不登校の子が動けない理由とは?
こんにちは。不登校支援センター横浜支部の安則芳郎です。
今回はテーマとして「不登校の子が動けない理由」を取り上げてみました。
子どもたちもさることながら、私たち大人でも似たような心理になることが少なからずあるかと思いますので、親御さんには是非ご自身の状況とも照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。
①先行きの見えない不安がある=それを乗り越える自信がない
学校に行った際に起こるであろう不安、ひいては社会に出ていくことへの不安が高まりその不安を感じることで身動きが取りにくくなっている状態です。
例えば過去に人間関係でトラブルがあった、学業不振になって嫌な思いをしたなどこういった経験が積み重なってくることで学校や人に対してネガティブなイメージをもってしまうことがあります。
発達心理学者であるエリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」というものがありますがこれは人の一生を8つの段階に分けて各段階ごとに向き合う心理的課題や危機を取り上げたものです。
その内、児童期と呼ばれる小中学生など、集団で生活するようになる時期では同学年の友人と自分を比べるようになり、自分が劣っていると感じる場面で劣等感が生じることがあります。
本来ここで諦めるのではなく、負けないように自分も頑張ろうと努力する姿勢が求められますが、嫌な経験を積み重ねてきてしまうと「頑張って努力したところで乗り越えられない」といった無気力感が先行しそして「自分はやれば出来る」という「自己効力感」がますます育ちにくくなっていきます。
こういった経緯により身動きが取れなくなってしまいます。
②今の場所で安定している
①ともつながってくるお話ですが、一度身動きがとれなくなってしまうと、その状態にいるのは苦しいものの、その苦しさに安定してしまうことがあります。
学校に行った方が良い、勉強を始めたほうが良い、友人と少しでも会話した方が良い、、、これらの事は頭ではわかっているものの、いざ実行しようとすると億劫になる。
そこには痛みが伴うものだと認識しているので、どうせなら多少苦しくても今の場所にいよう…。元来人は変化を嫌う生き物ですので、そう思うのも無理のない事かもしれません。
別のブログでも書かれておりますが、現状(生活や行動)を変化させることで生じるストレスなどのデメリット(痛み)と、変化することで得られるメリットを考えた際、デメリット(痛み)を感じたくないという気持ちから現状を変えることを先送りにしたり過度に嫌いたくなる傾向のことを
心理学では「現状維持バイアス」と言います。
このような現状維持バイアスに打ち勝つためには多少の痛みが伴うことを承知で動き出す「勇気」が求められてくることでしょう。
③あえて動かないという選択をしている
これはアドラー心理学でも言われる「人の行動には目的がある」という視点からの考察になりますが、実は動かないことにもその子なりの目的があるという考えになります。
ここではあえて家庭環境などのことについても触れていきますが例えば親に「叱られた」「かまってもらえなかった」「理不尽なことを言われた」
などの思いが子どもの中に生まれたとしましょう。
そうするとその子なりにこの出来事を解釈し
- 親が困ることは何だろう
- もっと注目されるための行動は何だろう
- 同じ思いをさせるにはどんなことをしたらいいだろう
と、やや不適切と思われる行動のとり方をしてしまう可能性があります。
あえて「学校に行かない」「勉強しない」などの行動をとることで誰かにメッセージを伝える、態度で示すということを無意識的に行ってしまっている可能性があるのです。
もっと適切なやり方で伝える、行動をとるという方法を身に着けていくことがこのようなケースでは必要になってきそうですね。
最後に
今回は不登校の子たちが動けない理由のうち、とても多いであろう3つを取り上げてみました。
当てはまるものがあったかもしれませんし、そうでなかったかもしれませんがいずれにしてもまずはその子の背景にある思いや心理状態を把握することが大切と言えるかと思います。
そのうえで、私たちカウンセラーも可能な限りサポートをしていければと思っておりますので何かありましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
関連ワード: アドラー心理学 , エリクソン , ストレス , ネガティブ , 心理状態 , 心理社会発達理論 , 無気力感