発達障害支援から見る不登校支援とその関係とは?(前編)
こんにちは。不登校支援センターの横浜支部の庄子大貴です。
いよいよ、新時代「令和」の到来が訪れようとしていますね。大型連休もはじまりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか?
この大型連休明けは、会社や学校に行きたくないと思ってしまいやすい時期ですね。五月病にもなりやすく、「心が前に向かないな・・・」と思ったときにカウンセリングはとても有効ですので、是非試してみて下さいね。
さて、今回のブログでは・・・
最近、「発達障害」はわりと身近になっているのでは無いでしょうか?
私も教育現場に居た際に、発達障害のグレーゾーンの子や、診断がある子と身近に接し関わることがありました。そして、不登校支援センターに来られる子どもにも発達障害の診断を受けている方はいらっしゃいます。
また、芸能界の中でも栗原類さんや小島慶子さんなどがご自身の傾向をカミングアウトをする中で、世間に対して“発達障害の在り方”を考えてもらおうと啓発する動きがみられますよね。実際に最近のニュース番組の特集で「発達障害について考える」企画があり、私も拝見いたしました。
その中で紹介されていたとある会社では、発達障害の方々を積極的に受け入れていました。社員全体の7割が発達障害を持っており、それぞれの傾向を「個性」として捉えていました。
その会社が行う支援の在り方は、不登校支援に通じるものがあると感じました。
そこで、今回は「発達障害支援から見る不登校支援とその関係とは?」を全2回に渡りお伝え出来ればと思います。
発達障害と不登校の関係性はあるの?
不登校支援センターへ「私の子は発達障害かもしれません・・・」と相談に来られる方は少なくありません。
実際に医療機関へ診断を受けに行きたいが、子どもが病院を嫌がることから行くことが出来ず、困り果ててしまう中で、「まずは不登校という現状をどうにかしたい!」という想いで当センターへ相談に来られる方が多くいらっしゃいます。
そして「発達障害が、不登校になる原因なのか?」と聞かれれば、発達障害は子どもが学校へ行けなくなった“根本原因”では無いと私はお伝えしています。
発達障害の方々を受け入れている会社や学校などは多くありますが、不登校になったり会社に行けなくなったりすることが全員に当てはまるわけではありません。むしろ、私が大切だと思うことは
- 周りの支援の在り方
- 個性の活かし方
だと考えております。
「発達障害」という言葉のイメージを、マイナスに感じられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし最近ではそのイメージとは逆に捉えた言い方で「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」と言われることが増えて来ています。
ニューロダイバーシティとは、周りの人よりも感覚が鋭くなったり、過敏になったりすることが当たり前であり、それが「大切な個性の一部」と捉えるということですね。直すことよりもプラスとして活かすことで、社会に貢献出来ると考えることが世の中の動きになり始めているのです。
不登校支援においても、マイナスのイメージをプラスにどう変えられるかが子どもを支援する上で大切となります。
ここからは、ある企業が取り入れている
ニューロダイバーシティの方々への5つの支援の在り方
についてお伝えしたいと思います。
①細かいスケジュール管理
1つ目は「細かいスケジュール管理」です。
脳の多様性を発揮する方は、どうしても次に何を・どの様にするのか分からなくなってしまいます。そのため支援する側はしっかりと分刻みで細かいスケジュールを伝えることで、道筋を立てて上げる事が大切になります。
“言葉で伝える”はその言葉を意識してしまうので、出来れば一か所にまとめ、皆が共有出来る場所に書いて置くことが大切になります。
仕事に集中することが目的の為、支援することで覚えることをすっきりさせて上げましょう。
②電話を置かない
2つ目は「電話を置かない」ことです。
脳の多様性を発揮する方は、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の5感が過敏に反応しやすい感覚過敏であることが多いです。なので、急に鳴るものや、意識してしまうものは周りに置かないことが大事です。
特に電話は
- いつ鳴るのだろう?
