不登校専門カウンセラーが教える「学校の方針が合わなかった時の対応方法」とは?
こんにちは。不登校支援センター仙台支部の上原です。
年も明けてしばらく経ちました。本年もよろしくお願い致します。
本日はある事例から、学校の方針が自分たちに合わなかった時、どうしたらいいのだろう、ということを考えてみたいと思います。
中学時代に不登校だったA君の場合
A君は最初は荒れた様子でしたが、親御さんの努力の甲斐もあり、徐々に落ち着いて将来を考えられるようになりました。
本人には「高校くらいは卒業しておかなければ」という思いが強くありました。
同時に「どんな高校なら自分は通えるだろう」「高校生活ではこんな風になりたい」という不安、期待をもっていました。
当然、進学先を決めるには多くの悩みがあり、苦しんでいました。考えること自体が苦しくなり、学校の見学会に行くのが嫌になる時期もありました。しかし、彼自身に「高校へ進学したい」という意思があった為、なんとか2校まで候補を絞ることが出来ました。
【本人が悩む候補に選んだ学校のポイント】
◆A高校
- 毎日通学することを前提としたカリキュラム。
- 資格試験などが多くあり、卒業の際、就職しやすい。
- 見学の際、生徒たちがやる気に満ちていた(ように見えた)
◆B高校
- 通学と自宅学習を組み合わせたカリキュラム。
- 年間に必要な通学日数は少ない。
- PCや美容など専門分野の授業も幅広く選べる。
親御さんとしては、A高校への進学は難しいのではないか、と考えていたようです。
なぜなら、A君の中学時代の様子を考えると、毎日登校するのはハードルが高いのではないか、と思われたようです。
A君本人は悩んだ末、B高校を選択しました。
通うには本人の意思が一番大切ということで、親御さんもそれに同意しました。
学校選びが終わると、プレッシャーから解放されたのか、A君はとても前向きになりました。プレ登校などにも休まず参加したり、塾で中学の復習をしたり、高校生活に向けて努力していました。
そして高校生活が始まりました。
実際の高校生活はどうだったか
いざ高校生活が始まると、それはA君の期待していたものとは違ったようでした。
A君は中学生の時に出来なかった、学校生活に憧れのような感情があったようです。自分には出来ていない毎日通学している子たちは、みんな充実した生活を送っていると思っていた節がありました。
しかし自分が毎日通学すると、そうではありませんでした。見学会の時に見たキラキラした学生はほんの一部で、楽しい青春などはあまり感じられなかったそうです。
A君自身も中学の経験から人に積極的に関わっていくことを避けていた為、余計に友人なども作れませんでした。
徐々に学校から足が遠のき、欠席するようになってきた時、先生と相談しましたが、それはA君の期待する対応ではありませんでした。
先生のアドバイスは「辛くてもとにかく毎日登校しよう。そうすれば楽になる」という内容でした。
もちろんこれ自体は間違いとも言えません。実際にそうやって毎日登校するのが習慣となり、大丈夫になった生徒もいるでしょう。
しかしA君にはそれが出来ませんでした。
加えて先生から「このままでは進級できなくなる」「とにかく学校に来ないと何も出来ない」と言われてしまいました。
親御さんは先生の対応に疑問を持ったのですが、学校の方針がそうである以上、どうしようもなかったようです。
通学が前提のカリキュラムなので学校に来なければどうしようもない、というのは仕方のないことかもしれません。ただ通学する為の具体的なサポートは特になく「とにかく通学させてください」と言われるだけで苦しまれたようでした。
そして1年目の後半には「この学校には合わない」と見切りをつけ、A君は転学することを決めました。
普通に考えるとネガティブに捉えてしまいそうな状況ですが、本人はそうでもありません。
「チャレンジしてみて合わないということが分かった。だから今度は自分が出来そうなところに行ってみよう」
と前向きに考えられているようです。
方針や支援方法に合う合わないは間違いなく存在する
単純に転学が良い悪いという話ではありません。
考えるべきは、相性というのは間違いなく存在して、それにどう対応していくのかということです。
A君は合わない場所からは離れ、自分の出来ることを探そうという結論でした。合わない場所でなんとかやりくりする方法を模索する子もおりました。他にもとにかく耐えるという選択した子もいます。
大切なのはそれらの選択を本人たちが自分で考えて決めることです。
こういった状況になると投げやりになり「もうどうでもいい」と諦めてしまう子がかなりいます。諦めて思考停止になると次の一歩が踏み出せず、家に閉じこもるような生活を過ごす場合が多いです。もちろんせっかく選んだ学校なので、通い続けてほしいと周囲はもちろん本人も思っているでしょう。しかしそれに捉われてしまうと次に進めなくなっていまいます。
「学校に通えなかったからもうおしまいだ。何もできない」
子どもたちがそんな思考に陥らないように、周囲がサポートしてあげたいですね。どんな風にサポートすれば次に進めやすくなるのか。
気になった方はご相談ください。
それではまた。
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