本人の気持ちが今どこにあるのか」と「元々あるパーソナリティ」「本人の置かれている環境・資源」などを総合して接し方が見えて来ます。
ただ、それぞれの段階に応じた接し方のヒントにはなるかもしれせん。
参考までに接し方の一例を紹介します。
無関心期
・支援関係の構築を優先する。
・非を責めたりせず、ポジティブな情報を提供する。
・本人の気持ち、考えていることなどを確認する。
・本人の求めていることに近しい情報の提供をする。
本人が関心を持っていない時に無理に興味を持ってもらおうとすると逆効果になりやすいです。
上でよくある例として挙げたものなどもそうですね。
例えば、それまで子育てに全く口を出していなかった父親が、急に本人の気持ちを無視して「学校に行け」など言っても「うん、分かった!」とは中々ならないですよね。
まずはそういったお話を出来る状態、出来る関係になる、というのが大事です。
関心期
・信頼関係を築けるように努める。
・本人に今の生活に対する不安や行動出来ないことの要因について気づいてもらうような情報提供を行う。
・行動変容することのメリットについて一緒に考えてみる。
多少関心を持ってくれた状態になったとしてもそこでグイグイ押すと引かれやすいです。
よくある例で考えたら「俺もそろそろ動かないとなぁ」とお子さんがこぼした際に「じゃあさっそくこれをやってみよう!こんなのはどう?」と嬉しさなどもありどんどん話を進めようとしてしまうパターンですね。
こうなると子どもは引いてしまい「いや、やっぱまだいいや…」となりがちです。
せっかくもってくれた関心を大きくしたり、自分でより考えてもらえるような促しが望ましいかと思います。
・動いて欲しいのに本人にその気が全然なさそう。
・口では考えているようなことを言うけど、全然行動には移してくれない。
この辺りの段階が不登校支援において親御さんの悩みが深い時期かもしれません。
この後も色々と苦労はありますが、具体的に動き出そうとしている状態だと比較的落ち着いて支援がしやすく感じられます。
最後に
支援の仕方というのも様々あります。
今回ご紹介した考え方もその際の参考の1つに過ぎません。
具体的にどんな支援をしていくと良いのか。
その辺りは実際にご相談ください。
一緒に考えていきましょう。
それではまた。