お悩み解決「一問一答」不登校解決現場レポート中学生の不登校子供の心理学

不登校専門カウンセラーが教える「学校回避傾向に対する対応方法」とは?

皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。

前回ブログに引き続き、状態別の不登校対応方法についてお話ししたいと思います。

今回は、『学校回避傾向』状態の不登校対応方法についてお話ししていきます。

学校回避傾向状態とは?

不登校において、学校に不登校の要因が少ない場合もありますが、学校生活における明確な『嫌悪感』があり、学校に関する話題や物事を拒絶しようとする状態です。

この学校回避傾向状態にある子どもの状況としては、次のような例があります。

  • 外出はできる
  • 家族とは、コミュニケーションなど関わりは普通にできる
  • 学校の話題、勉強の話題は避けたがる(あるいは怒りを露にする)
  • 学校の先生の訪問などを拒絶する
  • 友だちからの連絡にも応じない
  • オンラインでの人付き合いは可能

などです。

ただ、注意してもらいたいのが

「学校なんて行く必要がない」「勉強なんてする意味がわからない」

などと言っている場合は、学校回避傾向というよりも、「自分が学校に行かないことを正当化させたい」という思いが強い可能性があります。なので、状態の見極めは必要です。(この言動だけでは、どの状態かの判断は難しいです)

これについては、以下のブログを参照してみてください。↓↓↓↓

「勉強する(学校に行く)意味がない」と言う子どもへの対応方法とは?

学校回避状態にある子どもの心情として、比較的多いと感じられるケースとしては、

  • 自分が通う学校という環境において、自分の望む立ち位置を獲得できないと感じている
  • 先生という存在と上手く付き合っていける自信が無い
  • クラスメイト(同級生)に対して大きな劣等感を感じてしまっている
  • 学校という空間にいると、頭痛がしたり、胸が締め付けられる感じがあったりする

このように、理不尽、不安、恐怖を感じていることが多いようです。

学校回避傾向状態の対応方針

この状態において、考慮すべきパターンがさらに2つあります。

  1. 学校に対する反抗からの回避(友人、クラスメイト、先生、部活内などでのトラブルが多いなど)
  2. 学校に対する恐怖と不安からの回避

具体的な対応方法は、1と2で異なりますが、共通した対応方針としては、「本人の自己肯定感を高める」ということになります。

例えば、『1.学校に対する反抗からの回避(友人、クラスメイト、先生、部活内などでのトラブルが多いなど)』のパターンだと、学校に対する不満や愚痴が多い子どもの場合、時には過激な考えを持ってしまうこともあります(誰々を殴りたいとか、仕返しをしたいなど)。

もちろん報復という行動を実際に行ってしまった場合は咎めなければならないこともあるかもしれません。しかし、実際の行動に移すのではなく、子ども自身が『過激な考えを持ってしまった』というだけの場合は違ってきます。

子どもの中には過激な考えを自分自身が持ってしまっていることに嫌悪感を持つことが多くあります。そのときに周りが「そんなことを言って(考えて)はいけない」などと否定してしまうことは、子どもをさらに傷つけてしまいます。

「そう思ってしまうくらい辛かった、悲しかった、悔しかったのだな」という受け取り方をしてあげてください。

子ども自身が『過激な考えを持ってしまった』ということを受容することができるように関わってあげるのです。(文章でお伝えするのが難しいのですが、『過激な考え』を肯定するのではありません。)

そして、不満や愚痴、恐怖や不安を吐き出させてあげるような関わりが重要になってきます。

【参考事例】ある中学校3年生の男の子D君

D君は、とある私立の中学校に通っていたのですが、学校の同級生からのいじめがあり、先生にも授業態度の悪さでよく注意されており、学校に対して不信感を募らせ、学校に行かなくなりました。

お母さんが、どうせ行かないのならと地元の中学校に転校させたのですが、転校初日に先生から心無い言葉を浴びせされ、クラスメイトからも威圧的な態度で関わられてしまい、すぐに学校に行かなくなってしまいました。

