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正しさを考えるとき、忘れないでいただきたい1つのこととは?

こんにちは。不登校支援センター東京支部の椎名愛理です。

先日の電車内での出来事です。

その日は連休最終日。電車内はキャリーケースを持つ人や、帰省をしたのでしょうか、ベビーカーで赤ちゃんを連れながら、沢山のお土産物を抱えるご家族などで、とても込み合っていました。

そんな中、小学校くらいの女の子が10人ほど、お団子頭にチアリーダーの衣装、大きなリュックにポンポンぶら下げて電車に乗り込んできました。

電車内は元より混雑していたため、乗っている他の乗客は私も始め『これだけの人数が乗るのか・・・荷物も大きいなぁ』と少し疲れた気持ちになっていたと思います。中には、迷惑そうに舌打ちをする方や、眉を顰める方もいました。

そんな周りの人々の様子を見ていた一人の女の子が、残りの9人ほどに対して

「迷惑だから、みんな寄って!荷物は下に置かないで!」

と注意をし始めたのです。

すると、最初はみんな近くに固まり、少しでも周りにスペースができるようにと気を配っていたのですが

徐々に雰囲気が変わってきました・・・。

規範意識からの『正しさ』と、『正しくないこと』への攻撃

最初は『周りに迷惑をかけてはいけない』という『正しさ』を求める規範意識からの注意だった一言ですが、

徐々に『正しさを守れない人への批判、攻撃』に言動が変わっていったのです。

一人、周りの子に比べて小柄な女の子がいました。

他の子は自分で荷物を持てますが、その子は力が足りないのか、荷物を持つことができず足元に置いていたのです。その事について

  • 「○○ちゃん、ちゃんとして」
  • 「ほら、他の人に迷惑だから」
  • 「どうして荷物持てないの?さっき言ったでしょ」

と、最初に注意を促した女の子以外の子どもたちが、声を上げ始めたのです。

その様子は『注意』というよりも『バッシング』に近いものあったように感じました。

指摘された女の子は、しぶしぶ疲れた様子で荷物を持ったため、周りの子どもたちの指摘も止まり、途中の駅で降りて行ったのですが・・・

この様子から、私は学校でのいじめについて考えました。

カウンセリングでは、気が付いたら自分が『いじめ』と呼ばれる言動をとってしまっていた、という子どもとお話しする機会もあります。

その子どもの気持ちに耳を傾けていると、『嫌いだからいじめる』『気に食わないから当たり散らす』というよりも

◆『相手がとっている行動が正しくなく、許せないから』

◆『曲がったことを注意したかった』

という規範意識を強く感じるのです。

  • 「いつも授業中うるさいAくんを注意したら、途中で気持ちが止められなくなって、気づいたら自分が先生に怒られていた」
  • 「Bさんが他の子を注意するのを見て、自分も注意しなければいけないと思って賛同してしまったら、集団いじめの加害者といわれた」

など、『間違ったことは正さないといけない』という規範や、『正しい行動をしている人には賛同しないといけない』という気持ちからの言動であることが少なくありません。

決して『規範意識からの言動であれば許される、問題がない』ということではありません。

いじめられた人には心の傷が残りますし、「正しくないことへの許容量」は、いじめられた人にとって関係がない部分とも言えます。

しかしこの、正しさを求める気持ちが相手を傷つけてしまう可能性があるという視点は、あらゆる場面において念頭に置いておく必要があることかと思います。

正しさを考えるとき、忘れないでいただきたい1つのこと

確かに、先ほどの満員電車の話しですと、込み合った電車内で荷物を下に置き周りの方に迷惑をかけることが望ましいとは言えません。

また、子どもを持つ親御さんの立場では、

  • 「宿題をすることが正しい事、だらだらといつまでも遊んでいるのは間違っていること」
  • 「学校に行くのが正しい事、学校にいかないのは間違っていること」

など、沢山の『正しい/間違い』という二択があるかと思います。

この正しさは、確かに大切なものですが、正しさを伝えることが時に相手を傷つけてしまうことも…。

『勉強しないで遊んでばかりいるのは良くないことだ』と正論を突きつけることは『あなたは間違えたことをしている』と相手を否定してしまうことにもなるのです。

またこのように『自分の中での正しさを人に伝えているとき』は、自分の考え(主観)でいっぱいになり、相手の気持ちを思いやったり、想像したりすることが難しくなるものです。

  • 「そこまで言うつもりはなかったのに」
  • 「そんなつもりで注意したわけではなかったのに」

という気持ちのすれ違いが起きることも沢山考えられます。

そんな時は、『この言葉は、相手にはどのように聴こえるかな?』と想像力を働かせてみてください。

まとめ

自分の主観を通り抜けて、「相手にどのように言葉が伝わるか」を考えることで、すれ違いや、注意が行き過ぎていじめに発展するという可能性も少し軽減できることと思います。

私たちカウンセラーは、お父様お母様の言葉が子どもにどのように伝わるか、一緒に想像しながらお話を聴くパートナーです。

  • 「うちの子にはどのように聴こえるかな」
  • 「うちの子の一言は、他のお友達にどのように受け止められているかな」

など気になることがあれば、いつでもカウンセラーにお声がけくださいね。

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