子どもの発達段階と不登校との関係⑤~乳幼児期~
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
年が明けて一か月が経ちますね。
受験生の方には、勝負の時が目前に迫ってきているかも知れません。
これまでたくさんの準備をしてきたことと思いますので、最後は自分を信じて準備してきたものが発揮できるよう願っております。
さて、これまでのブログでは、小学生・中学生・高校生の一般的に見られる発達上の特性と課題をお伝えしてきました。
私個人的には、あくまで一般的な考え方に過ぎないと考えており、子どもの特性は一人一人違ってくると経験上感じています。
ただ、学校教育の中で(社会の中で)求められるものは「一般的」に寄る傾向があり、それによりその環境が辛い・苦しい・しんどいと感じる子どもが増えてきているのではないかと思うのです。
辛い、苦しい、しんどいと感じる要素の例
- 「集団授業」という形式が辛いと感じる何らかの価値観
- 「もう〇年生なんだから、これくらいはできるよね」「他の子はできるよ/こうやっているよ」といった、自分の成長段階やペースとは違った部分への期待を圧力の様に感じてしまう価値観
- そういった価値観や今の自己評価を形成している(してきた)環境
- 「今は行動を起こしたくない!変わりたくない!」「もう頑張れない!自分にはできない!」と感じさせてしまっている(悪循環を維持している)環境
などです。
※「子どもの発達段階と不登校との関係②~小学校高学年~」の中でも取り上げましたが、より関係の濃い仲間を作ろうとすると、自分たちから見て「異質」だと感じる存在に排他的になる傾向が表れます。(部外者や邪魔者を退けようとする、仲間外れにする様子)
その対象となった場合、心理的な負担は想像できないほど大きいと思われます。
そしてそのしんどい・辛い状況が続いた際に、子ども起こす行動の一つが「学校を休む」という行動です。
これは子どもなりに、考え抜いて出したストレス対処であるということ、そしてその考えに至るまでには、様々な要素が影響しあっています。
「学校に通う事が当然だ」という価値観から見れば、「学校を休む」という事は異常に感じられるかも知れませんし、だからこそ「行かせよう」という関わり方になってしまうのかも知れません。
ただ、「学校を休む」という選択をした子に、「学校を休むな」と対応するのは、その子自身をも否定することに繋がり、その結果、2次被害・3次被害に発展してしまう危険性をはらんでいることを、どうかご理解ください。
2次被害・3次被害について代表的な例ですと
- 非行・犯罪
- 引きこもり
- 自傷(自殺)・他害
- 精神疾患
- うつ病
などが挙げられるかと思います。
(2次被害・3次被害については担当のカウンセラーに尋ねて頂けますと、より詳しい事例などもご紹介できるかと思います
私たち心理職は、現在の状態へのケア・サポートを大切に感じているのと同時に2次被害・3次被害へ悪化させないよう未然に防ぐことも大切に感じています。
ですので、まずは今の段階で食い止めるために、どうしたら良いのかを一緒に考えていきましょう。
乳児期、幼児期の発達段階とその環境まで遡って考えてみます
それは、この時期の出来事が後の人格形成の基になると言っても過言ではないからです。
まず乳幼児期の子どもは、自分が感じている不快感を自力では取り除けません。
なので、自分に代わって不快感を取り除いてもらうために「泣く」ことで養育者(親)の注意を引きます。
この「泣く」という行動は赤ちゃんが取れる数少ないコミュニケーションの1つであり、「あなた(親・養育者)に向けてのメッセージですよ」という意味が含まれていると言われています。
コミュニケーションは、発信する人と受け取る人がいて始めて成立するものなので、そのメッセージを受け取ってもらえるのかどうかで他者への「基本的な信頼感」が養われます。
この「他者への信頼感」を基に、その後の発達段階では
- 他者に助けを求めたり
- 頼る(助けたり頼られたり)ことで関わりを深めたり
- 集団の中で自分の居場所を作る事ができたり・・・
このようになっていきます。
不信感でいっぱいだったら、そんなことはできないですよね・・・。
親御さんからの受容の大切さ
面談の中で、
- 学校を休み始めてから、子どもが急に甘えてくるようになった
- スキンシップを求めることが多くなった
というお話をお聞きすることがあります。(赤ちゃん返り、退行などと呼ばれますね。)
この行動には、
- 自分が感じている不快感を自力では取り除けないと感じているため、助けて欲しい
- 他者への不信感が強まっているので、他者を信頼できるようになりたい
- 今まで体験できなかったことを体験しなおそうとしている
などの目的があるように思えます。
「もう〇〇歳なのに・・・」と思うかも知れませんが、本人は実年齢と精神年齢が乖離してしまうほどの状態ですので、できるだけ応えてあげてください。
親御さんからの受容が、子どもにとっては何よりも替えがたいものになります。
もし、
- 素直に今の子どもを受け入れらない(理解できない)という気持ちがある
- 褒めるところが見当たらない(欠点ばかり気になってしまう)
- 話しだすとつい言い合いになってしまう
といった状況に陥ってしまっていたら、一つだけ試してみて頂きたいことがございます。
「あなたがいてくれるから、会話することができる」
という子どもへの感謝の気持ちを伝えてみてください。
存在自体を肯定する素敵な言葉だと思います。
そこから何かが変わり始めるはずです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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