なぜ不登校対策にカウンセリングが有効なのか?
皆さん、こんにちは。不登校支援センター福岡支部の永島です。
そもそも『カウンセリング』とはどんなもの?
『カウンセリング』という言葉もだいぶ知られてきていると思いますが、『カウンセリング』って何?と聞かれると、まだまだ様々な答えが返ってくるような気がします。
- 悩みを相談し、解決すること
- 話を聴いてもらうこと
- 心の病を治してもらうこと
- 自分の内面を整理すること
- やる気がでやすくしてもらうこと
などなど、治療的なものから、ただ話を聴いてもらうだけのようなイメージを持たれていることもあるかと思います。
Wikipediaでは、
”カウンセリングとは、依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談援助のことである。”
と記載されています。
また、カウンセラーのための本や、カウンセリングの本も多数出版されており、それぞれの著者の考える「カウンセリングとは」があります。
しかし、こうしたカウンセリングに対するイメージが確立されると、
「今の自分の状態はカウンセリングで解決できるものではないのだ。」
と考えてしまう人もおり、『カウンセリングを受ける』という選択肢がなくなってしまう、ということが起こり得るのです。
不登校対策時に陥りやすい、「原因探し」の罠
不登校問題の対応で陥りがちな状態として、「学校に行けない理由探し」があります。いわゆる、『不登校の原因探し』です。
学校に行けない理由というものは、どんなに探しても見つからないことはたくさんあります。
最終的に、「自分は学校に行きたく無いから行かないんだ。」と結論付けてしまう子どももいます。このような結論に至ってしまった場合、子どもはしばらく「動かない」という状態を続けてしまうこともよくあるのです。
見つからない理由を探し続けたり、見つかったとしてもどうしようもない理由だったりすることは、不登校対策として、あまり有効な手段ではありません。
他のケースでいうと、今まで相談にこられた事例の中でよく聴く理由のうちのひとつとして
「学校で仲良くできる友達がいない。(孤立してしまうことが怖い)」
という理由があります。
このような理由を子どもから引き出すことができたとき、周りの親や先生たちはどのようなサポートをするでしょうか?
- 仲良くしてくれる友達を作る(クラス替えなどで考慮する)
- 友達付き合いの知識や技術を習得させる
- 周りにはあなたを友達だと思っている人がいるよ、と伝える
- 今はいなくても、後々仲良くできる人が現れるよ、と説得する
- 今の友達は今だけの付き合いでしかないから、そんなに気にしなくてもいいよ、と説得する
などのような対応が思い浮かぶのではないでしょうか。
さて、対処方法が見えてくると、次は実践です。
1.仲良くしてくれる友達を作る(クラス替えなどで考慮する)
これついては、クラス替えの時期まで何もできません。代替案として『転校』がとられることもありますが、その手段を実際にできるご家庭と、そうでないご家庭があると思います。
2.友達付き合いの知識や技術を習得させる
過去の事例でこの取り組みをすることで上手く登校できるようになっていった子どももいます。ただ、もしかしたら心理検査などからの知識による、人付き合いの基礎知識を持っているカウンセラーだからこそ、子どもに対してトレーニングをしてあげることができたのかもしれません。そのため、ご家庭では上手く実施することが難しい可能性もあります。
3.周りにはあなたを友達だと思っている人がいるよ、と伝える
4.今はいなくても、後々仲良くできる人が現れるよ、と説得する
5.今の友達は今だけの付き合いでしかないから、そんなに気にしなくてもいいよ、と説得する
これらについては、この説得が有効になるには、余程影響力のある人間からの言葉でないと響かないと思われます。一時的な登校はできるようになるかもしれませんが、根本的な解決にはならないので、また同じように学校に行けなくなる可能性があります。
そして、不登校が再発してしまった場合、同じ説得は2度は通用しないことでしょう。
つまり、これら1~5のどの手段をとっても、不登校が解決できない、または再発することも多々あります。
そうすると「不登校の原因を排除したのに、なぜ!?」という、失望感や絶望感が子どもにも親御様にも生じてしまいます。子どもは自分自身を信じることができなくなってしまいますし、親御様も悲しみや不安感を増してしまいうことになります。
『不登校の原因』を探し、対処していくことは可能ではありますが、手詰まりになってしまうことがかなり多くありますし、状況によってはより悪化させてしまうこともあります。
なぜ原因探しでは、上手くいかないのか?
