不登校解決現場レポート

つまらなくてもやってしまう。ゲームやインターネットとの付き合い方

こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。

本日は子どもたちがよく熱中するゲームやインターネットについてのお話です。

1日16時間ゲームをするAさん

「寝ているとき以外は大体ゲームをしています」

こんなご相談を受けたことがあります。

当時中学生のAさんは寝ているときとお風呂に入っているとき以外はずっと携帯用ゲーム機を使用していました。

食事中でも会話中でもTVを見ながらでも、家族といる時ゲーム機から手が離れることはなかったそうです。外出すると少し抑えるようですが、家族との外出ではレストランでも観光地でもゲームをしていたとのこと。

「今学校に登校できないことはいいとしても、ゲームしかない生活は変えさせたい」

親御さんとしては当然の悩みかもしれません。

ゲームばかりの生活。しかも頻繁にゲームの勝敗などで怒って暴言を吐いてもいます。イライラしながらずっとゲームをして、楽しんでいるようにも見えない時が多いそうです。ここまで過度になっていなくても、同じようなことで悩まれる方は多いと思います。

ちなみに彼は今高校三年生となり、大学受験も終わり次の進学先も決まりました。

今もゲームは楽しんでいるようですが、毎日学校に登校しており、当時のことを思うと少し恥ずかしそうに話してくれます。

では、彼はどうして長時間のゲームから離れられたのでしょうか。

暇つぶしになっていた

ゲームは楽しいものです。その為に作られているのですから当然です。

ですがゲームに熱中していたAくんはどちらかというと、楽しんではいませんでした。

もちろん最初は楽しくて初めて熱中もしていました。キャラクターのレベルを上げたり、自分の操作技術を高めたり、通信で対戦や協力をしたり、楽しみ方は様々です。

変わってきたのはゲームが中心の生活になってからだそうです。

  • 楽しんでやっていたことは「作業・ノルマ」のようになってしまった。
  • 対戦や協力プレイでは「結果・勝てたかどうか」ばかりが気になるようになった。
  • 自分でも最近ゲームをやっていても楽しくない。
  • 楽しいと感じることもあるけど、明らかにその回数が減った。

そう感じながらも、ゲームが習慣であるかのように毎日やり続けてしまったそうです。

これは人間の心の機能としては正常な反応でしょう。毎日同じことを続けていたら飽きてしまいます。

私は趣味でカラオケが好きなのですが、毎日していたら恐らく飽きるでしょう。

飽きないように歌う歌を変えたり、歌い方を工夫したり、誰かと一緒に歌ったり、飽きるまでの時間を延ばすことは出来ると思います。

しかし他の趣味を行わず、カラオケだけしていたら絶対に飽きます。別のこともしたくなります。

そしてゲームにはまっている子たちによくあるのが「他のこと」にあまり手を付けられない状態です。

出来ないわけでも興味がまったくないわけでもないようです。

子どもたちと話をすると、やってみたいことや興味を惹かれたものなど出てきます。

でも「実際にやろう」となると動きません。いつもやっているゲームやネットをなんとなくして過ごして終わってしまうことが多いです。

Aさんの場合も同じような状態でした。

毎日16時間もゲームをしていて飽きないわけがありません。

そのことについて親からも指摘されています。自分でもわかっているがゆえに余計にイラついてもいました。

そんな彼が変わったのは、何か意味のある特別なことをしたからではありませんでした。

彼が行ったのは、『単純な会話と思考』それだけです。

カウンセリングの中でよくゲームについて話しました。一緒にゲームを楽しんだりもしました。

そしてゲームをきっかけに興味のあることを深く話したり、未来にはどんなゲームが出るだろうなど、先のことも話しました。

彼自身が興味のある分野のことをたくさん話していると「その時の自分はどうなっているかな」という視点が出てきます。

「中学生で全く学校に行っていない自分はその未来でどうなっているのだろう・・・」

不安を感じ、目をそらすことも多いです。しかし会話を続けているうちに、それらのことを話すのに抵抗がなくなっていきました。

高校受験の話をする頃には、当たり前のようにゲームをしながら「進路どうする?」と話せるようになっていました。

本人が自分の進路意識しだすと、ゲームの時間は勝手に減っていきました。

時間を減らそう!とか他のことにも目を向けよう!など、こちらからは全く言っていません。(※彼から聞かれたり話していく中で出てきたことは多々あります)

本人としては「しょうがないしやるか」くらいの気持ちだったようです。

でもやり出したら続けられました。

あんなに嫌がっていた勉強や学校のことだったので、親御さんはその変化に驚いておられました。

変化はどんどん大きくなっていった

Aさんがさらに大きく変化したのは高校へ進学してからでした。

  • まずせっかく入ったのだからと、毎日登校するようになった
  • その中で友達が出来て、自分でゲームの同好会を作った
  • 仲間が出来て、文化祭のイベントに苦労しながら参加した
  • 翌年には後輩が入り、お付き合いする彼女も出来た

その頃もゲームは続けていましたが、それだけの生活からは全く違いますね。

ゲーム自体もイライラして続けるようなことは殆どなくなりました。

何よりもゲームだけしていた生活よりとても楽しそうに過ごしています。

理由は単純。

「他にも楽しいことが増えたから」です。

もちろんここに至るまでにはいくつもの過程があり、その為のアプローチも省略しています。

ですが根本的な要素として、自分の興味や行動を多方面に増やすこと。

それが本人の充実感にも繋がり、ゲーム自体もより楽しめるようになったのは事実です。

これは周囲から「そういうものなんだよ」と諭されても納得できることではありません

本人が実感として認識出来てこそ、納得して受け入れられることです。

その本人の納得を作るお手伝いを、カウンセリングの中で行ったケースですね。

手法ややり方、頻度などは様々だと思います。本人に合った方法を模索して、提供できるようにしていきたいですね。

それではまた。

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