【事例】出席日数が足らず留年確定の高校生が進級できた理由とは?
こんにちは。不登校支援センター大阪支部の桒原航大(くわばらこうだい)です。
2学期もあっという間に後半に入りましたね。この時期はご相談に来られるご家族の数も多くなってきています。
中でも最近は特に、高校生の子どもに関するご相談に不登校支援センターへお越しになる親御さんが増えていると感じています。
この時期ですと、子どもの学校での出席日数が気になっているご家族も多いかもしれません。親御さんとしても、気が気じゃないですよね・・・。
出席日数がギリギリ、高校生Aくんとの出会い
数年前の7月頃でしたでしょうか。高校生Aくんのカウンセリングを当センターでスタートしました。
Aくんは性格も明るい子で、話も面白くて、友達もたくさんおり、学校では「いじられキャラ」として、クラスの中心人物の1人だったそうです。
これだけ聞くと、なにも問題ないように聞こえますが、実はAくんは周りから「いじられキャラ」と思われることにずっと不満を抱えていたそうです。
- 本当は「いつもみんなとおしゃべりして過ごすのではなく、一人で静かに過ごしていたい」と思っている。
- でもみんなはAくんのそんな思いは知る由もなく、ずっと話しかけてくる。
- Aくんも話しかけられて無視することもできず、一生懸命応えている。
自分の気持ちを出すよりも相手の気持ちに合わせすぎる、無理をしちゃう子だったんですね。
しかし、そんなAくんにも限界が来てしまいました。
Aくんは学校を休むようになり、残りの出席日数はいよいよあと3日。あと3日休んだら留年確定です。
留年は絶対したくないけど、学校に行くのもしんどい・・・。
そんな状況で夏休みに突入しました。
なんと、カウンセリングでも無理してしまう。
そんなAくんですが、カウンセリングでも無理をしてしまいます。
自分が苦しくて、カウンセリングに来ているのに、カウンセラーである私を笑わせようと、とにかく1時間しゃべり倒していました。
私が
- 「今日はこんな話を聴いてみようかな」
- 「今日はこの心理テストをやってみようかな」
- 「今日はこのことについて一緒に考えてみようかな」
と思っていても、私が話し出すことを全く許さないほどのマシンガントークでした。
そのときAくんは、学校の話など、自分が困っていることを聞かれないように、
ひたすら話し続けることで必死に自分を守っていたのかもしれません。
それでもAくんは毎回カウンセリングにはやって来ました。
「自分の悩みを話すことは怖いけれど、なんとかしてほしい」
そんな思いを持ってカウンセリングに来てくれていたのかもしれません。
そして、Aくんとのカウンセリングを重ねていき、彼の悩みや、その悩みをなんとかしたい、という思いも次第に話してくれるようになりました。私も、だいぶ打ち解けてきたかな、と感じていました。
カウンセリングでは、2学期からどういう心構えで登校しようか、と作戦会議をAくんとしていました。
親御さんも私も、そしてAくんも、2学期からは頑張ろうという気持ちになっていました。
学校へ行く準備万端、いざ2学期!のはずが…
しかし、2学期が始まる直前のカウンセリングでAくんがこんなことを言い出します。
「やっぱり、学校行きたくない。嫌だ。辞める。」
そして、カウンセリングで初めてAくんは泣き出しました。
きっと、Aくんは「学校には行かないといけない」ということは理解しつつも、2学期が近づくにつれて彼の中でも緊張感が日々高まっていったのだと思います。
親御さんからすると、どのようなお気持ちをお持ちになったでしょうか。
「そこはがんばって乗り越えてほしい・・・」と励ましたくなる、そんなお気持ちも抱くかと思います。でも、どうでしょう。
よくよく考えてみると、Aくんがその気持ちを言うのは、Aくんにとってとても勇気のいることだったと思いませんか?
私も勇気のいることでしたが、Aくんの今の気持ち、「学校に行きたくない気持ち」を聴くことにしました。
嫌なこと、不安なことに対して、アドバイスをすることはせずに、
- 嫌なんだという気持ち
- 不安な気持ち
Aくんの抱えている気持ちをひたすらに受け止めていきました。
一通り私に話し終えたあと、Aくんもスッとしたのか、泣き止み、落ち着いた表情に戻っていました。
Aくん自身も、やるべきことはわかっていて、私からアドバイスが欲しかったわけではなかったのだと思います。
自分の今の気持ちを話すことで自分でも心の整理ができ、また気持ちを受け止めてもらえたことで自分は1人ではないんだと勇気を持てたのかもしれません。
そして、2学期が始まり、Aくんは覚悟を決めて学校に通い出します。
そして残り3日しか休めない状況の中、なんとか通い、進級を決めることができました。(途中、Aくんが風邪を引き、親御さんともハラハラドキドキしましたが・・・)
あのとき、私がAくんに対して何か魔法の言葉を言ったわけではありません。
では、高校生Aくんの心の中でどんな変化が起こったのでしょうか。
学校に登校するということに、何か特別な、普通の人は気づかないような登校の方法があるわけではありません。
最後は、今日行くか、行かないか、それを子どもが自ら選ぶだけです。
その狭間で、悩んでいたAくんにとって、
- その悩み、苦しみを理解してもらえたということ
- 理解してくれる人がいるということ
これらのことが、学校へ行くことを選ぶ勇気のあと押しになったのかもしれません。
私たち大人も、もちろん子どももこれまで学校で、「問題には答えがあり、答えを出す解決方法がある」ということを当たり前のように学んできています。
ですので、子どもが悩んだ時には、「どうしたら解決できるのだろう」と無意識に、自然に考えてしまいます。
しかし、心の問題の多くは、悩んでいる人も解決方法がわからなくて困っているのではなく、解決方法はすでにわかっているけれども、それでも動き出せない苦しさをその人は抱えています。
それゆえに、悩んでいる人へのアドバイスというのは、かえってその人の悩みをさらに深めることにもつながりかねません。
だからこそ、「わかっているのだけれど、動き出せない苦しさを理解すること」がとても大切になってくるのですね。
不登校支援センターでは、不登校専門のカウンセラーがお話を伺っております。
何かお困りのことがありましたら、初回無料面談にお越しいただき、お話をお聞かせくださいね。
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