小学校低学年のTくんとのカウンセリングの話~その4~
こんにちは。不登校支援センター名古屋支部の伊藤みゆきです。
前回までのブログはこちらです。
スモールステップでの取り組みで、「これができた」を体験し、前向きに取り組んでいたTくん。
そんなTくんがある日、「ぼくもう無理かもしれない・・・」
Tくんに訪れた困った事態とは・・・
Tくんに訪れた困った事態
順調にステップを昇りつつあったTくんなのですが、その日のカウンセリングではとても落ち込んでいる様子でした。
Tくんは
校門まで行く目標はほとんどできるようになったけれど、その次がとても難しい
そんな風に教えてくれました。
それまでトントン拍子にスモールステップで階段を昇っていたので、Tくんにとってはこれが初めて立ち止まった経験だったんです。
実はスモールステップで取り組んでいる子たちは、一度はこの壁に直面します。
スモールステップの良さは、一段ずつ昇って行くだけではなくて、時には立ち止まったり、少し降りてみたりをしながら進んでいけるところなのですが、うまくいっているときはずっと昇り続けるイメージを、うまくいかないときはもう動けないのではないかというイメージを抱いてしまいがちです。Tくんの場合は小学生だったこともあって、なおさらだったかもしれません。
レベル上げってレベルが上がるほど難しくなるよね
その日のカウンセリングで、Tくんとはこんなお話をしました。
「レベル上げってレベルが上がるほど難しくなるよね」
Tくんはゲームが好きで、会うたびに「レベルが〇〇まであがったんだよ!」といったお話をしてくれました。さらに、自分がどれだけがんばったのか、レベル上げに苦労した体験など、成功も失敗も、それが楽しいと言っていました。
そんなこともあって、学校についての取り組みを、Tくんの好きなロールプレイングゲームに例えて現状を整理しました。
- 校門に行くまではできるようになった → そのフィールドのモンスターは倒せるレベルになった
- その次が難しい → 次のボスが倒せない → レベル上げしたら倒せるかも → でもレベルがなかなか上げられない
そんなやりとりで、先ほどの「レベル上げって~難しいよね」というお話につながったのです。
ですが、このやりとりでTくんは次のチャレンジを乗り越えることができました。
あとになって、Tくんがその時のことをこんな風に話してくれました。
「レベルって、最初のほうはすぐに上がるんだけど、冒険が進んでいくとひとつ(レベルを)あげるのにとっても時間がかかったりすることがあるんだ。そういうときは一度ひとつ前の町に戻ったり、倒せる敵(雑魚敵だそうです(笑))を倒して少しずつレベルを上げるんだ。だから難しくなるのは当然なんだって思ったら、楽になったんだよ」
その後のTくん
あれから数年、Tくんは今、中学生になりました。
中学生になっても変わらずゲームは大好きで、いまでも小さな壁にぶつかると「レベル上げ」の話をすることもあります。
今回、ブログでTくんのお話をすることも
「僕の経験が誰かの役に立つなら」
と、お母さんもTくんも快諾してくれました(お母さん、Tくん、ありがとうございます)。
もちろん、Tくんとのカウンセリングがすべてではありませんので、
「うちの場合はどうしたらいいのだろう」
と思われたら、まずは親御さんとの初回面談にぜひ、お越しくださいね。
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