復学に繋がった事例で母親のみのカウンセリングが効果的だった理由とは?
皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。
今年の福岡の冬は例年より暖かく感じています。そのため福岡は、雪が降る気配がまったくありませんね・・・。
遠方から来られる方もいらっしゃるので、雪の心配が無いのは良いことでもありますが。
不登校支援センターには、軽い旅行になるくらい遠方から来られる方など、いろんな形での来訪があります。
よくある質問に、
「親だけで不登校支援センターへ行っても意味があるのでしょうか?」
というものがあります。
今回はその「親だけで行って解決した」事例紹介をしたいと思います。
中1男子A君の事例
A君は中1に入学し、最初は楽しそうに過ごしていました。
しかし、6月中旬くらいから行き渋りが始まり、夏休み明けには登校できなくなっていました。
A君のお母さんが不登校支援センターへ来訪したのは10月になるころでした。
- 「夏休みを休んだら大丈夫かと思っていたのですが・・・」
- 「無理矢理学校に行かせるのは良くないと思っていたので休ませていました。」
- 「家ではだいぶ落ち着いているのですが、学校の話題になると途端に態度が変わるんです。」
などと話してくれていました。
結果的にA君は最後までカウンセリングには来ませんでしたが、お母さんだけでの来訪が3か月ほど続いたときに、A君は再登校することができました。(※完全復学ではありません)
母親のみのカウンセリングが効果的だった理由
今回のケースで、特に母親のみのカウンセリングが効果的だった理由があります。
以下のケースに当てはまる方は、母親のみでのカウンセリングでも効果が期待できる可能性があります。
- どうしても子どもに何か言いたくなってしまう
- 対象の子どもに兄弟姉妹がおり、そっちも気になってしまう
- 子どもの言っていることや、考えていることがあまり理解できない
- 他に頼れる相談相手がいない
- 子どもよりも、お母さん自身の方が不安や焦りが大きいと感じている
お母さんが一人で悩み続けて不安を抱えるのではなく、カウンセリングを受けることによって、子どもとの接し方を理解し、落ち着いて対応できるようになります。
お母さん自身に余裕があることで、子どもへの良い影響が出てくるケースは非常に多いです。
子どもにとって、どんなお母さんになっていますか?
ちょっと、想像してみてください。
学校に行けない子どものことですごく悩み、藁にもすがる思いでカウンセリングに来たとしましょう。
相談しようとしたとき、カウンセラーが、
「いや~、ちょっと今朝妻とケンカしてしまって・・・。胃の調子が・・・・」
「ああ、気にしないでください、、。ところで、今日はどうされましたか?」
カウンセラーがこんな状態だったら、安心して相談できる!とは思えないのではないでしょうか?
「あ、もういいです(この人に相談してもダメそう・・・)」とすぐに帰りたい気持ちになったりするのではないかと思います。
もしかすると、子どもから見た母親も同じかもしれません。
- 「ああ、お母さん機嫌悪いかな・・・」
- 「お母さんに相談しても余計困らせるだけかな・・・」
- 「今何か言ったら怒り出しそうだな・・・」
などと子どもが感じてしまうと、子どもは言いたいことは言い出せず、お母さんに頼ることが難しくなります。
子どもからみて、
「安定しているお母さん」
「頼り易いお母さん」
であることが重要なことがよくあります。
中1男子A君の経過
カウンセリングに通いながら、お母さん自身が
- 子どもの今の状態
- 今の状態の子どもとの接し方
- 自分の心の余裕を作ること
これらを意識して取り組んでいくことで、カウンセリングに来るお母さん自身の表情も数回目から毎回明るくなっていっていました。
A君はカウンセリングに来ていない為、A君についてはお母さんから聞いた話でしかありませんが、子どもの良い変化の話も増えていました。
- A君の方から話かけてくることが増えてきた
- A君が手伝いをしてくれるようになってきた
- A君が弱音を吐くようになってきた
- A君自身の表情が明るいことが増えてきた
などです。
報告を受けるA君のお母さんへの態度は、もしかしたらお母様の状態の鏡のようになっているのでは、と思ってしまうほどでした。
そして、約3か月後の1月。A君は新学期から登校し始めました。
事例に関しての考察
不登校支援センターは、再登校を目的とするのではなく、その後の社会生活での自立を目的としています。
そのためA君が再登校してからも、お母さんのみのカウンセリングは続けておりました。
約3か月で再登校はできたものの、この後も行ったり行かなかったりが続き、完全復学にはさらに時間を要しました。
しかしお母さん自身が
- 「再登校できるのだな」と感じることができたということ
- 子どもとの接し方に自信を持てたこと
これらのことから、その後の子どものサポートも上手くやっていくことができていたようです。
カウンセリングに通いながらお母さんが考えたA君への対応が、A君の状態を安定させていき、行動する勇気づけになるには十分だったのかもしれません。
さいごに
不登校の問題は、ほとんどが結果論でしか述べることができませんし、この記事の中にすべての情報が詰まっているわけでもありません。
しかし、他のケースでも、
- 「自分の家族間の問題」
- 「自分の問題」
- 「第三者に関わって欲しくない」
と思っている子どもはカウンセリングに来ないケースもよくあります。
その場合、お母さんの積極的な関わり方が今回のA君のように、子どもが行動できる勇気づけになった可能性はあるのでは、と考えられます。
今回の事例が多くのケースに当てはまるというわけではありませんが、参考事例のひとつとして見てもらえたらと思います。
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