どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~➃
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
前回のブログでは「他者信頼」について書かせて頂きました。
(前回ブログ:どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~③)
今回は、「貢献感」について書きたいと思います。
「他者への貢献感がある時に自分に価値があると思える」
心理学者のアドラーは、この様に言っており、自己肯定感を高め幸せに過ごす為に、欠かせない要素と言われております。
「貢献」というと、どんな事を想像されますか?
- 誰か(何か)の役に立つ
- 誰かから喜ばれる
などが想像されるでしょうか。
確かに、人の役に立てて喜んでもらえたら、こちらまで嬉しくなりますよね。
でも、せっかく人の役に立てて喜んでもらおうと思っているのに、自己肯定感が高まらない事もあるのです。
もう少し詳しくお伝えしましょう。
誰かに貢献しようとする時、
1.自己犠牲にならないこと
2.承認欲求を満たそうとしないこと
この2つの事がとても大切なのです。
何のために貢献するのか?
以前、自分軸と他人軸をテーマにしたブログでもお伝えしましたが、
他人軸で行動するのは、他者に自分の行動を「正しいよ」と認めてもらいたいが為に行動します。
それは、自分で自分に「OK」を出せないので、他者に委ねる事になるのですが、自分を肯定する事にはならないので、自己肯定感は高まりません。
むしろ、もっと他者に認められたい、今よりも自分の評価を下げたくない、という言動や行動になります。
例えば・・・
・他者と比較して自分が優れていることをアピールする
例:「自分は、だれだれよりも運動ができる」「クラスで成績は上位」等
・結果に固執した捉え方 (○○が出来なければ意味が無いからやらない。)
例:宿題が全部終わってないから提出しない、登校しない。遅刻で行くくらいなら行かない。等
・結果が出せない事に対して回避する行動
例:定期試験で、好きな科目は受けるが、苦手な科目は受けない。等
・行動が伴わない発言をする
例:「有名大学、有名高校など知名度のある学校に行きたい!」と口では言いつつ行動しない。等
などなど、面談の中でも様々な話を聞きます。
元々は、他者から承認されたかったのに、上手くいかない時や思う様に結果を出せていない時、挫折感を味わっている時に直面すると、他者からはもちろん承認されにくいですし、自分でも自分自身にOKを出せなくなってしまいます。
そうなってくると、貢献感はますます感じられないという、スパイラルに陥ってしまいます。
自分で自分を認めてあげる
他者からの承認を目的とするのではなく、自分が満足する為に、自分のできる範囲の中から、自分で選択・決断する事で、今の自分を自分で認めてあげるようになる事が大切です。
ただし、注意が1点必要なんです。これを他者信頼がない状態でやると・・・
それは、相手を自分の思い通りにコントロールしようとする、単なるワガママになってしまいます。
前回のブログで、「他者信頼とは相手を無条件に受け入れること」であるとお伝えしました。
それは、
「自分は完璧な人間ではなく至らない点もあるし、相手も同様に完璧ではなく至らない点がある」
という事を受け入れるということです。
そして、「完璧ではない自分も他者から受け入れられる」という事を、身をもって体感する事で、「完璧ではない他者」を許容できる様になるのです。
そうなると、今まで貝の様に固く閉じていたものが少しずつ開いて、自発的な行動が見られる様になってきます。
その自発的な行動は、決して親御さんや周りの大人が期待している事ではないかも知れませんが、ぜひ「ありがとう」と感謝を伝えてあげてください。
そこで、子どもは貢献感を感じられるはずです。
「本当はもうちょっとこうして欲しい・・・」は、もう少し後にしましょうね(笑)
最後に…
親御さんが色々と試行錯誤されても、子どもが不登校状態にあると、親御さん自身が他者を信頼できなくなっていたり、貢献感を感じられない状態に陥っているかも知れません。
そうなると、子どもに対してポジティブなフィードバックをするのは、とても難しいかと思います。
一度、お気持ちを整理して、出来ている所を確認するといった目的にカウンセリングを利用されるのがよろしいかも知れません。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~①
どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~②
どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~③
どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~⑤
どうして大型連休明けは、学校を休みがち? ~認知論から対応を考える~⑥
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