嬉しいご報告。⑤ ~卒業、そして入学~
こんにちは。
不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
今年は、新型コロナウィルス感染拡大防止の為、自治体や学校によって
- 8月いっぱい臨時休校
- 休み明け、分散登校とオンライン授業
などで対応するなどの「夏休み明け」となりましたね。
お子さんによっても
- 夏休みが延長して安心した
- 前向きな気持ちだったので肩透かしを食らった
- 休み明けどうなるのか心配になった
など様々な反応があったかと思いますが、親御さんのお気持ちはいかがだったでしょうか?
「休み明け分散登校」はすでに経験済の方も多くいらっしゃると思うので、
初めてのことで、この先どうなるのか分からない不安
というのは少ないかも知れません。
その一方で、前回の分散登校以降、お子さんが
- 不登校になった
- 元気がなくなった
- 体調不良を起こした
などの変化があった場合は、またそうなるのではないかというご心配を抱えてらっしゃる方も少なくないのではないかと思います。
メンタルヘルスケアの3つの段階
メンタルヘルスケアには3つの段階があります。
- メンタルヘルス不調になることを未然に防ぐ
- メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を取る
- メンタルヘルス不調となった人の復帰を支援する
ご相談に来られる方のほとんどが、2・3の段階で来られます。
ですが、今回の様に異例の状況が続いている中では、
1.メンタルヘルス不調になることを未然に防ぐ
ことに意識を向けて過ごしてみてください。
これはお子さんの様子だけではなく、親御さん自身についてもです。
「これくらい大丈夫」と頭では思っていても、心は限界に近いかもしれません。
がんばり屋さんな方ほど陥りがちなのです。
ちょっとした些細なことでも結構ですので違和感があるようでしたら、お気軽にご相談ください。
それでは、前回の続きです。
夏休み中、順調に登校練習をしていたA君でしたが、夏休み明けは一切行かなくなりました。
登校型の通信制高校をいくつか候補に挙げていたので、合格しても登校できるのだろうかという不安が親御さんを襲います。
それは、A君から「この学校にする!」という前向きな意思表示が感じられなかったからです。
ただ、「A君の主体性を育てる」という目的がはっきりとしていたので、A君から発信されることを懸命に受け止めてらっしゃいました。
カウンセリングの中では、見学に行った学校や先生の印象を振り返っていました。
すると、
- A校は雰囲気が合わなそう
- B校は先生の圧が強かった
など、A君の印象を話してくれました。
また、「電車通学してみたい」という希望もあり、そういったことを話していく中で志望校が絞られた形になりました。
候補の中から1つの学校を決められた安心感からか、しばらくすると行動が再び前向きになってきました。
週に1回、担任の先生と面談をしに登校する日が出てきたのです。
さらに、先生が会って話す時間を授業の前の時間に設けてくださったことで、その後の担任の先生の授業に参加する日もでてきました。
そういった先生からの提案に応えようとする気持ちが表れる様に、関係性を大切にしてくださったおかげだと思っております。
そういった日々の積み重ねが自信にもなってきたようで、願書の提出には自分で行けたり、試験に向けての準備もA君自身が意識している様子が窺えました。
そして、志望校に無事に合格できました。
その後も中学へは週に1日、担任と面談をし、担任の授業を受けて帰るという登校を続けて、卒業の際には自分から先生へ挨拶をできたりとA君なりのけじめはつけられた様でした。
その頃、親御さんの気持ちにもかなりの余裕が生まれていました。
何曜日の何時に登校するのかなど、A君自身が先生と話し合い決めてくるので、安心して任せていましたし、卒業の際も自分から先生に挨拶に行くA君の様子を見て、嬉しかったとお話されておりました。
そして春休みに入ります。
高校から入学前の課題が届きます。
中学の復習も兼ねてなので難易度は高くはないのですが、なかなか手をつけない様子に、少し親御さんもやきもきしながら、本人の主体性に任せるところと、目に余るところは声をかけるところの線引をカウンセリングの中で一緒に考えながら日々を送っておりました。
この時期は、「課題を始業式までに終わらせる」ということをA君自身が意識して取り組めるように、親御さんは距離感を意識しながら関わることを大切にしました。
そして、無事に課題も終了させて始業式を迎えました。(通信制なので、入学式よりも始業式の方が先でした。)
A君は自分で起きて、支度をして出発しました。
好調なスタート!
・・・と思えたのですが、体調の悪い日もあり、その後なかなか続けて登校出来ません。
A君の気持ちの切り替えになればと、「2週連続で休んじゃうと行きにくくなっちゃわない?」と声を掛けてみても
「いいから、あっちいって!」という反応でした。
通信制高校なので、卒業に必要な出席日数は少ないのですが、その様子に親御さんも「また行けないのか」とがっかりされておりました。
その頃、カウンセリングの中でA君から「他人にどんな事を求めているか」という話題がでた事が印象に残っています。
- 認められたい
- 褒められたい
- 期待されたい
- 頼りにされたい
という思いがあるゆえに相手の反応が気になってしまうとの事でした。
それは親御さんに対してではなく、クラスメイトとのエピソードでした。
連絡先を交換して、連絡を取り合うようになったそうなのですが、A君が登校しても友達が来てなかったり、友達から連絡が来た日にはA君が行けなかったりと上手くコミュニケーションが取れない事が、登校へのモチベーションを下げているとのことでした。
また、A君が話しかけても一言で返してきて話が続かない人、休み時間にイヤホンをしていて、そもそも話しかけにくい人がいることもA君のモチベーションも下げていました。
- 「もっと友達と楽しく過ごす高校生活を送れると思ったのに・・・」
- 「思っていたのと違う・・・」
当時、Aが君はそんなことを漏らしていました。
レポートの期限は守っていたのと、集中スクーリングには登校していたので、単位は取得していましたが、家で過ごす事が多くなってきていることに親御さんも不安も少しずつ大きくなっていきます。
- もっと外に出て欲しい
- もっと色んな人と関わってほしい
- 色んな人がいるんだということを知ってほしい
「自主的に行動して色んなことを経験してほしい」
そのために、どのように関わっていくか、サポートしていくかについて親御さんと話し合っていきました。
その内容については、また次回お伝えしたいと思います。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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