不登校解決現場レポート

カウンセラーが考察!『諦める=悪』ではない理由とは?

こんにちは。仙台支部の上原です。

皆さんは何かを諦めたことってありますか?

私もこれまで生きてきて色々なことを諦めてきました。単純に『諦める』と書くと何か悪いことのような印象がありますね。今日はそこについて少し考えてみたいと思います。

人はなぜ諦めるのか?

まず最初に諦める目的について考えてみたいと思います。

自分に置き換えてみて考えてみると面白いかもしれません。『理由』ではなく『目的』としている所がポイントです。

例えば私は昔、小説家に憧れていた時期がありました。中学生の頃ですが、今はもう諦めています。まず理由としては以下の通りです。

①継続的に書き続けるのが苦しい。
②自分には他者を上回る独創的な発想が出せないと感じた。
③仕事や趣味など他にやりたいことが多々ある。
④小説家として生活していくのは難しいという現実を知った。

他にも色々と上げれば出てきますが、簡潔にこのくらいにしておきます。さて、これは理由として挙げましたが、目的はまた違います。今度はそれを書いてみます。

①苦しさから逃れたい。
②自己評価が下がることに直面したくない。
③楽しいことをやっていたい。
④困難を覚悟してまで挑みたくない。

数字で現したように、私の場合、理由と目的は連動しています。ここからまず1つ分かることがあります。それは『人は自己を守るために諦めるという行動をとる』ということです。

叶わない夢を追い続けるのは苦しいですよね?叶うとしても懸命に努力を続けることは大変です。諦めることでその苦しさから解放され、自身を守ることが出来るわけです。なので人が何かを諦めるのは自分を守るため、という側面があると言えるでしょう。

・小説は趣味で書くくらいで丁度いい。
・仕事にしたら締め切りに追われたり書きたいものが書けなくなってしまう。
・そもそも生活できる程、売れる小説家になれるのはごく一部だけだ。

私の場合、こんな自己弁護をすることで自身の心を守っているわけですね。

諦めるのは悪いことなのか?

上記のような話は、私に限らず誰にでもあることでしょう。何も諦めず、全てのことに努力し続けることが出来た人は、いないのではないでしょうか?

漫画や小説の登場人物に魅力を感じたりする1つの要因に、こういった『自分には到底できないことに挑み続けている』そんな姿を見るからというのもあるようです。何度挫折しても諦めず挑戦し続けたり、自分や相手に勝つために途方もない努力を続けたり、それがフィクションでも強い憧憬を抱くのでしょう。

でも現実にはそれが出来る人は珍しいです。私もそうですが、色々なことを諦め、折り合いをつけて生きています。

では、それは悪いことでしょうか?

ここには多分に自己防衛が働いてしまうかもしれません。けれど誤解を恐れずに言うならば、悪いことではない、と主張します。

努力をしなくていい。何も頑張らなくていい、と言いたいわけではありません。

私たちは完璧はなく、とても未熟で不完全です。誰かの手助けが無ければ生きていけませんし、1人だけでは大したことも出来ません。

・毎日の食事に使う肉、野菜、魚
・毎日使う電気
・毎日使う水
・毎日見ているTV, PC, スマートフォン

殆どのモノが自分では作れないですし、壊れたら直せません。そもそも作り方すら知らないものが大半です。私たちは、自分以外の誰かの努力で生きています。その全てを自分で網羅することは、物理的に不可能でしょう。

だから『諦めて』自分に出来ることをするのです。

不登校の子ども達の中に、この反対のことをしようとする子たちがいます。もちろん子どもの目に見える範囲はまだ狭いです。その為、目に映る全てのことを頑張ろうとして、出来ている場合もあります。※実際は見えていないだけで全てのことなど出来ていないです。

学校、勉強、部活、友人関係、家族関係、習い事…

全て出来ることを目指し、諦めないで継続した結果、どこかで壁に当たります。小中高と進んでいく内に取り組むことはどんどん増えていって、その全てに全力で当たるのはとても難しいからです。

その時に適度に諦め、妥協を出来ないタイプの子は止まってしまうことがあります。極端に全部のことをやらなくなってしまう、なんてこともよく起こります。これは自身の許容量に対して、エネルギーをコントロールできなかったのが原因ですね。

そして固定概念や思い込みといったものがそれを形成している場合があります。
『ちゃんと頑張るのが当たり前』
『しっかり出来ていないといけない』
こんな考えのせいで適度に手を抜く、などが出来ない、罪悪感を感じてしまう、なんてパターンもあります。こういった認知の歪みのような部分が、不登校の改善には邪魔になってくることがあるんですね。

まずは自己把握と正しい認知を

今日は諦めるという1つのテーマで書きましたが、色々な所でこういった壁は作られています。不登校への取り組みには、このようにどこに本人の壁や歪み、偏りがあるのか見極めていくところから始まります。

しっかりと子ども自身を見て、対話をして、時には心理検査を用いながら分析していくことが大切ですね。

そして予測のついた認知の歪みに対して、本人の自己理解を進め、気付きを得てもらう。適切な支援や援助をするにはこういった形が望ましいです。

どのようにアプローチすればいいのか悩まれた時はご相談ください。それぞれのご家庭の状況にあった支援を一緒に考えていきたいと思います。

それではまた。

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