不登校解決現場レポート

小学生のときから不登校だった子「まさか私が学校を楽しいと思う日が来るなんて!」

皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。

あなたは3年後の自分の生活が想像できますか?

大人であれば、ある程度想像できるかもしれませんが、ほとんどの方が難しいと感じるのではないでしょうか。
子どもであれば余計に難しいと思います。

例えば中学1年生のとき、あと3年経てば高校生になって、高校生になったら自由で楽しい生活になるんじゃないかな~、と想像できない楽観的な希望を抱いていたりしませんでしたか?
そして、実際高校生になったら、中学生までとそんなに変わらない生活で、「あれ、思ってたのと違うな」と感じたりしませんでしたか?

私はしてました。(私だけだったらどうしよう・・・)

それはともかく、不登校支援センターに相談に来る子どものほとんどが、
「特にやりたいこともないし、将来がまったく想像できません。」
ということを言います。

そんな中、実際にカウンセリング開始から3年後にタイトルにあるような言葉

「まさか、私が学校を楽しいと思う日が来るとは思わなかった!」

と満面の笑みで話してくれたAさんの話を、今日はご紹介したいと思います。

不登校の始まり

Aさんは小学校3年生のときに周りの子たちから、からかわれ始めたことがきっかけで、行き渋りが始まりました。
そして、小学校4年生のある日インフルエンザで1週間休んだことがあり、それをきっかけにその後から学校に行けなくなってしまいました。

それから小5、小6はずっと学校に行けず、
中1になって心機一転登校しようとしても、すぐに行けなくなってしまいました。

中1の終わりごろ、「このままでは・・・・」と心配されたお母様に連れられて、Aさんは初めて不登校支援センターに来てくれました。

 

カウンセリングの始まり

お母様とAさんのカウンセリングが始まりました。

お母様はこれまでずっとご家庭の中でAさんとの対応に悩み続けておられ、
「どうしたらいいのか全くわからない。」とお母さま自身も心理的に疲弊している状態でした。

お母様とのカウンセリングは、これまでの経緯を伺い、
お母様が望んでいること、不安に感じていることを丁寧に聴いていきました。
そして、ご家庭でAさんと接するときの具体的なアドバイスなどを、
Aさんの状態に応じて、少しずつお話ししていきました。

Aさんとのカウンセリングは、最初から上手くいったということはありませんでした。
ラポール(信頼関係)を丁寧に築いていくための会話を時間をかけて行っていきました。

とても印象的だったのが、Aさんが「あまり上手くないけど、見て欲しいです。」と言って、
自分が描いたイラストを見せてくれたときのことです。
それまで、好きな漫画やアニメ、動画の話をしていることが多かったのですが、
初めて「自分が作ったもの」を見て欲しいと言って、見せてくれたのです。
私もとても嬉しく思ったことを今でも覚えています。

カウンセリングの経過

ラポールもだいぶ築けてきたと感じるころには、
心理検査を実施して、それをもとに自己分析などをしていったり、
自分の苦手なこと得意なことを知っていくなどのカウンセリングが多くなっていきました。

その中でAさんも少しずつ、自分がどれだけ学校が嫌なのかを話してくれるようになりました。

「先生の威圧的な態度が嫌」
「友達から仲間外れにされるのが嫌」
「仲間外れにされないように必死になるがつらい」
「勉強すら人よりできないのが恥ずかしい」
「人前で失敗することが怖い」

などなど、どうしても学校に行けないということを話してくれました。

そのころ、お母様の方はカウンセリング開始時と比べ、日常的には落ち着いているようでした。
しかし、Aさんの様子が変化する度に
「どう声をかけたら良いのかわからないです・・・」
と不安を感じていました。

「母親である自分の対応次第でAさんをより良い方にサポートしていけるんだ」
という実感が自信にもプレッシャーにもなっているようでした。

それらの問にしっかりと私とお母様で一緒に悩み、考えて対応していきました。

カウンセリングの安定化

Aさんが中学3年生になるころ、カウンセリングの適切なタイミングが見えやすくなってきました。
このころには月1回のペースになっていたと思います。

Aさんは中2の夏休み明けからは勉強を開始し、中3になるころにはしっかりと進路のことも考えるようになりました。
私が後から振り返って「これが良かったのかな」と感じるのは、このときに
「私はもう中学校は行きません。」
とAさんが決めることができたことではないかと思います。

カウンセリングをしていった結果この結論におちつき、
「学校に行くか行かないか」
ということに悩む時間と労力を
「いかに高校生活を上手くやっていくか」
ということに使うようにしていきました。

その結論に至るまでもいろんな壁がありました。

 

  • 別室登校を試みて挫折
  • 自宅学習を始めるも挫折(複数回)
  • オンラインで友人とのコミュニケーションのトラブル
  • 家庭内でのトラブル

 

いろんなことがありました。
それらを丁寧に乗り越えていくことができ、
自分の進むべき道を決め、それに向けて少しずつ自分のペースで行動していきました。

このころには、お母様のカウンセリングの内容も変わっていました。

「どう対応したらいいのでしょうか?」
という言葉が、
「こう対応して、こういう反応が返ってきました。」
という事後報告の言葉が多かったです。

お母様はご家庭の中で何かあっても、その都度適切な対応ができるようになっていたのです。
そして、その確認をカウンセラーとしていく、と言う形になっていました。
そこまでいくと話の内容としては、ほとんどが「これからどんなことが起こりそうか」という話題の方が多かった気がします。(あと近況に関係する話)

復学と経過観察

いよいよ進学先も決まり、高校生活が始まりました。
最初は不安と緊張が大きく、このときは週1回のペースでカウンセリングをしていました。

もちろんいきなりフル登校ということは難しかったです。
挫けそうになることもありました。
しかし、そのときそのときでカウンセリングをし、落ち着いて考え、判断することができていました。

以前話してくれた「学校に対する不安」を一つずつ丁寧に対策を考えていきました。(これは中3の終わりからしていました)
上手くいくこともあれば、上手くいかないこともありましたし、
対人のコミュニケーションにおいては、上手くいっているのかどうかわからず不安になることもありました。

そうして、日々の生活を前向きに乗り越えていっていた、夏休み明けのある日、
Aさんが私に言ってくれたのです。

「今は本当にいろんなことが上手くいっている。学校がとても楽しいです。まさか、私が学校を楽しいと思える日が来るとは思わなかった!」

その言葉とそのときのAさんの表情を見て、私も一緒に喜んでしまいました。
それから、またカウンセリングのペースを少しずつ落としていきました。

Aさんは今では将来の目標もみつかり、それに向かっていく高校生活を楽しんでいます。

最後に

今回は、不登校解決事例のうちのひとつを紹介させていただきました。

不登校期間も長く、解決にも決して短くはない時間がかかっています。
学校という場所に絶望し、自分にも自信を無くし、外の世界を避ける状態から、

「学校が楽しい!」
「学ぶことが楽しい!」
「友達と過ごす時間が楽しい!」
「やりたいことが見つかった!」

活き活きとした毎日を過ごせるようになるまでの時間。
これを長いと感じるかどうかは人それぞれだと思います。

今現在、お子さんの不登校で悩まれている親御様
自分に自信が無く、将来に希望が持てないお子さん

つらく苦しい状態にある方もいらっしゃると思います。

しかし、まだ未来はわかりません。
そんな状態からでも未来に希望を持てるようになった子どもや親御様はたくさんいらっしゃいます。

私たちカウンセラーはそのためのお手伝いができたらと思っております。

そのために必要なことなどを聞いてみたいと思われる方は、
是非不登校支援センターにご連絡ください。

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