原因探しで上手くいかない理由は、大きく2つあります。
1つ目は・・・
【原因があって学校に行かないのではなく、「学校に行かない」という手段を使う行動傾向である】
ということがあります。「その子どもが話している『原因』があれば、どんな子どもも学校に行かなくなるか?」と考えたときに、「みんながみんなそうでは無いだろう」と考えられるかどうかです。(誰もが学校に行かなくなるのであれば、原因と言えるかもしれません)
同じ『原因』を抱えていても、違う手段で解決している子どもがいる中で、「学校に行かない」という手段を選択しているということでもあります。その場合子どもは、違う『原因』が発生するたびに「学校に行かない」という手段をとり続けます。そしてそれをし続けることで、「自分は学校には行けないんだ」と錯覚するようになってしまいます。
2つ目は・・・
【子どもが話してくれている『原因』が真実ではない(かもしれない)】
ということがあります。最初はなんとなく、「好きだな」「嫌いだな」と感じただけでも、「何で?」と聴かれると理由(原因)を考える人はいると思います。
特に学校に行かないということに対しては、子ども自身も悪いことだという認識があるので、それなりの理由(原因)を用意しなければと考えます。そして、思いついた自分にとって不快なことを理由(原因)として話します。
しかし、この「学校に行けない原因探し」に捉われてしまったご家族は、なかなかここから抜け出せるきっかけを得ることができません。それに気付くきっかけでもあり、上手くいかなくなったときのフォローができるのが、カウンセリングでもあります。
カウンセリングとは、『カウンセリングの技術を有した第三者との対話』とも言えるかもしれません。
不登校支援センターのカウンセリングとは
『学校に行けない理由』とは言えないけれど、『要因のひとつ』と言えるということはよくあります。
例えば
- 友人関係が上手くいかないこと
- 自己主張ができないこと
- 周りに対して劣等感があること
- 先生との関係性が上手くいかないこと
- 学力の遅れが気になること
- 自分に将来の夢や目標がないこと
などなど、「これがなんとかできたら、もっと学校に行くことが楽になる」ということが子どもひとりひとりにあります。
不登校支援センターのカウンセラーは、そういったものにも対応していけます。そして、子どもだけでなく、そのサポートをする親御様への支援もしていけます。
中には「不登校問題における※メンター」という表現がしっくりくると感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実際は、不登校対策として、カウンセリングだけでは解決が遠回りになり過ぎることもあります。
しかし、不登校支援センターのカウンセリングでは、
- ご家庭の背景を含めた現状把握
- 学校にいけない要因の分析
- 今できる、(不登校改善につながる)トレーニング
- 心理的負担の減少(または改善)
主にこれらの要素を、心理検査や膨大な事例データを活用し、様々な観点から実施していきます。
また、カウンセラー同士の交流も密に行っており、研究会なども実施しているので、「もうできることはありません・・・」という状態になることはありません。
不登校問題において、
- 「何をしたらいいのかわからない」
- 「原因をどれだけ対処しても、学校に行かない」
- 「子ども言うことがわからなくなった。(信じられなくなった)」
- 「なるべく、解決のために遠回りはしたくない。」
と悩まれている方は、是非不登校支援センターにご相談ください。
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(*1) メンター・・・言葉としては、「良き指導者」「優れた助言者」「恩師」の意。様々な企業で教育制度として導入されていることも多い。メンターは仕事やキャリアの手本となり、助言・指導をしてくれる人材で、それを受ける新入社員などの教育対象者を「メンティー」という。