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「新学期(来年)から頑張る」~変化を恐れる気持ちと現状維持バイアスとは?~

こんにちは。

東京支部の椎名愛理です。

年末年始、皆さまどのようにお過ごしでしょうか?私たち大人は年末のお休みで少しだけ気持ちが和らぎ、年明けはもう仕事はじめを意識して少し慌ただしい気持ちになるのではないでしょうか。

 

では子供たちはどのような気持ちなのか?というと、表面上はゆっくりのんびりしているように見えても、内心焦りや不安といった気持ちが高くなっている場合があるのです。今日は年が変わるこの時期のお子さんの気持ちについて、取り上げていきたいと思います。

 

年末年始は焦りの季節でもあり、先延ばししたい季節?!

年末年始のこの時期を、子どもたちはどのような気持ちで過ごしているでしょうか? カウンセリングの中で子どもたちと話をしていると、大きく分けて二つの気持ちがあるように感じます。

1.一年が終わってしまうことを感じ『焦り・不安』などの気持ちが強くなる

例えばお話の中でも

  • もう一年が終わっちゃうのか
  • 自分はなにもできなかった
  • 一年前と自分はなにも変わっていない
  • (次の学期まで、次年度まで)あと少ししか時間がないのに間に合うんだろうか

等、一年を通して「できなかったこと」や「成長、変化していない自分」を感じ、焦りや不安が心の中で大きくなっています。こうした子どもは、冬休み前半はのびのびと過ごしているものの冬休み中盤、後半にかけてイライラしたり、元気がなくなったりと様子の変化が多くみられることも。

2.一年が終わることを意識しつつ「来学期から、来年度から頑張ろう」と先送りにしたくなる

一方で、この一年を振り返り

  • 今年中にできなくても、次の学期からリスタートすればいい
  • 三学期からは頑張れる気がする
  • 学期が変わるタイミングを使って学校に復帰しようと思っている

と、年明けというきっかけを使って頑張りたいという意識や、ある意味では「年明けという機会」「学年が変わる機会」までは現状を維持したいという気持ちが働くこともあるのです。

「現状維持バイアス」とは?

この「今の動き、有り方を維持したい」という心境を、心理学的には「現状維持バイアス」といいます。

現状維持バイアスとは、今の現状(生活や行動)を変化させることで生じるストレスなどのデメリットと、変化することで得られるメリットを考えた際、デメリットを取りたくないという気持ちから、無意識的に現状を変えることを先送りにしたり過度に嫌いたくなる傾向の事をいいます。

例えば、今の生活に「朝散歩に行く」や「少し本を読む」という習慣を加えることで、生活リズムが整うことはわかっていても、「それによって生じるストレス」例えば「時間を意識しなくてはいけない」「他にやりたいことを制限しなくてはいけない」というデメリットを考えると、ついデメリットを避けたくなり、頭ではわかっていてもメリット(変化)を避けたくなってしまうようなものです。

変化を恐れず、現状維持バイアスを外すにはどうしたらいいの?

「つい先送りにしたくなってしまう気持ち」がどのような仕組みで生じるのか、少しずつ分かってきたことかと思います。でも「ではいったいどうしたら、先送りにしたくなる気持ち(現状維持バイアス)をどうにかできるの?」とご不安に思われていますよね?

一つ、現状維持バイアスを外すためのコツを皆さんにお伝えできればと思います。それは「過去に変化を乗り越えたこと」「自分が意識していなかったけれど、気づいたら変わっていた習慣」などを振り返ることです。

え?そんなこと?と思われていらっしゃいますよね。しかしこの「振り返り」が、子供たちに変化を恐れない勇気を与えるものなのです。

人が怖く、友達と話せなかったAさんのお話

Aさんは高校2年生の女の子でした。Aさんはお友達とのトラブルをきっかけに、同世代の友達が怖い、人に自分の言葉がどのように伝わるか怖い、といった不安を持っていました。

そして、その不安から「自分は友達ができなくてもいい」「人と話せなくてもいい」と自分の今の状態を維持したいという気持ちを強く持っていました。

しかし、お話をしていくと「本当は、友達とディズニーランドに行きたい」「他の子がしているように一緒に放課後話しながら帰りたい」「一人でお昼を食べるのではなく、友達と一緒に食べたい」など、「こうなりたい」という姿があることがわかりました。

しかし、皆さんお分かりのようにAさんにも「現状を変えたくない」=「現状を変えるには、友達とコミュニケーションをとる必要がある。しかしそれが怖い」という現状維持バイアスがありました。

このAさんが今どうなったかというと、信頼できるお友達がいて、学校に行けば休み時間におしゃべりをしたり休日は一緒に出掛けたりと、人との交流を楽しんでいます。

Aさんは

「自分が過去にどんな変化を乗り越えたか?」

「その変化を乗り越えた時、想像よりも悪いことは起きたか?」

「もし今友達と交流をしていったとして、何か悪いことが起きるか?そしてそれは本当に

絶対に起こってしまうものなのか?」

と、自分が過去に変化を上手く乗り越えた事を振り返り、今度変化を乗り越えた場合自分がどのようになるのかを一生懸命考えていました。

もし皆さんのお子様が「今の現状が良くないとはわかっているけれど、変わることが怖そう」「何か不安に思って、現状維持をしたそうだ」といった様子が見らえたら、「過去に変化を乗り越えられたことがあったかな?」と一緒に考えてみると新たな発見があることと思います。

しかし、こうしたお話はご家族の中では気恥ずかしくてできない、今の関係性では家族内だけでは真面目な話がしにくいといったご事情もあるかと思います。

もしそうした時は、私たちカウンセラーにお声がけくださいね。客観的な第三者として、私たちも皆さんと一緒にこの春をどう乗り越えるか考えてまいりますね。

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