不登校は子育ての失敗?と考えてしまう方へ
こんにちは。
不登校支援センター名古屋支部の桒原航大(くわばらこうだい)です。
本日も面談でたびたび話題になるテーマについて取り上げていけたらと思います。テーマは、「自分らしさ」です。
親御さんとの面談では、子どもについてこんな思いをお聴きすることがたびたびあります。
「うちの子はとっても面白くて優しいんです。だからそのまま自分らしく大人になってもらえたら。」
一番近くで子どもの成長を見てきたからこそ、親御さんにはその子の素敵な面を感じていること、そしてその子らしさを大切にしてほしいという思いが伝わってきます。そうした自分らしさを、親御さんも大切に思っているのは、子どもにとっても安心できるものだと思います。
一方、親御さんご自身については、自分らしさを否定されることもしばしばあります。
「こんな風に育ってほしいと思って育ててきたけど、私が間違っていたんです。私がこの子を苦しめていたんだと思います。」
こうしたお話をお聴きすることは、親御さんの苦しみ、悲しみが私にもとても伝わってくる時間です。もしかしたら、親御さんにとってはふとした時に考えてしまったり、1日の中で絶えず頭の中をぐるぐると巡っているのかもしれません。
ただ、親御さんのこれまでの子育て、大切にしてきたことは、今の子どもの状況をもって、間違いとして、すべて否定されるものなのでしょうか?
大切な価値観、その背景には?
親御さんに、子育てへの思い、大事にしてこられた価値観、子どもに伝えたいこと、大事にしてもらいたいことをお聴きすると、
その背景には
自分自身がこの価値観を大切にしてきて支えられた、乗り越えてきた。
だから、この子にも大事にしてほしい。
自分自身はこの価値観をなかなか大事にできなくて、苦労した。
だから、この子には大事にしてほしい。
こうした思いが込められています。
どれも親御さんにとっては、大切にしたい価値観であり、自分という人生を振り返ること、自分らしさを考える上では外せないものなのかもしれません。
そして、親御さんにとって、その価値観の大切さは、子どもの今の状況をもって否定されるものではありません。親御さんが自分らしく人生を歩む上で、大切にしている価値観は、そのまま大切な価値観として、尊重されるものだと考えています。
ただ、お感じになっている方も多いかもしれませんが、自分が大切にしている価値観を、相手にも同じように大切にしてもらうことはなかなか難しいですよね。
親御さんがいろいろな経験を通して、その価値観の大切さを理解したことと同じように、子どももいろいろな経験を通して、いろいろな価値観に触れている真っ只中なのかもしれません。
お互いの自分らしさを大切に
現在は、昔よりも多くの価値観に触れる機会が子どもたちにはあるため、当然そのいろんな価値観の中から何を自分は大切にするのか、その子自身が吟味する時間は必要になります。
その過程の中で、子どもも自分らしさを伸ばしていくのだと思います。
親御さんが大切にしている価値観を、子どもも同じように大切にする価値観とするかどうかは、その子の人生のテーマの一つだと思いますが、子どもだけではなく、親御さんも自分らしく人生を歩むことは同じように尊重されることだと思います。
親と子、お互いがお互いの自分らしさを尊重しながらかかわることが、親御さんも毎日をすっきりと自分らしく過ごすために大切なことだと考えています。ただ、そのバランス感覚は、言うは易く行うは難しですが、そのお手伝いもカウンセリングを通してできたらと考えています。