家庭内回避傾向について~状況から考える子どもへの対応方法~
皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。
これから何回かに分けて『状況別の対応方法』について、お話ししていきたいと思っております。
今回は、子どもが『家庭内回避傾向』状態にあるときの対処方法についてお話ししたいと思います。
家庭内回避傾向とは?
引きこもり、閉じこもりと言う言葉がありますが、イメージとしてはそれが近いと思います。
- 必要最低限でしか部屋から出てこない
- お風呂にも入らない
- 髪を伸ばしっぱなし
- 親(家族)との会話、接触を積極的に避ける
- 親(家族)に対する暴力、暴言などがある
- 親(家族)が作った食事を拒絶する
などなど、上記のいずれか、もしくは複数当てはまるような状態が、家庭内回避傾向状態の可能性があると考えられます。
『引きこもり』については、以下の記事も参照してみてください。
”引きこもり”とは、何かのストレスへの対処行動。”引きこもり”の意味とは?
家庭内回避傾向状態にある子どもの心理状態とは?
家庭内回避傾向状態にある子どもの心理状態として、
「自分は家族に信頼されていない、必要とされていない人間である」
という考えを持ってしまっていることがあります。
家族からやっかいものと思われているのではないか?と不安になるので、
- 家族からの敵意を向けられるのでは?という不安
- 見捨てられてしまうのではないか?という不安
などを感じてしまいます。
兄弟が居る場合は、年下の兄弟に対して、当たりが強くなり、自分の存在より下にみようとすることもあります。
年上の兄弟が、必要以上に年下の兄弟を責めている様子があったら、もしかしたらこの状態にあるかもしれません。
家庭内回避傾向の対処方法とは?
上記のような行動と、心理状態であることが予想されるときは、以下のような方針を持ってみてください。
『子どもが安らげる空間作りをサポートする』
心理状態で説明しました
- 家族からの敵意を向けられるのでは?という不安
- 見捨てられてしまうのではないか?という不安
と言う不安を無くしていくことを心がけていきます。
ここで、ある小学校6年生の男の子A君の事例を紹介したいと思います。
A君はお母さんに対してとても暴力暴言が目立ち、妹への嫌がらせも日々続いていました。それに対してお母さんもできるだけ受容しようとしているのですが、あまりにも酷いときは注意したり、わがままが過ぎるときは「それはできない」と伝えたりしました。
そのように、A君にとって望まない反応(自分に対する拒絶の反応)が返ってくると、
- 「どうせ自分なんて」
- 「もう死んでやる」
- 「いつも僕ばっかり嫌な目にあう」
と、A君は瞬時に被害者に切り替わっていました。
そんな状態のときに、お母さんが不登校支援センターへご相談にお見えになりました。
上記で説明した心理状態からA君は、
◆自分は愛されていない
◆妹は許されることでも、自分は許されない
◆妹は愛されている→妬ましい→憂さ晴らししたい
などという思考になっており、妹に意地悪したり、お母さんにわがままを言っているときですら「被害者」という立場で行動していた可能性がありました。
そんなとき、そのお母さんが意識した行動とは?
- 買い物に行ったときなど、A君の好きなものを買っておく
- 対応可能な要求はできるだけ受容する
- 妹への嫌がらせについては注意をしない
ということでした。
カウンセリングをしていく中で、このご家庭では、上記の行動はA君に対して非常に効果があると思えました。(決してどのご家庭にも当てはまるということではありません。)そのためお母さんもこの意識での行動を続けていました。なぜ、効果があると考えられたのかは、ここでの解説は割愛させていただきますね。
すると1ヶ月後には
- 妹への嫌がらせがほとんど無くなった
- A君の要求を断ってもA君が怒る回数が減った
という状態になりました。
そして半年後には、
- 妹に気を使うようになった(優しくなった)
- お母さんのお手伝いをしてくれるようになった
- お母さんへの要求(わがまま)が減った
- お母さんとの雑談が増えた
さらにもっと時間が経過すると、A君は勉強するようにもなってきました。
ちなみに、A君はもともとは周りに気を使える優しい子だったので、優しくなった、というよりも、元の状態に戻ってきた、という感覚の方が近いかもしれません。
最後に…
家庭内回避傾向にある子どもに対しては、
自分はこの家に居ても良い人間だ
自分は家族の一員として必要とされている人間だ
と本人が心から思えるようになることが重要です。
そして、家族に必要とされる自信を持てない子どもは、外の社会で他人に必要とされる自信を持つことができない可能性が非常に高いです。ご家族としては、そんなつもりが無くても、子ども自身がそう感じてしまっていることも非常に多いです。
不登校改善については、「学校を休むことで、心理的にしっかり休むことができている」ということが必須になります。
まずは、子どもにとって家・家庭が安らげる場所になることが最優先ですので、気になる方は是非考えてみてください。
詳しい説明や、「自分の家だったらどういう行動が良い効果が得られるのか?」などを知りたい、聞きたいという方は、是非不登校支援センターにお越しください。
また、下記の記事も参考になると思いますので、お時間がある方は見ていただけたらと思います。
【逆効果に要注意】閉じこもり・引きこもりの子どもへの対応方法
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