不登校である我が子が、周りに迷惑をかけていないか心配ではありませんか?
こんにちは。不登校支援センター大阪支部の佐久真です。
今日は、日本人の感覚としては非常に根深い「うちの子、周りに迷惑かけてないかしら?」という意識について書いていきたいと思います。
「不登校であることで、周りに迷惑をかけていないか心配になるんです・・・」
ご相談にいらしたとある親御さんが、まず最初に口にされた言葉です。
その方が、どのような意識でいるのか細かくお聴きしていくと・・・
- 学校(学校の先生)に迷惑をかけている
- 一緒に登校していたお友達やそのお友達の親御さん(ママ友さん等)に迷惑をかけている
- 家族に迷惑をかけている
- 子ども一人で家にいさせることができない為、面倒を見てくれる祖父母に迷惑をかけている
そのお母さんは、子どもが不登校であることで、多方面に迷惑をかけている為、非常に困っているというご相談でした。
正直、このようなお気持ちを抱えてご相談に来られるかたは少なくありません。
ですので私もその方のお気持ちに耳を傾けながら、同じようなことで悩んでいる方は多いことをお母さんにお伝えし、さらに深くお気持ちをお聴きしました。
しかし、「不登校であることで迷惑をかけている」という言葉の表現に、やはり不登校支援カウンセラーとして疑問は感じています。
不登校という行動は「迷惑」なことなのだろうか
当然、カウンセラーは親御さんが主観で感じられていることをそのまま受容することに努めます。
「いや、お母さん。不登校は迷惑をかけているのではありませんよ」
などと、言葉を額面どおりに切り取って意見するようなことはもちろんありません。
しかし、
- 何故そのお母さんが「不登校の子どもが迷惑をかけている」と感じておられるのか
- お母さんご自身が感じているストレス
- お母さんご自身の自我(性格や受け取り方)
これらについて、深くお聴きしていく必要があるため、カウンセリングの中で触れていきます。
他人に迷惑をかけてはいけないという日本人の価値観
先日、私が電車に乗っていたときのことです。
ベビーカーを押した親御さんが、赤ちゃんと3才ぐらいのお兄ちゃんと一緒に電車に乗ってきました。
3才のお兄ちゃんは、おそらく電車好きなのでしょう。目を輝かせ、あちこちキョロキョロして、路線図を見に行ったり、ドアが開くたびに席を立って見に行ったり、靴を脱いで外を見ていたり非常に楽しそうでした。
しかし、そのお母さんはかなり険しい顔をして、その子どもの行動すべてを抑制し、そしてしきりに周囲に「すいません・・・すいません・・・」と謝っておられるのです。そして、その3才のお兄ちゃんが、横に座っていた方によろめいてもたれかかった場面でも、お母さんは横に座っていた方にしきりに謝っておられました。
と、ここまでをお読みになれば「それは親として当然」と思われる方も、「大変だな~」と思われる方も、意見はそれぞれだと思います。
しかし、お母さんがベビーカーを押して電車を降りようとした時、一瞬視界から外れたのでしょう、3才のお兄ちゃんを見失ってしまわれたのです。
お母さんはすでにホームに降りておられましたから、慌ててキョロキョロ周囲を探して名前を呼んでも、近くに3才のお兄ちゃんはいません。(私もどこに行ったのかと、キョロキョロ探しましたが、すぐに見つけられませんでした)
近くにいた駅員さんに、そのお母さんが「子どもがいなくなった」と伝えると、
- まだ車内にいるかもしれない
- 何らかの事故になってはいけない
ということで、安全が確認が取れるまで電車は一旦ストップすることになりました。
幸い、3才のお兄ちゃんはすぐに見つかったようなので私も一安心でした。
その様子を周囲で見ていた方々は、それぞれ色々お感じになられたかと思います。
子どもが見つかるまで、電車ストップはやむなしと思われる方もいれば、お急ぎの方などはちょっと勘弁してくれよ・・・と思われる方もいたかもしれません。
人それぞれその時の状況によって心理が変わるのは当然のことです。
しかし、その後お母さんは周囲の方に何度も何度も頭を下げて謝っておられました。
「すいませんご迷惑をおかけしました・・・」と何度も何度も、駅員さんや周囲の人に謝っておられました。
謝ることがおかしいと言いたいわけではありません。
ただ、この光景を見ていた私は、「日本人は人に迷惑をかけてはいけないという価値観が強すぎるのではないか」と感じました。
その時の事を思い出しながら、前述のカウンセリングに来られたお母さんからお話を伺いました。
そしてカウンセリングが終わり、帰り際にお母さんが私にむけて仰った言葉が・・・
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません・・・」
でした。
私は不登校支援のカウンセリングの中で、不登校は人に迷惑をかけているという認識の方と幾度となくお話をしてきました。そこで感じることは、不登校という行動だけが、人に迷惑をかけていると認識されているのではないということです。
個人個人差はあれど、「人に迷惑をかけてはいけない」と普段から強く感じている方々は、
- 子どもの不登校という行動にのみ着目してしまう。
- 周囲に迷惑をかけていると、他人への影響ばかり気にしてしまう。
その結果本当に大切な、
子どもが「不登校」という行動を取る”目的”
に目を向けることが出来なくなってしまう恐れもあると感じています。
最後に
この記事をお読みいただきくことで、普段不登校という行動を取っている子どもを、親御さん自身がどのように捉えているのかについて、再度振り返るきっかけになればと思います。
「人に人に迷惑をかけて育っていく」とも思っていますが、時と場合により難しいこともあるかと思います。
色々な視点で不登校を考え、向き合っていければと思います。
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