「巻きこまれて不登校になる」ということはどういうこと?
こんにちは。不登校支援センター大阪支部の佐久真です。
今日は、地域によって不登校が多い・少ないがあるという事実についてお話ししたいと思います。
大阪支部には、関西様々な地域からご相談に来られます。
大阪支部には、近隣地域はもちろん、京都、奈良、滋賀、姫路方面、遠くは四国や鳥取などからもご相談にお越しになられる方々がいます。
そして、当然その地域によって不登校の人数や特性というのが違ってきます。
このブログで、どこの地域が多いと明言することは避けますが、多い地域に起こる影響について巻き込まれて不登校になったという実例がありました。
不登校に巻き込まれるという状況とは?
開示許可を頂いた方から、実際に起こったエピソードをご紹介します。
中学2年生のAくんは、地元の小学校を卒業し、そのまま地元の公立中学に進学しました。
幼馴染も含め、小学校時代から仲の良い友達も多く、勉強やクラブ活動もほどほどに、頑張りすぎず自分のペースで楽しく中学校生活を送っていました。
しかし、中学校2年生の3学期、冬休み明けから急に学校に行きたくないと渋りだし、欠席が少しずつ増えて、学年末の3月頃には全く行けなくなっていました。
3年生に進級し、そのまま休み続け、心配されたご両親と一緒に不登校支援センター大阪支部にご相談に来られたのが、6月初旬頃でした。
A君は、当初ご両親の勧めでカウンセリングには”連れて来られている”というような、あまりよいイメージでは来ていなかったのですが、カウンセラーと打ち解け話しやすくなってくると、学校で感じていた色んなストレスについて話してくれました。
その中で、A君が話した表現に、「不登校に巻き込まれた」という言葉がありました。
もともと、休むつもりなんてなかったんです・・・
A君はカウンセラーに、学校で感じていたストレスのことを話してくれましたが、
「でも、確かにそういうストレスはありましたが、でもだからと言って学校を休みたいと思うほどではなかったです」
と言っていました。
しかし、実際に長く欠席することになっているわけで、何かきっかけがあったのかと聞くと・・・
「きっかけとか原因とか、これと言って無いんです。しいていえばクラスとか学年に休んでいる子が多くて、自分も休みたくなったというか、休んで不登校になっても別に目立たないなと思って」
と話してくれました。
実際に、友達のLINEグループ内でも学校に来ていない友達のことを心配しつつ、その子もLINEでの会話に入って話したり、一緒にオンラインゲームをする機会があったそうなのですが、とある友達が現在学校を休んでいるB君に対して
「お前いいよな~休んでてゲームばっかりしてるんだろ? 俺もそうなりたいな~」
と、不登校を羨むような発言があったそうです。
もちろん友達は、冗談で言ったような雰囲気のようで、その後休んでいるB君に
「ごめんごめん、嘘やで。休んでるのもキツイよな」とフォローを入れるような子だったそうですが、そのやり取りを見ていたA君は、素直に「俺も休みたいな」と思ったそうです。
実際に一日休んでみて、楽さを味わっちゃうとね・・・
A君はカウンセラーに、自分が不登校なのは、休むことで得られる楽さを味わったからだと表現しました。
休み続けて戻りにくくなっている今、そのことは多少後悔もしているようですが、やはり休み始めたころは「休みたい、休みたい」と強く思っているので、親に嘘をついたり、仮病使ってでも休みたいと思ってました、とも言ってました。
その気持ちを親に否定され「休んではダメだ」と言われると、余計に休みたくなるという心理も生まれてきて、どんどん欠席が増えていったそうです。
「休んでいる子を羨んで自分もああなりたいと思って休んだけど、今となっては後悔している。」
「自分のこと棚に上げて言うのもなんだけど、休んでいる人たちに流されて・・・なんか巻きこまれて不登校になってる感じがします」
休みたいという行動=学校でとても嫌なことがある、とは限らないこともある
確かに、A君のように
何のきっかけも、大きい原因が無くても不登校になるケースはあります。
こういったケースで大切なのは、学校を休みたがるのは、学校でとても嫌なことが在るに違いないと支援する周りの大人が自分の主観で不登校を判断してしまうことにあります。
なんでもないような、ただ休みたくて、それが癖になって、休んでいる子達と一緒に昼間からオンラインゲームに熱中したくて、、、。
そういうことがきっかけで不登校になっていく子達も増えていると思います。
ただ、休むことによって生じるリスクまでは想像しきれていなかったり、あとでとても後悔してしまったりもするので、まず、休み始めたり行き渋りが始まったら、その子どもに原因を問い詰めたりする前に、不登校支援センターのカウンセラーと面談してみてください。
最初の段階から客観的に状態を把握することができるのは、その後の支援にとても有効かと思いますので、色んな不登校があることを是非知っていただければと思います。
関連ワード: ゲーム , 不登校 , 子ども , 子ども 悩み , 学校 , 学校 休む , 学校 行かない , 引きこもり