不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑫
こんにちは。不登校支援センター横浜支部カウンセラーの本沢裕太です。
今年は、開花宣言が出てからも寒い日が続きましたね。
おかげで近所の桜の木が少しずつ開花していって満開になるまでの様子をゆっくり観察する事が出来ました。
例年だと、あっという間に満開になって気付くと散っているという、どこか儚くもあったので、2,3年分まとめて観られた気がして何だか得した気分です!
変化が急すぎると、桜も疲れてしまうのではないかな、なんて思ったりもします。
人間も同じですよね。
「4月」という変化の激流の中を、適応しようと一生懸命になっている子どもや学生さん、新社会人の方、そして親御さん。
「今のペースで大丈夫か」「無理してないか」と、ちょっとだけ立ち止まって振り返ってみてください。
自分の決めたペースで、自分の決めた道を進んでいますか?
何か辛いな、とか、息苦しいな、とか、何かやる気出ないな、とか感じられた際に、支援センターがほんの少しでもお役に立てば幸いです。
さて前回のブログでは、自己一致について触れさせて頂きましたね。
今回は、カウンセリングを通して「自己一致」された親御さんとその子どもの話を書きたいと思います。
小学校高学年から中学2年生まで不登校だった男の子T君。
中学3年生では皆勤で登校し、高校への進学も決めました。
その子どもをサポートされた親御さんが仰っていた事例を交えて紹介したいと思います。
小学生の時に、子どもが「もう学校へは行かない」と言った時は、とても焦り、「何とかして行かせなきゃ!」という想いだったと親御さんは振り返っておられました。
色々な手法を試されて、それでも子どもが学校へは行かなかったので、カウンセリングの中でも、どうしたら良いのかを一緒に模索していました。
そして何度かカウンセリングを進めていく中で、親御さんの中に今までと違った考え方が出てきました。
子どもは親とは違う人格なんだ。
それに気づいた時、「今までこの子が何を考えてどんな気持ちだったのか考えてなかったな。」と振り返っておられました。
その事に気付けたから、
「この子の考えを尊重し、サポートしていくのが親の務めだ」
と考えられる様になったとおっしゃっていました。
親御さんも本当は、嫌がる子どもを無理矢理学校に行かせたかった訳ではなかったんですね。
でも、その時は訳も分からず、そうするしかなかったのだと思います。
そして、
①その時の出来事
②どう思ったのか
③具体的にどんな感情だったのか
④どういった行動をされたのか
をカウンセラーと一緒に振り返っていきました。
【①その時の出来事】
- 子どもが「学校には行かない」と言い出した
- 子どもと言い合いになってしまった
- パートナーとも言い合いになってしまった
- 自分のせいだと言われた
- 他の人からこんな事を言われた
それに対して、【②どう思ったのか】
- なんで子どもが自分の思い通りには動かないのか
- 自分のせいにするなんてひどい
- 何がいけなかったのかな
- 解決するにはどうしたら良いのかな
- 早く解決したいな
そして、その時は【③具体的にどんな感情になったのか】
- ショックだった
- 傷ついた
- 怖かった
- 悲しかった
- 焦った
- 絶望した
そしてご自身が【④どういった行動をされたのか】
- 子どもに感情的な言い方をした
- 子どもとのコミュニケーションを避けた
- パートナーに、自分の意見を伝えてみた
- パートナーと顔を合わせない様にした
- 学校の先生に相談をした
- カウンセラーに相談した 等
これらが話の中では出て来て、そしてカウンセラーに話してもらう事で、一つ一つ親御さん自身も受け入れていかれました。
ご自身の事、パートナーへの想い、子どもへの想い・・・
そして、自分は本当はどうしたいのか。
そういったご自身の感情を話して頂く事で、ご家庭でも、肯定的な言葉や表情や行動を表現できる様になっていき、コミュニケーションが開放的に変化していきました。
この親御さんの変化やサポートがあったおかげで、子どもは自分自身の考えを大切にする事が出来る様になりました。
※こちらのブログも合わせて読んでみてください!
ここまでの出来事をまとめてみると、
- 親御さんが、ご自身の感情と肯定的に向き合う
- 気持ちに余裕が持て、コミュニケーションが開放的になる
- 子どもは、自分の意見や考えを受容されていると感じられ、自分でも大切にできる
- 主体的な思考や行動が増えてくる
という事が連鎖的に起こったという事です。
自分の考えを大切にする事が出来ると、どんな事が起こるのか?
子どもは、自分はどうなりたいのか? どうしたいのか? と将来の事を主体的に考え始めたのです。
そして、その目的の為に志望校を選び、志望校に行く為にはどうしたら良いかを考え、それが行動に現れました。学力面でも苦手な教科を補う為に塾に通い、春期講習、夏期講習、冬期講習と自分で授業を選択し、取り組んでおりました。
そして無事に進学先も決まり、この春から新生活がスタートします。
私から見ていても、本当に良く頑張っていたと思います。
親御さんが自己一致することで起きた変化
今回は、親御さんがカウンセリングを通して「自己一致」された事によって、子どもにも変化が表れた事例をお伝えさせて頂きました。
もし、「この人にだったら何でも話せる」という方が身近にいらっしゃるのであれば、是非お話ししてみてください。
自分の話した事を、否定せず、助言もせず、ただ聴いてくれて肯定してもらえるのであれば、安心して話せると思いますし、自己一致に近づくはずです。
もし「誰にも話したくない」と思われるのであれば、自分の感じた事を文字に起こして振り返ってみるのも一つの方法かも知れませんね。
それでは今回は、この辺で失礼します。
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは①
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは②
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは③
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは④
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑤
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑥
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑦
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑧
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑨
不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑩
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不登校克服には欠かせない! 「情動」の上手な取り扱い方とは⑬~まとめ~
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