周りの心無い言葉や態度について詳細には記載しませんが

  • Dくんの服装について先生から注意があったということ
  • D君の不真面目な授業態度を見て、不真面目な生徒が絡んできた

こういった状況です。(人に寄っては自業自得とも捉えられるかもしれません)

さて、そんな状態でお母さんが不登校支援センターに相談にいらっしゃいました。

D君のカウンセリングを開始した最初のころは、とにかく学校への愚痴や不満、仕返しの計画についての話題が多くありました。私はその話題については、傾聴をベースにカウンセリングをずっと行っていました。

このケースの場合、『傾聴をベースに』というところがポイントになります。

やはり『傾聴』だけでは解決しないケースは多々あります。(根気良く傾聴を続けていれば、傾聴だけでもいつかは解決するかもしれませんが・・・)そのため、『傾聴』するにとどまらず、より怒りや不満、愚痴を吐き出させるということをしていました。

D君の中で湧き上がる怒りを吐き出させていると、一か月後にはまるでそんなこと考えたことも無かったかのように、その話題が出てくることはまったくありませんでした。そしてD君の場合は、

  • 「今自分が興味があること」
  • 「自分がやりたいと思うこと」

を話してくれるようになり、そこにエネルギーを使うようになっていきました。

D君は、自分がやりたいことを上手くやっていけるようになるためには成長が必要と感じ、自分が一番成長を期待できる環境を考えたときに、高校への進学を希望するようになりました。

さすがに中学校への復学とはいきませんでしたが、高校受験に向けて努力するようになり、無事に志望する高校に進学することができました。

D君の事例から考えてもらいたいこと

D君の事例と同じように、子どもの過激な考えが言葉として出ていることで「子どもが本当に仕返しをしそうで怖いんです」という親御様からの相談は多くあります。

実際に子どもからお母さんへの暴力・暴言もあったりすると、お母さんが恐怖を感じてしまうことも無理はありません。そのため子どもの過激な言動を抑制しようと、「そんなこと言ってはだめ!」「そんなことしてはいけません!」と伝え続けてしまい、それが結果的に、子どものストレスになってしまうこともあります。親子関係まで悪化してしまうと、子どもはお母さんを困らせるためにそのようなことを実行してしまう可能性もありますので、注意が必要になります。

D君の参考事例は『1.学校に対する反抗からの回避(友人、クラスメイト、先生、部活内などでのトラブルが多いなど)』のケースが該当するものであり、このケースの子どもの場合は、「エネルギーを使う方向を変えてあげる」という対応が感覚的には近いかもしれません。

もし子どもが、『2.学校に対する恐怖と不安からの回避』のケースに該当する場合、エネルギーを蓄えることから始めていく必要があることが多いです。そのためまずは寄り添って、「不安だけどやる」「怖いけれど向き合う」という、挑戦するためのエネルギーを蓄えていくサポートをしていくことが重要になります。

最後に

学校回避傾向状態にある子どもに対して、「なんとかして学校に行かせようとする」という行為は、状況を悪化させることがほとんどです。

しかし、親御様としては、「学校に行かなくなる」という状態に対して不安を感じるので、その不安を解消するために「学校に行かせようとする」という行動をとることもあると思います。

残念ながら不登校支援センターに相談に来られるケースのほとんどが、そうして状況を悪化させた後の状態なのですが、言い換えるとその状態からでも取り返しがつくということでもあります。

気になる方、心当たりがある方は、是非一度不登校支援センターにご相談にお越しください。

家庭内回避傾向について~状況から考える子どもへの対応方法~

社会回避傾向について~状況から考える子どもへの対応方法~

社会接近傾向について~状況から考える子どもへの対応方法~

安全維持状態の子どもについて~状況から考える子どもへの対応方法~

無料面談について詳しくはクリック

 

関連ワード: , , , , , , , , ,