- 電話に出たらこれとこれを話さないといけない。等
電話に出ることが目的となってしまう為、仕事に集中出来なくなってしまいます。
また、仕事の途中で電話に出てしまうと
- 自分がどこまで仕事をやっていたのか分からない
- 次に何をすれば良いのか分からない 等
次の行動に焦りを感じさせてしまい、仕事が思うように行かなくなってしまいます。
結果的に「自分は仕事が出来ない人」と思ったり、周りに言われたりしてしまう状況を作ってしまいます。
③いつでも休める仮眠室
3番目は「いつでも休める仮眠室」を設置することです。
仕事をしていると考えを一度リセットしたいときや1人になりたいときが皆さんにもあるのではないでしょうか?
感覚過敏の人は、常に人の中に居ると気にならないことが気になってしまうため、疲れやすいそうです。一度気にしてしまうと何も手に着かなくなり、本来の仕事の効率が落ちてしまいます。また、特性を活かし過ぎてしまい「過集中」になりやすいそうです。
これらの理由から、気分転換するためにも休める場所、すなわち安心出来る場所を作ることが大切になります。
この会社が取り入れている「いつでも休める仮眠室」はその名の通りいつでも使えます。
しかし、「“いつまでも”使える」は良くありません。
ルールとして、仮眠室の利用は30分をこの会社では位置づけているそうです。
無理が無い程度に、時間の管理を身に付けることも大切になります。
④デスクを囲うパーテーション作り
4番目は「デスクを囲うパーテーション作り」です。
ここまででも述べましたが、感覚過敏になるということは注意力が散漫になりやすいということです。その人たちの特性を活かす為には、注意力が散漫にならないことが非常に大事になります。
また、人それぞれ特性が違うため、その人に合った取り巻く環境を相談の上で一緒に考え、作り上げていく必要があります。「このタイプはこうだろう」と決め付けてしまい、支援する側が一方的に環境を作り上げてしまうと、支援された側は言いたいことも中々表現できません。
- 不満をぶつけるだけになる。(暴言、暴力も含む)
- 環境を整備してもらったのに仕事が出来ない自分を責める 等
人間関係のトラブルの一種として片付けられてしまう傾向にあります。
つまり、支援する側だけの判断だけではなく、支援される側のニーズに合わせる中で
“どんな環境なら自分の特性を活かせるのか?”
を一緒に考えることが大切です。
この会社としても、代表自ら社員に対してカウンセリングを細かく実施し、
- 今の環境が合ってるか?
- 他に必要なことは無いか?
- 何か困ってることは無いか?等
話をしっかりと聴く中で、その人に合ったコンサルティングを行い、仕事への効率向上を図っています。
⑤障害を仕事に活かす
最後5つ目は「障害を仕事に活かす」ことです。
発達障害は“脳の多様性”という言い方が出来ます。そこに良いイメージを持てないと、前向きな考え方は出来ないと思いますし、欠点なのでは・・・とさえ思ってしまうかもしれません。
しかし、支援する側がマイナスをプラスに見ることが出来るなら、その人にしか出来ない仕事を一緒に見付け出せるのでは無いでしょうか?
カウンセリングはその人の個性を活かす為に必要なことです。
今回このブログに取り上げた会社で働く人も、最初は障害と診断されたことで、明るい未来を描くことや自身の可能性を感じられなくなったそうです。
その為、障害は自分自身にとって「邪魔な存在」として扱って来ました。
しかし、取り巻く環境が整備されることにより、障害が個性になり、自分の仕事を活かすものへと変化したのです。それが自信になり、仕事が楽しく出来る自分に変えることが出来たそうです。
カウンセリングはその人自身の環境を整備したり良い所に気付いたりする為に必要なことです。
今回は発達障害の方々の目線でお伝えしましたが、不登校や引きこもりの方々にも同じことが言えます。次回は、今回の話と照らし合わせながら不登校の支援についてお話したいと思います。
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