子どもが不登校で“もう何をしたらいいのかわからない”そんな時の対処法とは?
皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。
不登校の相談として、「何をしたら良いのかわからない・・・」ということはよくあります。
- 「学校に行きたくないと言っているのに対して、無理矢理でも行かせて良いのだろうか?」
- 「学校に行きたくないと言っているのに対して、休ませてあげることが良いことなのだろうか?」
- 「子どものわがままに対して、応えてあげる方が良いのだろうか?」
- 「不登校になったときでも、駄目なものは駄目だと躾る必要があるのだろうか?」
などなど、今の子どもの状態、言動に対して、自分が考えている対応が果たして正解なのだろうか?と悩まれることは多くあると思います。
今回は、これとは別に
「心理状態としては落ちついて見えるが、本人は学校に行くことを諦めてしまっているように感じる」
という状態についてお話ししていきたいと思います。
学校に行かない生活で『安定』してしまっている状態とは?
心理状態としては穏やかに見える・・・。親御様としても荒れたり、自傷行為をしたり、学校に行きたくなくて苦しんでいるわが子を見るよりはマシな状態かもしれないと思われるかもしれません。
しかし、
- このまま学校に行かない生活を続けていることで、子どもが今後どのように生きていくことになるのか、不安を感じてしまう・・・。
- 少しでも何か成長につながるようなことをしてもらえたらと思い、いろいろなことを提案するも全てを却下され、のらりくらりと避けられてしまう・・・。
- かと言って、厳しく言ってしまうことは、子どもの関係性を悪化させることにしかならないような気がして、それもできない・・・。等
何をどうしたら良いのかわからない・・・・。
そんな状態に陥ってしまっているご家庭もあります。
これが所謂、学校に行かない生活に落ち着いてしまっている、安定期の状態です。
安定期の子どもの心理とは?
学校に行かない生活で落ち着いてしまっている安定期の心理状態とは、
『学校に行かないこと』『学校を休むこと』『学校を休んでいること』に対するストレスが小さくなっている状態です。
しかし、この状態の子どもの心理としては、
- 将来に対する不安
- 自分に対する自信の無さ
が、かなり大きなものになっています。
この状態のまま、長い時間を過ごしてしまうと、不安と自信の無さが大きくなるばかりでなく、「長い間何もやっていないことに対する後悔」が、大きくなっていきます。
この状態の子どもが、環境の大きな変化をきっかけに頑張ろうとしても上手くいかないケースがほとんどです。
実際に中学校で学校に行けなかった子どもが、週1回の高校への登校もできなかったために相談にいらっしゃったというケースもよくありますし、小学校から中学校へ上がったときにも同じことが起こり得ています。
これが、見守っているだけでは解決できないという典型的な状態です。
安定期の子どもの対応方法とは?
安定期にいる子どもは、周りからすると落ち着いているように見えるものの、
- 将来に対する不安
- 自分に対する自信の無さ
- 無駄な時間を過ごしていることに対する罪悪感
これらを抱えているため、外からの刺激を受け入れることができるかと言えば、そうでないことがあります。
しかし、外からの刺激無くして改善に向けて動けるようになる子どもは稀ですし、動いたとしても、それが継続できる子どもはもっと少ないと思われます。
そこには、必ず親御様を初めとする、周りのサポートが必要不可欠です。
このような状態での対応方法とは、まずは子ども本人の不安を大きくしないようにすることです。
つまり、
- 将来に対する不安を減らす
- 自分に対する自信を持てるようにする
- 自分にとって今の時間が必要な時間だったと思えるようにする
ということが必要になります。
安定期から脱却した成功事例
改善が上手くいっているケースでは、不登校支援センターで意識していることとして以下の共通点があります。
1.「家庭」「学校」以外の居場所を確保すること
2.毎日、自分のためになると思える「何か」をすること
3.本人が自分で自分を誉められるようになること
それぞれについて簡単にですが、解説していきたいと思います。
1.「家庭」「学校」以外の居場所を確保すること
これは、「外の社会(子どもが生活する家庭の外の空間)」への不安を減らすために必要です。
安定期の子どもとは、家での生活には問題を感じませんが、外での生活に強い不安を感じます。この不安感を、「めんどくさい」という表現を使う子どももおり、外に出ることができない状態です。この状態のままでは、「自分は社会に受け入れてもらえない存在だ」という潜在意識が働いてしまいます。
しかし、適応指導教室でも、フリースクールでもどこでも良いので、家庭以外の場所に自分の居場所を見つけることができれば、「外の社会(子どもが生活する家庭の外の空間)にも自分の居場所がある」という認識ができるようになります。
不登校支援センターは、子どもたちにとってもその場所にもなっています。(もちろんカウンセラーが子ども自身がそう思えるように働きかけをしています。)
2.毎日、自分のためになると思える「何か」をすること
これは様々な子どもがいました。
- 学校の勉強
- 自分が興味あることの勉強
- 読書
- 運動
- ストレッチ
- 絵を描くこと
- ゲーム
- ダイエット
- 習い事
- 楽器
- 心理学の勉強
- 幅広い知識の習得
- アニメ作成
- 動画編集
などなど、何を自分のためになると思えるかは、に子どもによって異なります。
中には、「そんなのただ子どもが好きでやっていることでしょ?」と思われるかもしれませんが、本人が「未来の自分のためになる」と思ってやっているかどうかで、将来の状態が大きく異なります。
不登校支援センターのカウンセリングでは、「未来の自分のためになっている」と思えるような関わり方をしています。
3.本人が自分で自分を誉められるようになること
自分で自分を褒める、受けいれることができるということが、自信を持つことにつながります。
しかし、学校に行かない状態の子どもは、内心では「自分は駄目な人間だ」と思っていることがほとんどです。
まずは、周りの人たちがその子どもを無条件に認めることです。そして、子ども自身が自分でも認められるように、周りの人たちが関わっていくことが大事ですし、本人もそれを求めています。
よくインターネットでの付き合いにハマってしまう子どもがいますが、これは「インターネットで知り合った人は、学校に行っていない自分でも認めてくれる」という嬉しさがあるということも大きな要因です。
そして、これについても不登校支援センターのカウンセラーは、子どもが自分の良いところに気づいたり、認めたり、悪いところを受け入れることができるようになったりと、子どもが自分自身を誉めることができるようになれる関わり方をしています。
もちろん、これら1~3の対応は短期間で行えるものではありません。
成功事例についても長い期間をかけて行っているケースがほとんどです。
最後に…
長い期間をかけることは不安や辛さもあると思います。しかし、もっと長い子どもの人生を考えたとき、今どう過ごさせていくことが子どものためになるのか、と考えられたらと思っております。
そして、長い時間をかけることの不安や辛さを乗り越えられるように、親御様に寄り添っていくのもカウンセラーの役目だと考えています。
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