子どもに自分の思いが伝わらない…と感じる理由とは?①
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
すっかり体の芯まで冷えるくらいに寒くなりましたね。そのため布団から中々出られず家を出る時間がギリギリになり、毎朝走って駅に向かう毎日を過ごしています。おかげで電車に乗る頃には体が暑いくらいに温まってます…。
さて、今回はカウンセリングの中で親御さんと子ども、どちらからもお聞きすることがある言葉、「私のこと(気持ちや考え)を全然わかってくれない」ということがどのようにして起こるのかついて「自己表現」という視点から考えたいと思います。
自己表現のパターン
皆さんは「自己表現」と聞くとどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
- 自分の考えや気持ちを他者に伝える
- 自分の内側にあるものを言葉にする
- 自分をアピール!
- 芸術で自らを表現!
などなど
概ね自分の中にあるのもを外に表現するというイメージが思い浮かんだのではないでしょうか。今回のブログでは「自分の気持ちや考えを伝える」という意味で自己表現を用いたいと思います。
自己表現と一口に言っても色んな伝え方がありますよね。Wolpe,J.という精神科医は人間関係における自己表現を3つのタイプに分類しました。
①非主張的(non-assertive)自己表現
②攻撃的(aggressive)自己表現
③アサーティブ(assertive)な自己表現
それぞれの自己表現がどのようなものであるかはこの後ご説明しますね。
3つのうち、どれか1パターンだけ使っている人はあまりいません。時、場所、場合に応じてこれらの内どれかを無意識に使い分けています。例えば上司の前ではあまり自分の意見は言わないけど同僚には言える等。
今回は、①非主張的自己表現 を取り上げて、「分かってくれない」現象がなぜ起こるのかを書いていこうと思います。
*攻撃的自己表現とアサーティブな自己表現については次回のブログでご紹介します。
非主張的自己表現とは
非主張的自己表現とは、相手を優先させることから自分の意見を言わなかったり言い損なう、あるいは相手に伝わりにくい表現です。
意図して心から相手を配慮したり尊重したりした場合とは違うので、その場では非主張的自己表現でやり過ごせても心のどこかで「わかってもらえなかったなあ」「辛いなあ」と感じたり、後になって段々と「自分だけ我慢するのなんておかしい!」「これくらいわかってよ!」と怒りに変わったりすることもあります。
特に、一緒に長い時間を過ごしている家族相手だと「言わなくてもわかってくれる」と感じて、相手に察してもらおうとしていることが気付かない内に増えていることがあります。
もしくは、「言っても仕方がないしなあ」「言っても何も状況は変わらないし…」とこれまでの関わりから辛さや無力感を抱いて伝えることそのものを諦めていることがあるかもしれません。
最後に…
「全然わかってくれない」に至るまでの背景には、以上のような非主張的自己表現が隠れている可能性があります。相手を優先しているので「いい人」「優しい人」に見られるかもしれませんが「都合のいい人」と見られることも…。次回のブログでは攻撃的自己表現と適切であるとされるアサーティブな自己表現についてご紹介しますね。
「分かってくれない」という気持ちをお持ちの場合、適切に自己表現していくためにはどうすればいいのか、私たちカウンセラーも一緒に考えていきますのでお気軽にお声掛けください。
関連ワード: コミュニケーション , 不登校支援センター東京支部 , 子どもとの関わり方 , 子どもの気持ち , 子どもへの適切な接し方 , 本音 , 親子関係 , 関わり方
(*1) 平木典子(2012),アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法,講談社