不登校の子どもが「心機一転」しやすい学年とは?
こんにちは。不登校支援センター大阪支部の佐久真です。
今年1年もあっという間に過ぎ去ってしまいましたね。今年も、学校に通えずに悩んでいる子ども達や親御さんと様々な話をしました。
2018年の6月から不登校支援センターへ通っておられる方もいれば、9月から通っておられる方も、最近になって来られた方もいます。6月から通っている方は約半年。9月からでも3ヶ月。考えてみれば短い期間ではありませんね。そして当センターに通われる子どもの状況は様々ですが、過ぎゆく時間は変わりません。どんな状態の子どもにもお正月は来ますし、西暦は一つ増えます。
不登校でお悩みの皆さんは、今年も1年様々なことを考え、試し、その結果を受け止めてこられたと思います。私もお悩みのご家庭の一端を担えるように、出来ることも常に模索してきました。
当センターに通われている、とあるご家庭のお母さんがこんなことを仰られました。
「来年になったら、心機一転頑張ってくれないかしら・・・」
日本人の感覚として、年が明けるというのは非常に大きなきっかけであり、新たな始まりを感じるとともに、何かを1から始める方も大勢いらっしゃると思います。
- 「今年こそダイエットを始めよう!」
- 「今年は頑張って資格を取るぞ!」
- 「今年はお料理を頑張ってみようかな?」
- 「一日一善!今日から毎日良いことを1つしよう!」
などなど、年明けというのは、こういった決めごとを自分に課し何かを始めるきっかけになりやすいですよね。
そして不登校支援をしていても、「お正月が明けたら子どもが何か始めないか?」「何か変わるのではないか?」とお考えになる親御さんが多い印象を受けます。
私自身も、年明けや進級といったきっかけを掴んで今の状況を自ら変えようとする子ども達と多く接してきましたので、こういった気持ちは強く感じることがあります。そしてそのタイミングに合わせた目標をたてカウンセリングを重ね、新年に向けて準備をしてきたという子達も大勢いました。
準備をしていなければ、年が変わろうとも進級しようとも、何も変わらない可能性がありますと、以前のブログでも書かせていただきました。
今回は「変わるためのきっかけ」をつかみやすい学年/つかみにくい学年という視点でお話します。
中学2年生への進級と、中学3年生への進級
どちらの学年への進級が、年明けや進級時をきっかけとして動こうとする子が多いかというと、おそらく皆様ご想像の通り、中学3年生への進級の方が多いのではないでしょうか。
私がこれまで接してきた子達の中にも中学3年生に進級するタイミングで、教室登校や別室登校など、自分なりの登校練習をスタートさせた子が多かったです。中には何の練習も準備もせずに、スっときっかけを掴んで行動する子もいましたが、やはり稀だと思います。
では、中学3年生になるタイミングとは、どのような心理状態が働くのでしょうか?
現状維持のバイアスという心理状態
年が明けたり、4月になり進級したりすると、これまで学校に通えていた子達は幾度となく「新しいことが始まる=現状が変化する」という経験を経てきました。しかし、不登校状態に陥ると、現状維持していたいという心理が高まり、変化をもたらすようなタイミングを嫌う傾向が出てきます。
つまり、現状維持のバイアスとは「現状維持をしたいという心理」が働いている状態です。現状維持というのは、今の状態を維持することですね。つまり、大きな変化が生じることを避け、今の自分の状態を維持していたいということです。
心理学では、「変化=ストレス」のことであるという考え方があります。人間は、現状が変化してしまうことをストレスに感じることがあるため、現状維持をして自分も守ろうと考えることが多いです。そのデメリットとして、この現状維持のバイアスという心理は「きっかけを掴んでチャレンジできない」という状態にもなりがちです。
そのため、いくら親御さんが年明けから何か変わってほしいと思っても、子どもは全く逆の「現状を維持したい」ということを考えているかもしれないのです。
新年が人にもたらす心理
不登校でお悩みの親御さんは年明けのようなタイミングでは「期待感」という心理も抱きやすくなってきます。人は期待していると、期待通りにならなかった時に、いつも以上に落ち込んでしまうものですよね。
この記事をお読みいただいて、まず親御さんがご自身が考えていらっしゃることを振り返っていただききたいと思います。
そして子どもとお話される際には、「多分この子はこう思っているだろう」という、相手の気持ちに寄り添える準備をしてから、話し合いをされることを心がけてみていただければと思います。
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