お悩み解決「一問一答」不登校解決現場レポート子供の心理学

『社会回避傾向状態』にある不登校の対応方法とは?

皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。

今回は、状態別の不登校対応方法、『社会回避傾向状態』について取り上げたいと思います。

社会回避傾向とは?

家では普通に過ごせているが、外に出ることを避けている状態のことを指します。

  • 外出ができない
  • 家族とコミュニケーションなどの関わりは普通
  • 学校の話題、勉強の話題は避けたがる
  • 学校の先生の訪問などを拒絶する
  • 友だちからの連絡にも応じない
  • オンラインでの人付き合いは可能

社会回避傾向状態は、「社会を拒絶したい」という目的のために社会(外の世界)を避けている状態です。

社会(学校など)に対して否定的な言葉が多いということもあります。(学校・勉強なんて意味がないなどと発言するなど)

社会回避傾向状態の対応方針とは?

社会回避傾向状態にある子どもは、社会(家の外の世界)に対して拒絶の意思を持っているので、無理にそこに関わらせようとする接し方は避けた方が良いかもしれません。

勉強させる、ということも『勉強=学校ですること』という認識がある子どもの場合は、頑なに拒絶するでしょう。

そのため接し方の方針としては、「本人と外の世界をつなぐものを見つける、あるいは大事にする」ということになっていきます。

ちょっとこのままでは具体的な行動に落とし込むのが難しいので、もう少し詳しく解説します。

まず考えてもらいたいのが、子どもは「なぜ、社会を拒絶したいと感じるようになったのか」ということの背景です。

最初から社会を拒絶したいと思っている子はあんまりいないと思います。

  • 学校生活がうまくいかなかった
  • 馬鹿にされることが多かった
  • 先生に注意されること、怒られることが多かった
  • 自分ができないことによって、周りからの否定の評価が多かった
  • 自分と趣味が会う人が周りにいなかった

など、社会において疎外感を感じる出来事を多く経験してしまっていることがあります。

そうなると、自分の存在に自信が持てなくなってしまい、社会に対して心を閉ざそうとします。

しかし、そのままだと自分の心が疲れてしまうので、「社会の方が間違っている」と思うようになっていくこともあります。その結果、社会を否定し、回避する状態になり、『学校に行かないことを正当化する』という行動になったりします。(全部のケースに当てはまるわけではありません。)

そんな背景があると考えると、単純に「学校に行かせよう」としても、拒絶されるだけになってしまいます。

そこでどんな対応が必要かというと、子どもと学校の間に渡し船を作ることが必要になります。

ワンクッション置くような感覚でしょうか。

具体的な対応例について

具体的にどんなことをしていくかというと・・・

  1. 家でできることを増やしていく
  2. 親(家族)の話を聴ける状態を作る
  3. 親(家族)、学校以外の第三者と接する機会を作る
  4. インターネット(オンラインゲーム、SNSなど)を制限しない

ということがあります。

それぞれについて、ちょっと解説をいれていきます。

1.「家でできることを増やしていく」

ストレートに言うと能力開発です。語学でも良いですし、絵やイラスト、工作、料理、ゲームなどなんでも良いです。本人が好きで続けられることだとやりやすいでしょう。

自分が自信を持てるものを持つことによって、同じ価値を持っている第三者と接することに抵抗がなくなります。

よく、「初対面の人が苦手」「クラスメイトとどう接すれば良いかわからない」と言っている子が、オンラインのゲームでは積極的に知らない人と話すことができているということがあります。

もちろん、顔の見えない相手だから、ということもありますが、自分が自信を持てるゲームの世界であれば、物怖じすることなく第三者と接することができるようになります。(他にも理由はありますが、長くなりますので、割愛させていただきます。)

2.「親(家族)の話を聴ける状態を作る」

親が「〇〇してみない?」と提案したときに、それを受け入れることができる状態を作る、ということです。

つまり、信頼できる親が子どもと社会の間のクッションの役割になるということです。

3.「親(家族)、学校以外の第三者と接する機会を作る」

上記の親が担っている「子どもと社会の間のクッションの役割」をもう少し社会に寄せることになります。

範囲が広がりますが、私たちカウンセラーもそうですし、もう少し学校に寄せたときに適応指導教室やフリースクールもその位置づけになると思います。

4.「インターネット(オンラインゲーム、SNSなど)を制限しない」

これはとても難しい問題になりますので、この記事の中では詳細は割愛させていただきます。(割愛が多くてすみません・・・)

ただ、目的としては上述の「親(家族)、学校以外の第三者と接する機会を作る」と同じではあります。

下記のブログ記事なども参考にしてもらえたらと思います。

現実世界で友達がいないけど、ネット上には友達がいる不登校の子どもとは?

最後に…

社会回避傾向状態の対応は、カウンセラーの関りがとても効果があると考えています。

その他のケースは親御様の関わりが一番重要な要素だと思いますが、このケースに関しては親御様の関りと同じくらい第三者の関りが必要なケースが多くみられます。

不登校支援センターのカウンセリングでは、このような状態の場合『訪問カウンセリング』を実施するケースも少なくありません。

まずは子ども側にカウンセラーが入っていって、信頼関係を構築し、少しずつカウンセラーを通して社会に近づいていくようになります。

参考事例としては下記の記事、

【中学生Aさんの事例】引きこもりの子どもが学校に登校するための3つの方法とは?

がありますので、よかったらご覧ください。

不登校問題の解決については、本当にご家庭、子どもの性質、周りの環境、それまでの経緯で様々です。

これ!と言ったたった一つの解決方法があるわけではありません。

この状態の対応については特に複雑さがあり、不安定さもあるので慎重に対応する必要があります。そのためブログでは、どうしても抽象的でわかりにくい(想像しにくい)文章もあったり、説明の割愛も多くなってしまいました。

子どもへの対応方法について気になる方、詳しく知りたい方は是非不登校支援センターに相談に来ていただけたらと思います。

無料面談について詳しくはクリック

 

関連ワード: , , , , , , , , ,