お子さんをサポートする時に大切なポイント~ご家庭でできること、学校ができること~
こんにちは。
不登校支援センター東京支部の椎名愛理です。
段々と空気が冷たく、もう冬もすぐそこに感じられますね。
今日はお子さんをサポートする周りの大人の『役割』について、お話したいと思います。
『大人の役割』=『登校を促す事』だけではない?!
皆さん、『不登校のお子さんをサポートする大人の役割』と聞くと、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
- 登校を促す=「学校に行こうよ」「登校したら(こんないいことが)あるよ」等の声掛けをする
- 学習を促す=自宅での学習を勧める、勉強の手伝いをする
- 学校に行きたくない、行けない子供の気持ちに寄り添う
など、色々なサポートが今、皆さんの頭の中に浮かんだことと思います。
それでは、例として挙げた上記3つのサポートをご家庭で行った場合、お子さんがどのような反応をするのか想像してみましょう。
誰が言う言葉なのかで、子供の反応が変わる。
※これからお伝えすることは、どのお子さんにも言えることではありません。なぜならば、お子さんが不登校という選択をした日々の中で、今どのような状況なのか、どのような気持ちなのかがそれぞれ異なるからです。※
しかし、お子さんが見せる反応として多く見られるものをお伝えしますね。
1:登校を促す
今お子さんが「学校に行かない」という行動を取っている時、親御さんの中には「学校は行くものだ」「登校しないという選択肢をとった場合のリスクとは…」など沢山の不安な気持ちが湧いてくることと思います。
それは、皆さんの中に「登校する=善、一般的、普通」「登校しない=悪、普通じゃない、問題」などの価値観があるためですね。
こうした親御さんの中の気持ちから、つい登校を促したくなるのは当然の事と思います。
では、親御さんから登校を促されたお子さんはどのような気持ちになり、どんな反応をするでしょうか。
お子さんの中には
- 学校に行きたくても行けない気持ちを分かってほしかった
- 無理強いをされて、自分の気持ちを無視されたように感じた
- 親からコントロールされる感じが嫌だ
など良かれと思ってかけた登校を促す言葉が「自分の気持ちを分かってくれなかった」というマイナスな感情を生んでしまうことが多くあります。
2:勉強を促す
では、勉強を促した場合はどうでしょうか。
親御さんとお話をしている中で「家で何もしていないのが心配」「ゲームばかりではなくて、せめて勉強してほしい」「このまま(何もしないままだったら)学校に行ったときに大変だろうから、勉強させたい」など、勉強をしないお子さんの姿勢に対して不安なお気持ちも良く伺います。
対してお子さんからは「勉強しないといけないのはわかっている」「でも今は勉強したくない(勉強できない)」と『しなくてはいけないのはわかっていても、行動が伴わない』という自分を認識しているという言葉を伺います。
このように、必要性を自覚している時に勉強を促されると、お子さんとしては「わかっているよ!」と、つい反発したくなってしまいますね。
(大人でも仕事をしなくてはいけないけれど、できる状態ではない時に『仕事しないと』と声をかけ垂れたら「わかってるって!」と言いたくなりますね。。。)
3:学校に行きたくない、行けない子供の気持ちに寄り添う
では、子供の「わかっているけれど、登校できない、勉強できない」という気持ちに寄り添うのはどうでしょうか?
「あなたなら、きっと勉強が必要だと分かっているんだよね」「学校に行った方がいいと思っているけれど、でも行けない状況なんだね」「辛くて苦しい気持ちなんだね」
など声をかけたられたら、お子さんはどのような気持ちになるでしょうか?
- 自分の気持ちを理解してくれた
- 自分を否定されないことで安心した
など『親は自分の味方なんだ』という気持ちが湧いてきます。
家庭でできること、学校ができること
では、1~3を『役割分担』という視点で考えてみましょう。
1(登校を促す)2(勉強を促す)はご家庭で行うと、親御さんとお子さんの間で気持ちの行き違いやバトルが起こりそうな雰囲気でしたね…。また3(気持ちに寄り添う)は、行った場合お子さんが親御さんを味方と感じて、『一緒に先に進もう』という雰囲気を感じられたかと思います。
実は、この雰囲気の違いが家庭でできること、学校でできることの違いなのです。
学校は(先生は)、学校という(先生という)立場上、学校に属する児童生徒に対して「登校を促す」「学校で行う勉強を促す」ことが役割の一つです。
しかしあくまで公的な役割、立場ですので、お子さん一人一人の気持ちに寄り添い愛情を持って接するということが難しいものです。
またご家庭(親御さん)は、お子さんと個人的な繋がり、心のやり取りがある分「気持ちに寄り添う」というサポートはできますが、個人的な繋がりだからこそ「登校」「勉強」といった公的な行動に対して言葉をかけられると子どもとしては簡単に反発できてしまいます。
それぞれの立場で「できること」を見極める
お子さんのサポートを考えるうえで、このような「どの立場の人が」「どのようなサポートをするのか」という役割分担がとても大切になります。
それは、お子さんがサポートを受け取りやすくするためだけではなく、サポートする立場の人が疲れないようにするためでもあります。
しかし、いざお子さんが不登校になった際「では家族でできることはなにか」「学校にはどのようなサポートをお願いしたらいいか」とすぐに冷静に考えることは難しいものです。
「今家族としてできることはなんだろう?」と迷い、考えている方がいらっしゃいましたら、お気軽に私たちカウンセラーにご連絡くださいね。
一緒にご家庭でできることを考えていきましょう。
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