『こだわる』お子さんの共通点~『こだわり』と心地よく生活するために~
こんにちは。
東京支部の椎名愛理です。
本日は、私たちカウンセラーがカウンセリングの中で感じる、お子さんたちの『こだわり』について触れようと思います。
まず『こだわり』を大辞林で調べると
① 心が何かにとらわれて、自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする。拘泥する(※1)
② 普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。
③ 物事がとどこおる。障る (※2)
④ 他人からの働きかけをこばむ。なんくせをつける。
など、どちらかというとマイナスな印象を受ける言葉であることがわかります。
こだわりがあると、行動が自然と制限され、何かに執着し意地になり、人の意見や指摘に耳を貸さず…といった印象でしょうか。
※1 拘泥(こうでい)・・・こだわること。必要以上に気にすること。
※2障る(さわる)・・・差し支える。じゃまになる。妨げとなる。
「うちの子、こんなこだわりがあって・・・」
カウンセリングの中で、親御さんから子どものこだわりについて、お話をいただくこともとても多いのです。
例えば
- 決まったものしか食べない(飽きるまでひたすら、何か月も竹輪だけ食べる等)
- 靴を履くのに、右足からでないと癇癪を起す(行動に、その子特有の順番がある)
- 時間に正確で、一分の遅れも許さない(許せない)
- 衣服の肌触りに敏感で、綿しか着ない(着られない)
- 本の並び順や、おもちゃの片付け方など、物にも自分なりのルールがある
等。
周りで生活を共にするご家族としては、子どものこだわりに巻き込まれ「困ってしまう」ということも多いでしょう。
「もっと色々食べてくれたらいいのに…」「どっちから履いても一緒なのに」「たった一分、どうにかなるでしょう」など、親御さんとしても子どものこだわりに合わせて生活することがストレスになるということもありますね。
~こだわりを持つ子どもの性格~
私がカウンセリングでお話してきた子どもを振り返ると、今までお話したような「色々なこだわり」を持った子も多くいました。
・時間に正確で、カウンセリングに一度も遅れることが無かった子(電車遅延で遅れそうになったときは、泣き出しそうだったそうです)
・上着を着るとき、必ず左腕から通さないとすべての衣服を着なおした子
・飲み物は某清涼飲料水しか飲まなかった子
どの子も、自分なりのこだわり=ルールがあり、それが乱れた時は焦ったり不安になったりと共通した気持ちになっていました。
しかし、他にも共通点はあります。
・一つの事に没頭する集中力が高い
・途中で投げ出すことが少なく、忍耐強い
・自分なりの意見があり、落ち着いた状況、関係性の中ではしっかり自分の言葉で伝えることができる
等です。
私たちは、つい物事のマイナス面、困る状況に目が行きがちなものです。
こだわりがあり、そのこだわりに周囲が振り回されてしまう場合などは、より一層「この子はまったく…」と『困っている部分』に焦点をあてて子どもを感じたり、考えたりしてしまいます。
しかし、すこし時間を空けて冷静に考えると、子どもの良いところ、素晴らしいところも見えてきます。
もしかすると「こだわりがあるからこそ、忍耐強くなったり、集中力が上がったり、自分の意見をしっかり持つことができている」のかもしれません。
忍耐強いことも、集中力があり自分の意見を自分の言葉で伝えられることも、社会に出てから求められるスキルですね。
とはいうものの、日々子どもと生活するご家族としては「ちょっとしんどい」ということも勿論あるでしょう。
~こだわりと上手に付き合うために~
私たちは先にお伝えした通り、こだわり=困ったもの=直さないといけないものと考えがちです。
すると
・竹輪は買わず、他の物だけを食卓に出そう
・多少の時間の遅れに慣れてくれないと困るから、子どもに正確な時間は伝えないようにしよう
・次に着るもの、履くものの順番を間違えたとしても、正面突破!そのまま突き進もう
と、子どもを「こだわりの外」に導こうと思います。
しかし、実はこの行動が逆効果になることもあるのです。
お子さん自身、自分のこだわりを「なんだか不自然かも、不自由かも」と気づきつつ、中々手放すことができないでいる場合もあります。(竹輪だけを食べていたお子さんは「ほんとはポテチ食べたいんだけど、なんか竹輪ばっかり食べちゃう。妹と一緒にお菓子食べたいな」と話していました)
すると、自分のタイミングではない時にこだわりを手放すということ自体が「より一層の不安や、こだわりに対する執着」を生むこともあるのです。
そこで、大切になるのが『こだわりを(強制的に)直そうとしないこと』と『こだわりを見つめたうえで、他の物、方法もあると周囲が示すこと』です。
直そうとしないこと、については前述のとおりです。
また『こだわりを見つめたうえで、他の物、方法もあると示すこと』とは
「竹輪があるね、竹輪美味しいよね。でも竹輪しか食べてないあなた、少し「他のものも食べたいな」って顔をしているように見えるよ? ちなみに、笹かまもおいしいし、はんぺんにチーズを挟んで焼いたのも絶品だし、もっと先にあるポテチだっておいしいよ」
といったものです。
実際この女の子は、お母様が上記のように声をかけ、少しずつ竹輪にキュウリを入れて食べ、チーズを入れて食べ、そのうち他の練り物も食べ、今では色々なものを食べています。
もし「もう竹輪は終わり!食べさせない!代わりにこれを食べなさい」と示されていた場合、より一層竹輪に対しての思い入れが強くなり、手放すことは難しかったでしょう。
もし、子どものこだわりにお困りの時は、竹輪のお話を思い出してみてくださいね。
また皆さんの子どもがどのような性格か、こだわりの裏にどのような長所やすばらしさがあるかについては、私たちカウンセラーも一緒に考えてまいります。
お困りの時は、どうかお気軽にお声がけくださいね。
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