危険な公式「○○した=頑張っている」の落とし穴について。
こんにちは。
不登校支援センター東京支部の椎名愛理です。
7月に入り、暑い日が続いておりますが皆さん体調など崩されていませんか?
今日は皆さんと、『○○した=頑張っている』という危険な公式について考えたいと思います。
お子さんの行動に一喜一憂、振り回されていませんか?
カウンセリングの中でよく親御さんから
- 「今週は二回しか学校に行けませんでした」
- 「家も勉強したと嘘をついて、実際はゲームばかりしていたんです」
- 「朝ちゃんと起きないことが多くて、最近成長が感じられない」
など、お子さんの行動の有無や頻度によって、親御さん自身が落ち込んだり、失望するといった気持ちになるとお伺いします。
実際に、例えば先月は毎日学校に行っていたのに、今月に入ると週に2~3回に登校回数が減ったとなったら、親御さんとしても心配なお気持ちになりますね。
行動というのは、一番目につく「子供が成長しているか、変化しているかの判断材料」に見えるため、そうした行動に一喜一憂し、親御さん自身の気持ちが疲れてしまうということが良くあります。
『行動』で子どもの成長を判断する危険性とは?
しかし、こうしたお子さんの行動だけを『成長や頑張っているかの判断材料』とすることに危険性があることをご存じでしょうか?
① 子どもの心理的な成長を感じにくくなってしまう
『登校した』『登校しなかった』という二つの視点だけでお子さんを見た場合「登校した日=頑張った日、成長した日」「登校しなかった日=頑張っていない日、成長しなかった日」と、お子さんの変化を感じる基準も二極化されていきます。
人間の行動には、その行動に至るまでの考えや選択、勇気など様々な可視化されないプロセスがあります。こうしたプロセスの中にもお子さんの日々の成長が隠れているのですが、行動だけに焦点が当たることで本来お子さんが見せている成長や変化が見えにくくなってしまうことに…。
② 子供が『行動を起こさなければ認められない』と考え、一層行動を起こすまでに尻込みしてしまったり、プレッシャーを感じ行動が停滞しやすくなる
二点目はお子さんからの目線となります。「学校に行かなくてはいけないこと」「勉強はしなくてはいけないこと」など自分に求められている行動を十分理解しているお子さんが少なくありません。そうしたお子さんにとって、『行動することで認められる』は、イコール『行動されなければ認められない』と同じ意味に感じられます。
すると、行動を起こすことに対してのプレッシャーが強まり、より一層前に進むことに対して警戒心も持ち、行動が停滞しやすくなってしまうことも…。
③ 先ほどの②の状態が続くことで、行動を取れていない自分の気持ちを守るため、噓をつくなど表面的な対処行動を取り、より一層親子間での理解が難しくなっていく。
こうした状況が続くことで、お子さん自身が表面的になんとかその場を取り繕おうと、心無い嘘をついたりごまかしたりという対処行動を取り、その結果お互いの信頼や関係性が不安定になる可能性もあるのです。
改めて考えたい、行動の背景にある『子どもの気持ち』
ここまで危険性についてお話してまいりましたので、ブログを読んでくださっている親御さんの中には、『そんな風に考えてしまっていた!』『子どもを表面的な点だけで判断してしまっていた…』と心配になられている方もいらっしゃることかと思います。
でも大丈夫。危険性に気付いたからこそ、これからお子さんのどういう点に目を向けたらよいか考える切っ掛けになりますね。
向けていただく目線は『子どもの行動の背景にある気持ち』に焦点をあててみてください。
例えば
- 「先月は登校回数が多かったけど、今月はペースが落ちているな。どんな気持ちががこの子の行動の変化に繋がっているんだろう?」
- 「勉強を親がる様子が増えてきたけれど、どうして勉強がいやなんだろう?」
- 「この子はどんなサポートを必要としているのかな?どんな気持ちを分かってほしいのかな」
などが、周囲のお子さんをサポートされる方々に見ていただきたいポイントでもあります。
『行動と気持ちはセット』ですので、お子さんの行動が目につき、不安になられた際はぜひお子さんの気持ちを想像、予想してみてくださいね。すると、「もしかしたらこういう助けを求めているかも…!」という発見が見えてくることと思います。
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