不登校の兄と、登校している弟、それぞれの想いを理解する大切さ
こんにちは。不登校支援センター名古屋支部の伊藤みゆきです。
いつの間にか夏の気配がするようになってきましたね。
子どもたちは新しい学年になじみ始めた頃でしょうか。
今回は、とある兄と弟のお話をしますね。
不登校の兄と、登校している弟
お兄ちゃんは中学校2年生、弟くんは小学校5年生、ケンカもするけれど仲のいい兄弟でした。
中学2年生のお兄ちゃんは、半年ほど学校を休んでいました。
小5の弟くんはお兄ちゃんのことを特に気にしている様子もなく、元気に小学校に登校し、休日にはお兄ちゃんと一緒にゲームをしたりして過ごしていました。
そんなある日の朝、お母さんがいつものように弟くんを起こすために部屋に入ろうとすると・・・
なんと弟くんは部屋にバリケードをしてお母さんが入れないようにしていました。
驚いたお母さんは、部屋の扉をノックしながら弟くんに声をかけました。
すると弟くんが一言
「お兄ちゃんは学校に行っていないのに、なんで僕は行かなくちゃいけないの?僕も学校休む!!」
お母さんは弟くんの言葉に絶句してしまいました。
するとお兄ちゃんがやってきて、扉の向こうの弟くんにこんな風に言ったのです。
「お前は学校に行け!」
弟くんも言い返します。
「お兄ちゃんは不登校のくせに!」
しばらくそんな言い合いが続いてお母さんは困ってしまったそうです。
兄の想い、弟の想い
さて、このお話を聴いて、みなさんはどんなことを思いましたか?
- 兄は自分が不登校なのに弟には「学校に行け」と言っていて矛盾している?
- 弟は兄のことを「不登校」と言ってけなしている?
一見するとお互いのことを責めあっているようにも見えた言い合いでしたが、この話には続きがありました。
夜、お父さんが帰宅して、お母さんから朝の兄弟げんかの話を聞いて、二人とお話をしたそうです。
するとそれぞれの立場としての想いが見えてきました。
弟くんの気持ちとしては、
- お兄ちゃんはお休みしているのに、僕だけがんばらないといけない、みたいになっているのがいやだった
- お兄ちゃんと一緒にたくさん遊んでお兄ちゃんに元気になって欲しかった
お兄ちゃんの気持ちとしては、
- 自分が不登校で、だから弟はがんばれと言われているのを見ているのがいやだった
- 自分は不登校になってむしろ苦しい気持ちになることがたくさんあった。だから弟にはそんな思いをしてほしくなかった
その後の兄と弟
ふたりとも、それぞれ自分の気持ちに苦しんだり、それでも相手のことを思いやっていたからこその兄弟げんかだったのです。
お父さんもお母さんも、二人から話を聴くまでは、兄と弟それぞれにどう対応したらいいのかわからず困っていたそうです。
「話を聴いて、子どもたちにもそれぞれの立場で思う事情や背景があることがわかりました」とお話されていました。
このご家庭では、このことがあってから、よほどのことがない限り、兄弟げんかに親御さんが介入することをやめました。
最近では、ケンカをしながら笑っているきょうだいの姿が見られるようになってきたそうです。
もちろん、すべてのご家庭にこの対応が正しいわけではありませんが、子どもたちの事情や背景に目を向けることで、対応のヒントが見つかったことは大切なことだったのではと思います。
うちの場合はどうしたらいいんだろう?
そんなふうに感じたら、ご相談にいらしてくださいね。
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