不登校解決現場レポート

性格は変えるモノ?活かすモノ?~子どもが前に進むために大切にしたい考え方とは?~

こんにちは。不登校支援センター大阪支部の桒原航大(くわばらこうだい)です。

本日は面談でもたびたびご相談いただく内容について取り上げたいと思います。

学校に行くためには、○○な性格を変える必要があるのですか?

「学校に行くためには、ウチの子の○○な性格をなんとかしないと(変えないと)いけないと思うんです。」

多くの親御さんからお話をお伺いする中で、このようなご相談をいただくことがあります。

親御さんとしても、子どもが不登校の状態に苦しんでいる状況がわかるので、何とかしてあげたい、そんな思いが伝わってきます。

しかし、

「学校に行くためには、○○な性格を変える必要がある」

これは本当なのでしょうか?

そもそも、良い性格、悪い性格とは?

以前、当センターに来ていた中学生の子どもとこんなやり取りがありました。

その子は面談開始当初、学校の友人関係でのトラブルから、

  • 「自分は周りから嫌われているのではないか。」
  • 「こんなことを言ったら周りにどう思われるだろうか。」

と常に周りを気にしてしまい、次第に外に出ることにも不安を強く感じるようになり、学校を休むようになったという経緯がありました。

その後、当センターに通う中で少しずつ様々なチャレンジをしていき、再び登校することができるようになりました。

新たな友達もでき、さらにおしゃれにも目覚め、楽しく学校生活を送って数ヶ月が過ぎようとしたときのことです。

いつものように面談に来ていたその子から

「もう一回、心理テストを受けてみたい。」

といった申し出がありました。

きっとその子の心の中では、以前の自分に自信がなかなか持てていなかったのかもしれません。

しかし、再び登校することができるようになった今は、以前の自分とは違う、成長した、強くなった自分を感じていたのかもしれません。

その変化を心理検査を使い、自分の目で確かめたかったのだと思います。

そして、実際に心理テストを再度行ってみました。

そのテストは、自分はどんな性格なのかを知り、その理解を深めるものなのですが、

その子の結果は、なんと以前心理テストを行った時とほぼほぼ同じでした。

子どもは自分自身で、自分が変わっている(成長している!)ことを実感していたため、心理テストにもその変化を期待していただけに、微妙な表情を浮かべていました。

さて、この結果はどう捉えたらいいのでしょうか…

世の中には、どんな性格があるか?と思い浮かべてみた時に、1つの性格をとってみても、長所と短所、それぞれの面があると考えています。

  • 責任感の高さは、ある時には頑固さでもあり
  • 親切であることは、ある時にはおせっかいにもなり
  • 好奇心旺盛というのは、ある時には我慢ができなかったり・・・

と見方や発揮のされ方によって、常に異なる面があるように感じています。

ですので、今回のように、その子自身は成長しているという変化の実感があるにもかかわらず、心理テストの結果はあまり変わらないということについては、

その子の性格は変わってはおらず、ただその子の持っている性格が長所として、その子らしさとして、前向きに発揮されていることを意味しています。

元々、「周りの人や出来事について気にすることができる力」を持っていて、

それがしんどいほうに発揮されると、「自分は嫌われているのではないか」と過度に自分を責めてしまっていました。

しかし、自信を取り戻してきたり、気持ちに余裕が出てくると・・・

「友達に気遣いができる」「周りから良く見られたい、オシャレしたい」という力として現れていたのだと思います。

心理テストの結果を通して、そのことが分かると、その子もより自信を深めた、充実した表情を見せていました。

良い性格、悪い性格、というのは存在しない

性格には良くないものがあって、それを変えないと前には進めないということではありません。

今、子どもは自分自身の性格で苦労しているところもあるかもしれませんが、裏を返すとその性格は自分を支えてくれる大きな武器にもなるかもしれません。

「変える」ということではなく「活かす」という視点も、子どもが前に進んでいく支援のポイントになります。

そのことを改めて感じたエピソードでしたので今回、ブログで紹介させていただきました。

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