不登校支援で、支援する側が気を付けたいこと④
こんにちは。
不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
7月に入り、ほとんどの学校が通常登校を再開したという話をお聞きします。
学校生活に少しずつ慣れている子、分散登校は行けてたけど、通常登校になって最初の何日か行き「無理だ! 」と感じた子、再開のタイミングでの登校は難しかった子など、色々な話を聞きます。
お子さん本人もですが、親御さんも一喜一憂されているようです。
何日間登校できたか、ということも一つの目安として大切ではありますが、本人にストレスを対処する力が身についているかどうかも注目していきたいですね!
事例紹介
本日は、高校生の男の子A君の事例を紹介しながら、大切だと感じたポイントをお伝えさせて頂きますね。
A君は、自分から多くを発信するタイプではありません。
むしろ相手に悟られない様に心を閉じている様に見えます。
そんなA君は、相手とコミュニケーションを取る際に、
- 決め付けて話をされるのが嫌
- 自分の話をどれくらい関心を持って聞いてくれるか
- 相手がどんな人かを慎重に確認しながら話す。
- 相手に迷惑をかけたくない
という思いを抱いているとのことでした。
そのきっかけとしては、幼少期にA君の話し方や行動が相手を不愉快にするものだと、周りの大人から言われた事がずーっと引っ掛かっているそうです。
もしかしたら大人の方々は、悪意はなく良かれと思って、 A君が将来困らない様に指摘してあげただけなのかも知れませんが、 A君にしてみたら自分の話し方を否定されただけではなく、意見や考え方も否定されたと捉えてしまった様です。
この話を聞いた時、私たち大人は、善意から子どもを長い間傷つけてしまうかも知れないという事を頭の片隅に置いて言葉を選ばなければならないなと痛感しました。
A君がこれまでどんな風に感じて過ごしてきたのか、話してくれた想いは、以下の通りです。
- これまで誰かに理解してもらえたと感じたことはほとんどない。
- 自分の好きなことよりも、世間から求められる「普通」を出来る様にならなくては認められないのだろうと思う。
- でもそれが「普通」に出来ない事が自分でも苦しい。
- 自分が属している集団に対して、何か貢献しなくちゃいけない、という強い思いにかられる。
- 役に立てないと感じると、自分の存在価値がないのではないかと感じてしまう。
ということでした。
A君自身が持っている良さを発揮するのではなく、周りの空気を読もうとしすぎる余り、強い無力感を持ってしまっていました。
そんなA君は、今、等身大の自分を認めて受け入れるべくカウンセリングを継続しております。
もし今子どもが親御さんから見て
- 自分から行動に起こす事が少ない様に感じる
- 「やる」と言っていた事をやらない、できていない(嘘をつく)
- 行動を起こす前に、考えすぎて行動に移せない
- 指摘をすると責任転嫁をする
- 周りの大人の顔色を窺う事が多い
などの状態にある様に感じられる場合は、さぼっていたり現実逃避をしている訳ではなく私たち大人が思っている以上に心がくじかれて、これ以上傷つきたくないと感じているかも知れません。
そうだとしたら、「この子をどうやって動かすか」という事を考える段階ではなく、心が回復するサポートをしてあげるべきではないでしょうか。
誤解がない様にお伝え致しますと、「放っておく」という意味ではございません。
肯定的な関わりを持ってのサポートという意味です。
※こちらのブログも合わせてご参考になさってみてください。
私たちが、そのお手伝いが出来れば幸いです。
最後に
A君が、今後どうなっていったら良いか話してくれたのでご参考になれば嬉しいです。
- 自分が興味があることや好きな事に、無関心を示される事は寂しい。(関心を示して欲しい)
- 将来の事を考えなくてはいけないのは自分でも分かっているから急かさないで欲しい。(自分のペースを尊重してほしい)
- 自分が今出来ていることを純粋に認めて欲しい。(あるがままの自分を認めて欲しい)
A君のこういった思いが満たされていく事で、少しずつコミュニケーションを楽しめる様になってくれることを願っております。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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