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子どもの発達段階と不登校との関係⑥~経験と予測~

こんにちは。

不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。

これまで5回にわたり「子どもの発達段階と不登校との関係」を考えてきました。

それぞれの発達段階での成長については、子どもによってのペースもありますので、その年齢・学年での成長が見られなかったとしても、その後に然るべき体験を通して身につくものだと考えております。

私たちは、その「然るべき体験」をする機会を設けていければと考えております。

支援センターに通ってくれている子の事例をいくつか紹介したいと思います。

小学生時代には「宿題」をこう捉えていた子がいました。

  • やりたい人 (やる必要がある人) がやるもの =  自分には必要のないもの
  • やりたくないからやらない
  • 先生に怒られないからやらない (注意されてもやらなかったですが・・・)

ですので、この子は小学校にいる間は一切宿題をやりませんでした。

ところが中学生になると、その考え方が一変します。

  • 志望校に受験するために必要なもの (内申点を獲得するため)
  • 覚えるためには反復が必要だと感じた
  • 勉強もやり始めると興味が持てるものもあった

そう思えてからは、かかさず宿題を提出するようになりました。

親御さんも、あれほど嫌がっていたのが嘘のようだとおっしゃていました。

何がそうさせたのでしょうか?

  • 本人の意識が変わった (気づいた)
  • 目的意識ができた

一般的には上記のように言われる事が多いかと思います。

では、具体的には「何が」本人の意識を変えるきっかけになり、目的意識を持たせるきっかけになったのでしょうか?

それは、予測する力 だと私は思います。

「予め(あらかじめ)」、この先どうなりそうか(どんな事が起こりそうか)を「根拠に基づいて推し測る」力です。

その根拠となるものは、経験です。

もう一つ別のお話を紹介したいと思います。

そのご家庭の子どもは、コップに飲み物を入れて自分の部屋に持っていくそうです。

ただ飲み終わってもコップは洗わなかったそうです。

では次に飲むときにはどうするのかというと、新しいコップに飲み物を入れて自分の部屋に持っていきます。

親御さんは、その都度「飲み終わったら、部屋から持ってきて洗いなさい。そのままにしないで!」と声をかけていましたが、その子は言われた通りにする気配がありません。

声掛けをする事に無意味さを感じた親御さんは、子どもがどうするか静観することにしました。

どれくらいの期間そうされたのかは聞きませんでしたが(笑)

子どもが行動したのは、置きっぱなしコップがカビている事に気付いた時だったそうです。

それ以来、カビる前には自分からコップを片付ける様になったそうです。

この様に、「ある経験」をもとに行動が変化する事ってたくさんありますよね。

その「経験の量」「予測する力」に大きな違いがあるのが、「親」 (大人)「子ども」ではないかと思います。

前半で紹介した、宿題を全くやらなかった子どもは、どのような「経験」から「予測する力」が身についたのかを時系列でご紹介すると以下の通りです。

カウンセリング (親からの受容、他者からの受容)

新たなものへの好奇心 (ゲーム・マンガ・アニメ・本・PC…)

家族以外の人たちとの関わり (同世代、同じ趣味を持つ人たち…)

興味・関心があることへの追及 (自分なりの工夫や変化)

そういった事を経験する中で、今までは「宿題とは不必要なもの」としか捉えていなかったものが、様々な捉え方ができるようになったのです。

そういった経験をするきっかけとなったのが「不登校」でした。

不登校になる前は、親御さんも我が子を思う気持ちから、「親御さんが予測した対処を伝えていた」と振り返っておられました。

  • やめなさい
  • こっちにしなさい
  • こうしなさい

※ニュアンスとして子どもにこう伝わっていたという例えです。

しかし「不登校」を境に、親御さんが言っても言う通りには行動しなくなったそうです。

「親も気づけて良かった。あのまま ”親が予測した対処” だけで行動していたら、この先また心が折れてしまっても、自力では立ち直れなくなっていたのではないか。」

と後々には振り返っておられました。

困難を克服するために必要な能力

今後、子どもが一人で克服しなければならない困難に直面した際、そういった能力が備わっていなければ、そもそも克服しようとする事を諦めてしまうかも知れません。

どうやったら乗り越えられるかを前向きに検討し続けるためには、 広い視野自分の経験に基づいた根拠や、乗り越えられるだろうという見通し (予測する力) など、多くの 「失敗」 という経験と 「でも上手に対処できた」 という経験が選択肢の一つ一つになるのではないでしょうか。

その経験を積み重ねる事で、 「自分には何とかできる能力がある」 という自信に結びついていくと考えています。

他にも 「親」 (大人) と 「子」 の決定的な違いとして、面談の中でも良く話題に上がるは「養育環境」 についてです。

それについては、また次回お伝えしたいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。

子どもの発達段階と不登校との関係①~小学校低学年~

子どもの発達段階と不登校との関係②~小学校高学年~

子どもの発達段階と不登校との関係③~中学生~

子どもの発達段階と不登校との関係④~高校生~

子どもの発達段階と不登校との関係⑤~乳幼児期~

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