教室に入れなかった中学生の女の子が教室に入ることができた「方法」とは?
こんにちは。不登校支援センターです。
こちらは過去記事となります。皆様の日々のかかわりのご参考になれば幸いです。
花粉症の季節ですね。
私は鼻、くしゃみ、のど、目に症状が出るので、この時期は大変辛いです・・・。
さて、今回のブログでは・・・
些細なことでも不安感を抱きやすい中学3年生のAちゃんが、教室に入ることができた「方法」
についてご紹介したいと思います。
不安感を抱きやすい子はセンターにも多く通われています。
不安感といっても、何に対しての不安感なのか、その子どもによって様々です。
たとえば
- 教室に入ろうとしても嫌なことを思い出して怖くて入れない子
- 友人と学校で会うことに対して極度に緊張を抱く子
- 勉強に取り掛かろうとすると手が震え、頭が真っ白になってしまう子
- 学校へ行こうとすると身体症状が出て動くことができない子
- 先生と話そうとすると心臓がバクバクしてしまい上手く話せずパニックになってしまう子
- 制服を着ようとしても吐き気がして袖を通せない子
などです。
Aちゃんは、どんな不安を抱いていたかと言いますと・・・
「教室に入ろうとすると、過去のいやがらせを思い出して怖くて入ることが出来ない」という不安でした。
学校に行かなかったことによってクラスメイトに嫌がらせを受け、それを教室に入ろうとすると思い出し、恐怖で動けないということでした。
そんなAちゃんがカウンセリングに来て、一緒におこなったことがあります。
それは・・・
それは「不安階層表」というものです。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、「不安階層表」がどのようなものか説明させていただきますね。
不安階層表とは、不安や恐怖を感じる場面を特定し、それぞれの場面について、どの程度、不安や恐怖を感じるか点数つけた配列表のことを言います。
- 最も抵抗があり「絶対にできない!」(だけど、できるようになりたい)と思うことを100点とする。
- 何の不安も感じない行為を0点とする。
そして、その中間にあてはまるものも、じっくり考えながら表に書いていきます。
【Aちゃんの不安階層表の内訳】
0%・・・自分の趣味
100%・・・教室に入ること
残りの%は・・・
- 制服を着ること
- 先生に会って話すこと
- 保健室にいくこと
- 自分から勉強すること
- クラスメイトに教室以外で遭遇すること
などを書いていました。
漠然と不安を抱いている子どもは、このように細かく不安をパーセントに分けて書くことによって、自分が何に不安を抱きやすいのかという傾向を知ることが出来ます。
親御さんとしても、子どもがどういったことに不安感を抱いているのか分かるだけでもホッと安心しますよね。
その表を書き終えたら、次は・・・
一緒にその不安を感じる出来事についてイメージをします。
Aちゃんの場合、教室に入るまでに必要なプロセスを順を追って細かくイメージをしていきました。
朝起き、制服に着替え、バスや電車に乗り歩いて学校の前まで行き、教室に行くまでの細かな場面をイメージしてもらいました。
イメージができたら次に・・・
イメージの中で、子どもと一緒にそのときに沸き起こりそうな感情を体験します。
Aちゃんはイメージの中で、
- 「バスや電車で嫌な子に会うんじゃないかと思うと怖い」
- 「下駄箱にいくといろんな人に見られるかもしれないから不安」
- 「クラスの人に廊下で会ったら、何か話かけられそうで嫌だ」
といったような感情がカウンセリングの中で湧き出てきました。
最初は「怒り」「悲しみ」「苦しみ」の感情があふれ、机をときにたたいたり、悔しさで涙を流すこともありました。しかし、イメージを続けていくことによって、次第に感情が落ち着き、感情が行動になって表れることもなくなりました。
イメージをしてそこで出てくる感情をカウンセリングの中で話をしていくことで、自分の感情を整理することができたのです。
子どもと一緒に感情を共有できたら次は・・・
具体的な解決策や対策を考え、不安のハードルを下げていきます。
- クラスの人に会ったらどうやって対処しようか?
- バスや電車で苦手な子が話しかけてきたらどう返す?
など、カウンセリングの中で一緒に解決策や対処方法を考えていきました。
もちろん最初はAちゃん1人ではなかなか解決策はでませんでした。
しかしやり取りを進めていくうちに、だんだん「こうしたらきっと嫌な気持ちにならないかも!」「こういう風に考え方を変えたら不安にならないと思う!」など様々な解決方法がAちゃんからでてきました。
するとAちゃんはイメージで終わっていた内容を実際に行動に移せるようになったのです!
Aちゃんが起こした行動は「まずは保健室登校をする」でした。
学校へ行くだけでも不安感を抱いていたAちゃんが保健室登校をすることは勇気が必要なことだったと思います。しかし、Aちゃんは何度も何度もイメージをしては解決策を考え、挑戦するという気持ちを作っていったのです。
実際に行動に移すことができたら次は・・・
そのときに沸き起こった感情を再びカウンセリングで話し合います。
すると、Aちゃんから、「意外と平気だった」「思っていたよりも不安な感情でなかった」「逆にこういう感情もでてきたよ」など色々な感想がでてきました。
「懸念していた感情が出た場合、どんな風に対処したの?」
「次こういう場面に遭遇したらどうやって対処しようか?」
「なんで今回うまくいったのだろう?」
など具体的な解決策や成功体験を振り返り、次の行動に繋げていきました。
すると・・・最初は週1の保健室登校だったAちゃんが、だんだん教室にも入ることが出来るようになったのです!
以前までは不安感で身動きがとれなかったAちゃんですが・・・
できることが増えるようになったことで自信に繋がり、自分から課題を設定して行動を起こせるようになっていきました。
今Aちゃんは週4日教室に入るという課題に向かって取り組んでいます^^
いかがでしたでしょうか。
あくまでこれはAちゃんにとって最適だった「方法」です。
子どもの特性によってこの「方法」は変わります。
ただ、不安感の高い子どもをこのまま放っておくと、どんどん不安が膨らんでいき、身動きがとれなくなってしまうかもしれません。
そうすると、不登校の状態が悪化してしまうかもしれないのです。
そうなってしまう前に、一度初回無料相談にお越しください!
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